第5章 Windows 8を支える機能たち - ハイバネーションで高速スタートアップを実現 その1

Windows OSを使い続けてきた方々にはあらためて述べるまでもないが、我々は常にOSの起動に要する時間に悩まされてきた。Windows XP時代はデフラグツールでOSの起動に必要なシステムファイルを最外周に追いやることで、わずかな起動時間の短縮を求めるなど、今思えば"得るものは小さいが多大な努力が必要"な作業ばかり行っていた気がする。

Windows XPには自身の起動を高速化するPrefetcher機能が搭載されていた。アクセス頻度が高いファイルを常に検証し、デフラグツールを実行する際の優先度を決めるというものである。Windows VistaやWindows 7ではSuperFetchと改称し、データファイルやアプリケーションの起動速度を高めるアプローチも行われたが、起動速度自体に大きな影響を与えるものではなかった。

コンピューターを使用する際に発生するダウンタイムは、電源制御仕様であるACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の進化により、スタンバイ(スリープ)やハイバネーション(休止状態)という復帰時間の短縮で大幅に改善された、かのように見える。そもそもスタンバイやハイバネーションを実行するには、Windows OS上で動作するデバイスドライバー側の対応が欠かせない。仕様に沿っていないデバイスドライバーが組み込まれると、正しくスタンバイモードに移行しないだけでなく