転職エージェントは、キャリアアドバイザーが転職者の代わりにスキルや意向に合う求人を紹介してくれる、便利なサービスです。
基本的には無料で利用できるうえ、企業との面談日程の調整や給与交渉なども代行してくれるため、忙しくて時間がない人からも支持を集めています。
しかし、いざ転職エージェントを利用してみようとすると、こんな悩みを抱いてしまう人も多いようです。


厚生労働省の発表によれば、2019年時点での転職エージェント・人材紹介会社の数は25,000を超えており、利用者がどれを選ぶべきか迷いやすい状況なのです。
しかし、転職エージェントを適当に選ぶことはおすすめできません。
なぜなら、転職エージェントにはいくつかのタイプがあり、それぞれ強み・弱みがあるためです。
適切なタイプの事業者を選ばないと、希望に合う求人がなかなか見つからなかったり、妥協して希望にそぐわない会社に転職してしまったりするリスクもあります。

このような悩みを持つ人の助けとなるように、本記事では、実際に人材業界で転職者の支援をしてきた専門家にヒアリングし、「転職エージェントの選び方の鉄則」をまとめました。
また、専門家がおすすめする転職エージェント11選や、実際に利用する流れについても説明しています。
さらに、転職エージェントを利用するか迷っている人のために、実際に転職エージェントを利用した383名のアンケートも実施し、利用して得られた結果や注意点をまとめています。
本記事を読めば、上手な転職エージェントの活用方法や、自分に合ったサービスが何なのか、利用時に気を付けるべきことが分かるはずですので、ぜひ最後までお読みください。
本記事の内容が参考になり、あなたがよりよい働き方を見つけられることを心から祈っています。

転職エージェントの選び方の鉄則
それではさっそく、転職エージェントの選び方について見ていきましょう。
本記事の監修者である、転職サービス会社で転職支援をしてきた小池さんに話を聞いてきました。

①転職エージェントの4タイプを知る
②自身がどのタイプに向いているのかを知る
③実際に面談を受けてみて、自身に合うサービスに絞る
それぞれについて、詳しく説明します。
①転職エージェントの4タイプを知る

「運営会社の規模」とは、大手か小規模のエージェントか、という軸で転職エージェントを切り分ける考え方です。
「掲載する求人のジャンル」とは、幅広い業界の求人を網羅している「総合型」と、特定の業界・職種の求人に特化している「特化型」の2タイプで分ける考え方です。
2つの軸によって4つのタイプに転職エージェントを分類できます。それぞれのメリット・デメリットをまとめましたので、参考にしてください。
②自身がどのタイプに向いているのかを知る

以下では、2つの質問をもとに、自身と相性がよいと言えるのはどのタイプのエージェントなのか紹介します。あくまで一つの選び方ですが、参考にしてみてください。
A.「今までの経験をより深めたい」→(志望する業界or職種に特化したものがあれば)特化型と相性がよい。ただし、別業界の同職種にチャレンジするなどの選択肢もあるので、総合型も併せて利用するとよい
B.「今までとは別領域に幅を広げたい」→さまざまな求人に触れられる総合型と相性がよい
1.「転職軸が定まっている」→軸にマッチする案件を数多く紹介してくれることが多い大手と相性がよい
2.「転職軸が定まっていない」→じっくりとキャリア相談から乗ってくれることが多い小規模と相性がよい
③実際に面談を受けてみて、自身に合うサービスに絞る
自身に合う転職エージェントのタイプが見つかったら、実際に転職エージェントに登録して面談を受けてみましょう。プロの視点から、これまでのキャリアやスキル・経験を踏まえて、アドバイスをしてくれるはずです。
転職エージェントは、転職が成約した際に企業側から報酬をもらう仕組みをとることがほとんどのため、相談は基本的に無料です。

