第4章 Windows 10のアプリケーション - 新標準WebブラウザーとなるMicrosoft Edge その3

Microsoft EdgeでWebブラウジングしていると、Internet Explorerを使っているような感覚を思い出す。それもそのはず、各ショートカットキーが同じなのだ。例えばタブを選択する[Ctrl]+数字キーや、タブを切り替える[Ctrl]+[Tab]キーといった多くのキーをそのまま使用できる。他方でコンテキストメニューを用いたショートカットは一切使えない。正確に述べると、Microsoft EdgeはユニバーサルWindowsアプリのため、デスクトップアプリ版Internet Explorerのようなアクセスキーを用いた操作が使えないのだ。そのため使用感はWindowsストアアプリ版Internet Explorerに近い、と述べた方が伝わりやすいだろう。

ユニバーサルWindowsアプリのため、従来のコンテキストメニューは用意していない

では、Microsoft EdgeはInternet Explorerの環境そのままに移行できるか、と問われれば答えは否である。Microsoft EdgeはかろうじてAdobe Flash Player(32ビット版)をサポートしているが、ActiveXやBHO(Browser Helper Objects)、Silverlightは使用できない。これらの拡張機能を必要とするWebサイトに対しては、Internet Explorerを併用することで問題は回避できるが、移行先という観点から見ればネックとなる。

Silverlightのダウンロードページの対応OSとして、Windows 10は並んでいるものの対応先はInternet Explorer 11。「Silverlightは、Microsoft Edgeで使用できないが、Internet Explorerをサポートしている」という脚注からも分かるように、Adobe Flashに比べて普及率が高くなかったSilverlightは、今後静かに舞台から退場していくのだろう。

Microsoft Edgeの詳細設定。Adobe Flash Playerはサポートしているが、ActiveXやBHO、Silverlightは古い技術として切り離される

さて、UIに目を向けると「テーマ」が用意されている。Microsoft Edgeに限った話ではないが、Windows 10の標準ユニバーサルWindowsアプリは白色と黒色、2つのテーマを共通して使用できる。また、<ホーム>ボタンは詳細設定の<[ホーム]ボタンを表示する>のスイッチでオン・オフを切り替える仕組みをリリース直前のプレビューで実装した。

ただし、ホームページとMicrosoft Edge起動時に表示するページは異なる。設定から<スタートページ><新しいタブページ><前のページ><特定のページ>の4種類から選択可能。少々分かりにくいが、起動時のWebページと<ホーム>ボタンを押した時の2種類が選択できるという仕組みが加わったと捉えてほしい。

テーマを「黒」に変更した状態。Windows 10の基本テーマが黒色のため、こちらの方がなじむ印象を受ける

詳細設定のスイッチをオンにし、必要に応じてURLを変更することで、ホームページを設定できる

Microsoft Edgeは2015年1月にMicrosoftが発表したコンセプトどおり、シンプルなUIとリッチなWebコンテンツを快適に表示できるWebブラウザーとして仕上がっているが、気になるのはアドオンの存在である。Build 2015のキーノートでは、Google Chromeのreddit(海外の掲示板)用拡張機能をMicrosoft Edge上で動かすデモンストレーションを披露したが、リリースには間に合っていない。

Build 2015では、Google Chrome用アドオンをMicrosoft Edgeで動かすデモンストレーションを披露した

改めて述べるまでもなくMicrosoftはiOS/Android用アプリケーションをWindows 10で動作するようにVisual Studioを拡張し、WebブラウザーもFirefoxアドオンやChrome拡張機能を取り込もうとしている。これを我欲と呼ぶか柔軟性と呼ぶかは人それぞれとして、Microsoftは"エコシステム"と称している。個人的にMicrosoft Edge最大のアピールポイントに数えられる機能と捉えていたが、現時点で詳細は一切語られていない。

Microsoft EdgeはシンプルなよいWebブラウザーである。だが、それだけだ。既に拡張機能/アドオンで自分好みにカスタマイズすることが当たり前となった今、PCの操作に慣れたユーザーには物足りなく感じるだろう。逆にカスタマイズせずに、そのまま使用することを望むユーザーには、バランスのよさから広く受け入れられるはずだ。なお、実験的な機能に関しては「about:flag」で開くページから設定できる。