第5章 Windows 10のテクノロジー - Microsoft Wi-Fiとジオフェンスのサポート

Windows 10におけるネットワーク機能の改善は3つに絞っていいだろう。1つめは「Wi-Fi Direct」APIの更新、2つめは「ジオフェンス」のサポート、そして最後は「Microsoft Wi-Fi」だ。まずは順番に説明しよう。

Wi-Fiスポットを経由せず、Wi-Fiデバイス同士が互いに接続する規格「Wi-Fi Direct」自体は目新しいものではない。Wi-Fi製品の普及促進を行う業界団体Wi-Fiアライアンスが2010年から認証を始めたWi-Fi Directは既に多くのスマートフォンが実装している。Wi-Fi Directを制御するAPIはWindows 8の時点で搭載しており、Windows 10はアプリケーションから切り替えることなくデバイスのペアリングが可能になると言う。Wi-Fi Directの仕様を踏まえるとモバイルが主体となるため、タブレットや今後登場するWindows 10 Mobileで真価を発揮するだろう。

Build 2015ではSurface Pro 3(と思われる)同時をWi-Fi Directで接続するデモンストレーションを披露した

2つめの「ジオフェンス」は既に多くのスマートフォン向けOSで一般的になりつつあるジオフェンス(特定範囲の仮装境界線)をWindows 10上のユニバーサルWindowsアプリで使用可能になるという点だ。執筆時点では対応するアプリケーションが存在しないため、ジオフェンスの概要を説明しよう。

こちらは位置情報を利用し、指定範囲の境界線(フェンス)を越えるとメール送信など任意のアクションを実行するという機能だ。既にiOSやAndroidはサポート済みの機能だが、Microsoftもジオフェンス機能の導入を開発者に薦めていた形跡はBuild 2014の資料で確認できた。当時はWindows Phone用アプリケーションを想定した技術説明だったが、察するに同じ仕組みをWindows 10に持ち込んだ形となるだろう。

Build 2014のスライド資料では、Windows Phone向けアプリケーション開発モデルとして、ジオフェンス機能を紹介していた

Windows 10のジオフェンス機能は「プライバシー\位置情報」できる

そして3つめの「Microsoft Wi-Fi」は2015年7月13日にリリースしたWindows 10 Insider Preview Build 10166のアナウンスと同時に発表された機能である。筆者はそれ以前のビルドを精査したした際に見付けた「Wi-Fiセンサー」の存在に疑問を持っていた。それはWi-Fiスポットの共有するメリットに気付けなかったからだ。

Microsoft Wi-FiはMicrosoftの子会社にあたるSkypeが運営するWi-Fiスポット「Skype WiFi」を改称し、有償でWi-Fiスポットを利用可能にするサービスである。先のアナウンス日から米シアトルでテスト運用を開始しているが、国内でいつ頃から始まるかは不明だ。支払いはWindowsストア経由で行えるため、クレジットカードやMicrosoftギフトカードをそのまま使用し、数ステップでWi-Fiスポットにアクセス可能になると思われる。

ユニバーサルWindowsアプリ「Microsoft Wi-Fi」を起動した状態。使い方を説明しているが、日本はまだ対象外

このMicrosoft Wi-Fiと連動するのがWi-Fiセンサーだ。共有許可を出したWi-FiスポットをMicrosoftのサーバに送信し、接続時のパスワードをOutlook.comなどの連絡先と共有すると言う。一見するとセキュリティリスクを生み出す設定と見間違えるが、あくまでも共有するWi-Fiスポットは、Microsoft Wi-FiのWi-Fiスポットとしているのだろう。

ただし、職場や家庭内のWi-Fiスポットと区別する仕組みを用意していないのか、仕事場のWi-Fiスポットも共有可能である。もっともメッセージにあるとおりパスワードが相手に伝わることはないものの、Microsoftのサーバに登録されてしまうので、その点は注意を払うべきだろう。今後国内でMicrosoft Wi-Fiが始まり、利用する場合は有効にすべきだが、室内から持ち出さないデバイスの場合は各設定を無効にすることをお薦めする。

「Wi-Fiセンサー」の設定画面。Wi-Fiスポットへの接続や共有に関する設定が可能になる

いずれにせよ利便性とセキュリティはトレードオフの関係にあるため、"上手なさじ加減"をMicrosoftには期待したい。