参考として、よいアドバイザーとよくないアドバイザーの例を見てみましょう。担当者がよくない例に当てはまる場合は、その場で決断をするのは避けるべきです。
よいアドバイザーの例 | よくないアドバイザーの例 |
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担当するアドバイザーがよくない例に当てはまると感じた場合は、担当者の変更を公式サイトから依頼しましょう。変更をしても同様の対応の場合は別のエージェントを利用したほうがよいでしょう。
【転職の専門家が厳選】転職エージェントおすすめ11選
選び方が分かったら、実際に各転職エージェントの特徴を見ていきましょう。ここでは転職の専門家がおすすめする11の転職エージェントをタイプ別に紹介します。
気になるサービスがあったら、「公式サイト」のボタンからサイトをチェックしてみましょう。「詳細へ飛ぶ」を押すと、本記事内の詳細なサービス紹介パートにジャンプできます。
まずは総合型のエージェントから見ていきましょう。
種類 | 転職エージェントサイト | 公式サイト | 特徴 |
大手× 総合タイプ |
リクルートエージェント ![]() |
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doda エージェントサービス ![]() |
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続いて、特化型の転職エージェントを9つ紹介します。
種類 | 転職エージェントサイト | 公式サイト | 特徴 |
ハイクラス | リクルート エグゼクティブエージェント ![]() |
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JACリクルートメント ![]() |
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20代・ 第2新卒 |
ハタラクティブ ![]() |
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UZUZ![]() |
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女性に おすすめ |
LIBZ![]() |
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type女性の転職エージェント ![]() |
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外資系・ グローバル |
ランスタッド ![]() |
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IT系 | Geekly![]() |
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レバテックキャリア ![]() |
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※求人数は2022年4月に編集部で調査
ここからはタイプ別にエージェントの特徴や強みについて詳しく紹介していきます。気になるタイプがある人は以下のリンクをクリックすると該当の見出しにジャンプできます。
【ハイクラス特化】転職エージェント
【20代・第2新卒向け】転職エージェント
【女性におすすめ】転職エージェント
【外資・グローバル系】転職エージェント
【IT・エンジニア系】おすすめ転職エージェント
【大手×総合型】おすすめ転職エージェント2選
ここでは総合型でおすすめな大手の転職エージェントを2つ紹介します。
リクルートエージェント
※画像引用元:リクルートエージェント公式HP
リクルートエージェントは、さまざまな媒体で積極的に広告を打つ知名度の高い転職エージェントです。幅広い職種・業界から求人情報が集まり、非公開求人だけで23万件以上取り扱っています。
用意されている転職支援システムには、応募や面接の進捗管理、案内に従うだけで作成できる職務履歴書のエディターなどがあります。初めての転職活動でも、迷うことなく計画的に利用できるでしょう。
リクルートエージェントはこんな人におすすめ!
- 求人数の多さを重視する人
- 知名度の高いサービスを利用したい人
- 転職をスムーズに進めるツールを利用したい人
dodaエージェントサービス
※画像引用元:dodaエージェントサービス公式HP
dodaエージェントサービスは、キャリアアドバイザーと採用プロジェクト担当を分けて転職をサポートするのが特徴。キャリアアドバイザーは業種別に担当がおり、転職者の専門性を理解した上で企業に推薦してもらえます。
運営は人材関連業界の老舗で、前身の企業の創業から数えると60年以上の実績があります。そのため求人が豊富に集まり、公開求人だけでも約13万件あります。希望に合う求人をじっくり厳選したい人にとっては、有力なサービスです。
dodaエージェントサービスはこんな人におすすめ!
- キャリアアドバイザーから専門性の高いアドバイスを受けたい人
- 運営会社の実績を重視する人
- 豊富な求人からじっくり転職先を厳選したい人
【ハイクラス】おすすめ転職エージェント2選
ここでは、年収1,000万円を超える求人や、経営幹部や管理職、専門職などのハイクラスな求人を取り扱う転職エージェントを紹介します。
リクルートエグゼクティブエージェント
※画像引用元:リクルートエグゼクティブエージェント公式HP
リクルートエグゼクティブエージェントはリクルートグループの持つ日本最大級のエグゼクティブ人材ネットワークを生かして経営層やスペシャリスト向けの求人を紹介してくれます。
現職で経営幹部や部門責任者の役職についている人や、希少性の高い専門技能を持つ人におすすめなサービスです。
リクルートエージェントの場合、転職者と企業の担当者が別々のことが多いですが、リクルートエグゼクティブエージェントの場合は一人で双方を担っているケースが多く、より深い情報を担当者にヒアリングできるでしょう。
リクルートエグゼクティブエージェントはこんな人におすすめ!
- 経営層やスペシャリスト向けの求人を探している人
- 現職で部門責任者以上の役職についており、さらにキャリアアップしたい人
- 転職先の企業の深い情報をヒアリングしたい人
JACリクルートメント
※画像引用元:JACリクルートメント公式HP
JACリクルートメントはロンドン発祥のグローバル企業が運営しており、外資系やグローバル企業への転職支援実績を積み重ねています。語学力に自信があり、世界での活躍を望むのであればおすすめです。
サービスのポリシーとしてスピードを重視しており、問い合わせをすると原則は24時間以内に返事がきます。現状で紹介できる求人がないときはハッキリと断ってくれ、時間を無駄にしません。
掲載されている求人は、管理職や技術職・専門職がメインです。当てはまらない人、職種が絞り込めていない人は他のエージェントも利用してください。
JACリクルートメントはこんな人におすすめ!
- 外資系や海外進出している企業に転職したい人
- 転職で無駄な時間をかけたくない人
- 管理職や技術職・専門職で転職をしたい人
【20代・第2新卒向け】おすすめ転職エージェント
ここでは、主に20代を対象とした第二新卒向けの総合転職エージェントを紹介します。未経験分野に挑戦したい人や丁寧なサポートを受けたい人におすすめです。
ハタラクティブ
※画像引用元:ハタラクティブ公式HP
ハタラクティブは20代のフリーターからの転職、既卒、第二新卒向けの総合転職エージェントです。IT業界にも求人案件があるため、未経験でもIT業界への転職を期待できます。
利用者の9割が20代かつ未経験者を対象にしているだけあって、転職ノウハウを含めたサポートも丁寧です。高卒・専門卒の人も半数を超えるため、学歴に自信がない人でも安心して利用できます。 スクールなどを利用してからIT業界へ進むのも堅実ですが、ハタラクティブなら、働きながら現場で覚えていくというチャレンジを可能にしてくれます。
ハタラクティブはこんな人におすすめ!
- 社会人経験や学歴に自信がない人
- 未経験でIT業界に転職したい人
- スクーリングせず働きながら学習したい人
UZUZ
※画像引用元:UZUZ公式HP
20代・フリーター・第二新卒の転職に特化するUZUZは、個人ごとに平均12時間の時間をかけて、オーダーメイドの就業サポートを行っているのが特徴です。
内定率が86%と高いだけでなく、入職後半年の定着率が96.8%と非常に高く、入社後も安定して働けるような求人の紹介に注力しています。
業界情報や面接対策を解説するYoutubeチャンネルを運営しているほか、ビジネスマナー研修なども行っており、フリーターから改めて第一歩を踏み出したい、という人に向いています。
UZUZはこんな人におすすめ!
- 求職者と同じ目線でサポートしてほしい人
- 内定率の高い転職サイトを使いたい人
- Youtubeやビジネスマナー研修などで転職活動に役立つ情報を得たい人
第二新卒向けのエージェントについて、より詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。

