第1章 Windows 10は新たな時代を築けるか - 最後のバージョンとなるWindows 10

Microsoftの開発部門に属するJerry Nixon氏は、同社が2015年5月に開催したMicrosoft Igniteで、「Windows 10はデスクトップOSのラストバージョンになる」と発言している。振り返れば1985年11月にリリースしたWindows 1.0からXPを経由すると、Windows 10は14番めのOSだ。

Windows 1.0からWindows 10までの主なタイムテーブル

Microsoftは長年続けてきたバージョンアップスタイルから脱却し、Windows 10を新たな拠点に位置付けている。このことを明確に表しているのが「Windows as a Service」だ。このキーワードを解説する前に、その背景から述べることにしよう。上図をご覧のとおり、コンシューマー向けOSとして生まれたWindows 1.0と、IBMと共同開発していたOS/2の次期バージョンから発展したWindows NT 3.1は出発点が異なる。

だが、コンシューマー向けWindowsとビジネス向けWindows NTの両立はMicrosoftにとってデメリットが大きく、Windows 2000のタイミングで統合を目指した。その結果生まれたのがWindows XPである。このように異なる開発ラインを併合したのはこれだけではない。Windows 8の時点でWindows Phone 8とXbox Oneのカーネルと完全統合し、Windows 8.1の時点でもWindows Phone 8.1のアプリケーションプラットフォームを統合している。

そしてWindows 10は、あらゆるデバイスで同一のコアカーネルやアプリケーションプラットフォーム(UWP: ユニバーサルWindowsプラットフォーム)を実装した。Microsoft関係者が「1つの~」と発言する所以(ゆえん)は、この"One Windows"に集約されている。

同社は1990年代から続いてきた複数のプロダクトラインを完全統合し、Windows 10を新たなスタートラインとした。これが"サービスとしてのWindows"に至る1つめの理由だ。だからこそ、Windows 10は最後のメジャーバージョンアップであると同時に"始まりのOS"となる。

あらゆるデバイスで同一のOS(カーネルやプラットフォーム)を動作を目的としている

もう1つの理由は、"OSの無料化"が広まってしまった点にある。Mac(Macintosh)のOS Xは2013年10月にリリースしたOS X 10.9 Mavericksでアップグレードを無償化した。また、iOSやAndroid OSは有料化した過去がない。もちろんPC向けOSとスマートフォン向けOSはビジネスモデルが異なるため、それらを一概に比較するのは的外れに聞こえるだろう。

だが、スマートフォン/タブレット市場がPC市場を追い越し、人とITのあり方が変化しつつある中、OSで収益を上げるというビジネスモデルは、コンシューマー市場に限れば完全に過去の遺物だ。

その結果生まれた"サービスとしてのWindows"は、数年内に登場するであろう新技術やセキュリティ脅威に即時対応するため、更新プログラムや定期的な大型アップデートで対応し(Windows 10も2016年の"Redstone"が予定済み)、パッケージレベルのアップグレードはWindows 10が最後となる(とMicrosoftは説明している)。

以前のWindowsは、カーネルレベルでの根本的な見直しが求められた際、互換性や大規模市場への影響からOSのメージャーバージョンが繰り上がるまで、大幅な機能拡張は見送られてきた。だが、Windows 10は現実社会の変化に即時対応するプラットフォームを目指すのである。これが"サービスとしてのWindows"の正体だ。