【女性におすすめ】転職エージェント2選
ここでは、女性の転職の実績が高い転職エージェントを紹介します。女性に寄り添った丁寧なカウンセリングや女性目線に立った独自のサービスなどが特徴です。
LIBZ
※画像引用元:LIBZ公式HP
LIBZは女性向け求人を扱う会員制の転職サイトですが、登録するとハイクラスの求人を紹介してくれる「LIBZ幹部ドラフト」「LIBZ エキスパート」というエージェントサービスも利用できます。
リモートワークやフレックス制度を導入している企業やクリエイティブな仕事など、魅力のある求人情報を扱っています。これまでの経験やスキルを活かしながら、女性が自分らしく活躍できる求人に出会えるサイトです。
運営企業は株式会社リブという企業で、対象エリアは首都圏に集中しています。首都圏の女性向け求人を探しているなら、ぜひ会員登録してみてください。
LIBZはこんな人におすすめ!
- 首都圏で転職を検討している女性
- 経営幹部を目指している女性
- リモートワークやフレックスなど自分のスタイルに合った求人を紹介してほしい女性
type女性の転職エージェント
※画像引用元:type女性の転職エージェント公式HP
type女性の転職エージェントは、サービス開始から18年続く女性専門の転職エージェントです。 年間5,000名以上にカウンセリング、数百名の転職支援など確かな実績(2016年度実績)があります。
また、女性のための転職求人情報サイト「女の転職type」を運営するなど、女性の転職に関するノウハウを持ったサービスであることがうかがえます。 アドバイザーは女性中心であるため、女性1人でも安心してカウンセリングをうけることができるでしょう。
さらに、業種や職種によって専門チームを構成し、未経験業界へのチャレンジも可能にしています。また、面接時のメイクアップなど、独自のサービスも魅力的です。
- 女性転職の実績が豊富なサービスを利用したい人
- 業界・職種専門スタッフのアドバイスがほしい人
- 面接時の服装やメイクアップまでサポートしてほしい人
女性向けの転職エージェントについて、より詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。

【外資・グローバル系】おすすめ転職エージェント
ここでは、外資系の求人に強い転職エージェントを紹介します。語学力を活かした転職を目指す人や、専門のキャリアアドバイザーのサポートを受けたい人におすすめです。
ランスタッド
※画像引用元:ランスタッド公式HP
ランスタッドは世界39ヶ国のネットワークを活かし、外資系求人を豊富に取り扱う転職エージェントです。特に、製造・エンジニアリング、BtoC業界、ライフサイエンス、IT・テクノロジー、管理部門系には専門のキャリアアドバイザーが在籍しています。
また、ランスタッドのキャリアアドバイスは、5年後や10年後を見越したものです。将来のキャリアプランを具体的にイメージし、転職を進めることができます。
- 外資系求人が豊富な転職エージェントを探している人
- 専門のキャリアアドバイザーにサポートしてほしい人
- 将来を見据えたアドバイスがほしい人
外資系・海外向けの転職エージェントについて、より詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。


【IT・エンジニア系】おすすめ転職エージェント2選
ここでは、IT・エンジニア業界の求人実績が高い転職エージェントを紹介します。IT系に詳しいアドバイザーのサポートを受けながら転職活動ができるので、他業種からの転職でも安心です。
GeeklyはITエンジニア、Webクリエイターの他、ゲーム業界にも明るい転職エージェントです。
また、採用年齢比率を見てみると、20代が39%、30代が42%と多いものの、40代も19%を占めています。年齢に縛られず、幅広い年齢層の転職に向いている転職エージェントといえるでしょう。
さらに、GeeklyではIT企業の評判や選考情報を掲載した「Geekly Review」を運営しています。気になる企業を見つけたら、口コミを確認して企業の雰囲気をつかむことができます。
- IT・ゲーム業界への転職に興味がある人
- 企業の口コミを確認してから応募したい人
- 20~40代の幅広い年齢層
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、ITを専門とした転職エージェントです。
カウンセリングの丁寧さや転職先情報のきめ細かさなどが評判となって利用者を増やしています。 専門アドバイザーによる初回の提案での内定率は90%を超えています。
レバテックの企業側担当者は、求人企業の現場に年間3,000回以上通って、転職先情報を仕入れています。業界知識だけでなく実際の転職先情報の豊富さ、カウンセリングの評判など、利用価値の高い専門転職エージェントです。
レバテックには「エキスパート」「フリーランス」などの関連サイトもあり、ITエンジニアのキャリアにあわせてサイトを選んで利用することができます。
レバテックキャリアはこんな人におすすめ!
- エンジニア転職に特化したサービスを利用したい人
- IT転職を効率よく決めたい人
- 経験が豊富でフリーランスで働く選択肢がある人
IT系に強い転職エージェントについて、より詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。

転職エージェントを利用してどうだった?利用者383人にアンケート!

まだ転職エージェントの利用を迷っていて、このように疑問を感じる人もいるかもしれません。
このような疑問に答えるために、編集部では実際に転職エージェントを利用した383人にアンケート調査を実施しました。
利用者には、以下の5つの質問をし、回答をまとめています。実際の利用者の生の声ですので、ぜひ参考にしてください。
- 実際に転職に成功したのか
- 年収アップしたのか
- 担当者の対応はどうだったのか
- 転職後にギャップはなかったか
転職エージェントを利用して転職に成功した人は6割
転職エージェントを利用した383人のうち、「転職できた」と回答した人は225人(全体の59%)で、過半数の人が転職エージェント経由で転職に成功したことが分かりました。
とはいえ、4割は転職エージェントでの転職には成功していないため、「登録さえすれば転職に成功する」という考えは危険だと言えるでしょう。
転職成功者のうち、希望の年収が実現できた人は9割以上
転職者にとって気になるのが転職後の年収です。エージェント経由で転職した225人のうち、年収が「希望額と同程度」の人は61%、「希望より高かった」人が30%で、ほとんどの人が希望の年収を実現しています。
転職エージェントは企業との年収交渉も代行してくれるので、希望する年収を実現しやすいのは事実と言えるでしょう。
9割弱の担当者は転職者視点でサポートしてくれる
「転職後のキャリアも含めて真剣に考えて対応してくれた」「職務経歴書作成に関して適切なフィードバックをくれた」と回答する人は、転職した人のうち9割弱という結果に。ほとんどが転職者の立場でサポートをしてくれたと感じているようです。
一方で、「転職させることが目的」と感じさせるような残念な担当者も1割程度いることが分かりました。合わないと感じた際には遠慮することなく、公式サイト等から会社にフィードバックしましょう。
転職後に何らかのギャップを感じた人は約7割
転職した225人のうち、転職エージェントに聞いていた話とギャップを感じた人は約7割と多いことが分かりました。
ギャップの内容としては、「職務内容が聞いていた話と違った」「待遇や福利厚生が実態とは異なった」などが多い結果でした。
エージェントといえども、企業の内情を完璧に把握しているわけではないのが実情です。「過去に転職した人と面談を組んでもらう」「一緒に働くチームの人に話を聞く」などのアクションを取ることで、ギャップが生じるリスクを小さくできます。
転職エージェントの賢い使い方
アンケートの結果にもあった通り、転職エージェントを利用したからと言って転職に成功するとは限りません。
とはいえ、転職エージェントの使いこなし方を知っていれば、成功する確率を高めることはできます。
ここでは、転職エージェントの賢い使い方として、次の3つのポイントを紹介していきます。
①転職したい理由・やりたいことを事前に整理しておく
転職エージェントは、提示された情報を元にサポートをしてくれますが、転職者の本当の望みまではわかりません。ミスマッチを避けるためにも、自分自身の気持ちを知り、言語化して伝えていく努力は必要です。
転職したい理由とやりたいことは、表裏一体になっていることが多いです。分析例を見てみましょう。
転職したい理由(現状に対する不満など) | やりたいこと(転職をして実現したいこと) |
仕事の責任と給料が見合わない | 実力に見合った評価を受けたい |
休日出勤が多い | 決められた休みを取れる会社で働きたい |
希望する部署にいけない | 希望部署(専門分野)で活躍したい |
初めは固く考えすぎず、思い浮かんだことを箇条書きでよいので書き出してみてください。書き出すうち、因果関係が見えてきて、本当の気持ちに気付けることもあります。
②紹介された求人にはフィードバックを行う
紹介された求人が希望に合わないときは、どうして合わないと感じたのかや、アドバイザーに対する希望を丁寧に伝えると、より希望に近い求人の紹介を受けられるようになります。
初めから希望に100%合う求人が出てくると考えず、お互いに歩み寄る姿勢が大切です。
よくあるのが、紹介される求人の数が多すぎて見切れず、そのままにしてしまうケースです。忙しくて多くの求人を見る時間がなければ「特におすすめの求人に絞って紹介してください」と伝えておくとよいでしょう。
③転職への意欲を見せる
アドバイザーは一人で複数の転職希望者を担当しているケースが多くあります。
優先して対応してもらうためには、アドバイザーに丸投げするのではなく、「この人のためにいい求人を紹介したい」と思ってもらえるように行動することも大切です。
具体的には、転職したい理由をしっかり伝える、返信をこまめにする、紹介されたセミナー・イベントに参加するなど、アドバイザーとのコミュニケーションを深め、転職の意欲を示しましょう。
その意味でも、アドバイザーとの相性の良さは重要なポイントになるといえます。

①効率的に採用につなげられそうな人と思ってもらえるかどうか
②採用に至るまでは時間と手間がかかるが「サポートしてあげたい」と思ってもらえるかどうか
のどちらかを満たすことが大事です。
転職軸や転職理由が明確かつ、担当者に分かりやすく伝えられる人は、マッチする案件を紹介すれば採用につながるだろうと思われるので、注力してもらいやすいです。
転職理由が明確ではない人も、「素直に担当者のアドバイスを聞く」「連絡や返信をはちゃんとする」「お礼を言う」などの基礎的な努力をすれば、注力してもらえる可能性は高くなります。
転職エージェントの利用前に最低限知っておきたい知識
本記事では転職エージェントにフォーカスしていますが、転職エージェント以外にも転職する方法はあります。代表例が「転職サイト」でしょう。
2つの違いを理解していないと、遠回りになってしまう可能性もあります。ここでは、転職エージェントと転職サイトの違いを解説します。
転職エージェントのメリット・デメリット、どのような人が向いているのかも説明するので参考にしてください。
転職エージェントと転職サイトの違い
転職エージェントは企業との間にアドバイザーが入り、求人の紹介・やり取りの代行などをしてくれます。
転職サイトは自身で求人を探し、直接企業とやり取りをすることになるのが大きな違いです。
その他の違いについても表にまとめたので見てみてください。
転職エージェント | 転職サイト | |
求人数 | 転職サイトと比べて少ない | 転職エージェントと比べて多い |
求人検索 | アドバイザーが紹介 | 自分で探す |
選考 |
|
自分で対応する |
給与交渉 | アドバイザーが代行 | 自分で交渉する |
退職 | アドバイザーがサポートするところもある | 自分で対応する |
利用料金 | 無料 | 無料 |
向いている人 |
|
|
転職エージェントのメリット・デメリット
上記で見た転職エージェントの特徴から、メリット・デメリットを整理してみましょう。
メリット | デメリット |
|
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転職エージェントの中には、企業との間に太いパイプを持つところもあります。複数の応募者で迷った場合、「このエージェントが言うなら」と、コネクションが内定の最後の一押しになることもあります。
一方、転職エージェントを利用しての転職活動は、担当につくアドバイザーの質や自分との相性が成否に大きく影響します。必ずしもよいアドバイザーがついてくれるとは限らないのがデメリットです。
転職エージェントの利用に向いていない人
上記で紹介したデメリットから、次のような人は転職エージェントの利用に向いていない可能性があります。
- 担当者の話をなんでも鵜呑みにしてしまう人
- 自分の好きな企業を自由に探して応募したい人
このような人の場合、転職サイトの方が相性がよいかもしれません。自分の性格や状況をふまえて、どのサービスを選ぶか考えてみましょう。

ただし、何度も要望を出していると相手にしてもらえなくなることもあるので、注意しましょう。
転職エージェントを利用しないことによるメリット・デメリットについて詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。

転職エージェントを利用した転職の流れ
転職エージェントを利用した転職活動の流れについて見ていきましょう。エージェントへの登録から現職の退職まで、流れをまとめたのでご覧ください。
上図を見ると分かるように、キャリアアドバイザーとは最初から最後まで二人三脚で動いていくことになります。
相性のよいアドバイザーを見つけられるかどうかに、転職活動の結果は左右されると言ってもいいでしょう。

転職エージェントを初めて使う場合は、担当者に素直に伝えることをおすすめします。
その際にキャリアに迷っている人や転職軸が定まっていない人は、それも含めて伝えましょう。
そうすることで、いきなり案件の紹介から入るのではなく、まずは転職軸を決めるところからアドバイスを受けられるでしょう。
迷っていると伝えているのに、強引に案件を紹介したりする担当者は避けたほうが賢明です。
転職エージェント利用時の流れについてより詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてお読みください。

【Q&A】転職希望者が抱えやすい疑問に回答
最後に、転職希望者が抱えやすい転職エージェントに関する疑問にお答えします。転職エージェントに登録する前に基本的な疑問はここで解消しておきましょう。
- 年代別(20代・30代・40代・50代)におすすめな転職エージェントはある?
- 専門職向けにおすすめな転職エージェントはある?
- 利用料金はかかる?
- 面談したら転職しなければならない?
- エージェントの利用を断られることはある?
- コロナ下の転職はすべき?
- 決まる前に辞めてもいい?
- 初めてアドバイザーと面談する際に準備しておくことは?
年代別におすすめな転職エージェントはある?
総合系の転職エージェントはどの年代とも相性がよいですが、年代に特化した転職エージェントも多数あります。
年代別におすすめエージェントを紹介する記事をまとめましたので、ぜひご覧ください。
年代 | 記事タイトル |
20代 | 【20代向け】おすすめの転職エージェント4選をタイプ別に紹介! |
30代 | 30代におすすめの転職エージェント9選!未経験でも転職はできる? |
40代 | 40代転職におすすめの転職エージェント10選!特徴・選び方を解説 |
50代 | 50代におすすめの転職エージェント14選!利用する際のコツも紹介 |
専門職向けにおすすめな転職エージェントはある?
医師や看護師、コンサルや経理など、専門職に特化した転職エージェントも多数存在します。以下でおすすめエージェントをまとめた記事を一覧にしていますのでご覧ください。
利用料金はかかる?
転職者が転職エージェントに支払う利用料金は、無料となっているところがほとんどです。これは、求人企業側が転職エージェント経由で募集をかけ、採用が決まると成功報酬を支払う仕組みとなっているためです。
ただし、転職エージェントサービスそのものは無料であるものの、キャリア相談やスカウトサービスといったサービスを付加すると有料となるところもあります。
キャリア相談とは、自己分析や中長期的なキャリア形成を目的としたキャリアカウンセリングやコーチングなどのサービスです。スカウトサービスとは、転職者の経験やスキルなどに興味を持った企業から直接オファーが届くサービスを指します。
面談したら転職しなければならない?
転職エージェントのアドバイザーと面談したからといって、転職をしなければならない訳ではありません。転職活動のためだけでなく、情報収集や現職に留まることを確認するために、アドバイザーとの面談サービスを利用している人も数多くいます。
「転職するかどうか決めていないけれど、今回はとりあえず相談をしたい」と伝えれば、アドバイザーはその意向に沿った対応をしてくれます。
エージェントの利用を断られることはある?
エージェントの抱えるどの企業にもマッチしないと判断された場合、利用が断られるケースはあります。
とくに特化型の転職エージェントの場合は、次のような理由から利用を断られることもあります。
- 転職者の経歴、経験、実績、スキルが求人条件と合わない
- 転職者が希望する職種や業界の求人の取り扱いがない
- 転職者の希望勤務エリアがサービスの対象外
このような理由で利用を断られた場合は、各エージェントの登録要件にたまたま合わなかったというだけのことですから、不安に感じる必要はありません。自分の条件に合った他のエージェントを探しましょう。
コロナ下の転職はすべき?
2022年2月に入り、日本の有効求人倍率は2ヶ月連続で上昇し、経済・雇用情勢は持ち直しの動きがみられます。
しかし、新型コロナウイルスの感染が高止まりの状況になっていることに加え、円安、原材料費の高騰などの影響が懸念されており、今後の見通しは不透明な状況です。
このような状況下でも、新しい生活様式の導入により業績を伸ばした業界、特にIT・Web・EC業界では採用が活発に行われており、即戦力としての経験・スキルを持っている人が転職に成功しています。
経験・スキルに自信がない場合は、資格取得など転職に向けた備えをしながら、実際に転職活動を始めるタイミングを慎重に見極めたほうがよいでしょう。
決まる前に辞めてもいい?
原則としては転職先を決めてから退職することをおすすめします。転職先が決まる前に退職し、無職・無収入の期間が想定よりも長引くと、あせりを感じて転職前よりも悪い条件で妥協してしまうかもしれません。
今の会社で働く中で心身に悪影響が出ているなど、特別な場合を除けば、見切り発車で退職するのは避けたほうがよいでしょう。
初めてアドバイザーと面談する際に準備しておくことは?
初めてアドバイザーと面談する際は、前日までに次のことを用意しておくと、面談がスムーズに進みます。
- 履歴書・職務経歴書を書く
- キャリアプランを整理しておく
- 転職時期や転職先の希望条件・優先順位を決めておく
- アドバイザーに質問したい項目を整理しておく
キャリアプランは、次のことを考えて、メモに書き出しておきます。
- 5年後・10年後にどうなっていたいか?
- 将来の目標は?
- キャリアビジョン(人生や仕事における自分の理想像・将来像)は?
- キャリアパス(キャリアビジョンを実現するための道のり)は?
これらはすべて書ける範囲内で構いません。面談当日は、履歴書、職務経歴書、証明写真(縦4cm×横3cm)、A4用紙が入る鞄・ファイル、筆記用具を持っていくとよいでしょう。
まとめ
この記事で紹介してきたように、転職エージェントと一言でいっても、取り扱っている分野や提供しているサービスは、サービスによってそれぞれです。
転職エージェントに登録する際は適当に選ばず、エージェントの4つのタイプとそれぞれの特性を知り、自分に合うタイプは何かを考えることから始めることをおすすめします。自身に合うタイプの中でいくつかに登録して、担当者との相性がよいサービスに絞るとよいでしょう。
アドバイザーに頼り切るのではなく、「この人のためによい求人を紹介したい、ぜひサポートしたい」と思ってもらえる転職者となることも大切です。相性がよいアドバイザーについてもらったら、コミュニケーションを大切にして、自らが主人公となって転職活動を進めましょう。
本記事を参考にしながら、転職エージェントの仕組みや注意点を理解し、ぜひ理想の転職を実現させてください。

