第5章 Windows 10のテクノロジー - DirectX 12でPCゲーム時代は復権するか? その2

約6年ぶりのメジャーアップデートとなるDirectX 12だが、ユーザーがもっとも気になるのは、"手元のGPUが対応するか否か"という点だろう。既に2014年3月のGDC 2014で概要は発表されており、当時はNVIDIAならFermiアーキテクチャ以降、AMDならGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャ以降、IntelならHaswellアーキテクチャ以降が対象に含まれると述べていた。

まずNVIDIAのFermi第1世代となると2010年3月のGeForce 400シリーズとなるが、5年前のGPUがどれだけのパフォーマンスを出せるかは疑問だ。DirectX 11以降、Feature Levelという機能レベルに応じた段階を設けているが、仮にGeForce 400シリーズがDirectX 12に対応したとしても、最低限レベルのサポートになるだろう。

「DirectX診断ツール」の実行結果。「DirectXバージョン」が「12」になっている

DirectX 12の「機能レベル」は「12.1」は、DirectX 12の機能をフルサポートしていることを意味する

上図はGeForce GTX 970を搭載したPC上で「DirectX診断ツール」を実行した結果だが、ご覧のとおりDirectX 12が使用可能であることを確認できた。また、「ディスプレイ」タブの機能レベル(Feature Level)では、「12.1」まで対応していることが見て取れる。

このようにアーキテクチャの世代に応じてDirectXの機能は差異が発生し、第2世代Maxwellアーキテクチャであれば、Feature Level 12.1もサポートするようだ。これらのことからNVIDIAは、GeForce GTX 960以上のGeForce GTX 900シリーズ(およびGeForce GTX TITAN X)がDirectX 12世代に最適なGPUとなる。

AMD GPUに関して筆者は詳しくないが、調べてみると「Mantle」というキーワードにたどり着いた。こちらはAMDが独自整備したローレベルAPIだが、役割的にはDirectX 12と重複するため、ひとまずWindows 10では重要ではない。DirectX 12が動作するGPUはGCNアーキテクチャ各世代が対象となるため、Volcanic Islands世代と呼ばれるR7/R9 2xxシリーズとなるが、NVIDIA製GPUと同じ理由で R9 285以降を選択した方がよい。

そしてIntelのHD Graphicsだが、Haswellアーキテクチャと言えば第7.5世代GPUだが、実際は2015年1月に発表したBroadwellアーキテクチャ(第8世代)のHD GraphicsがDirectX 12対応環境となる。このあたりはGDC 2014がBroadwell発表前だったため致し方ないだろう。

こちらはIvy Bridgeアーキテクチャ上のため、DirectX 11でとどまる

DirectX 12も重要だが、WDDM(Windows Display Driver Model)にも注目しておこう。そもそもWindows 10が搭載するWDDM 2.0はWindows Vista時代に設計が始まっており、段階的にWDDM 2.1までのバージョンアップが予定されていた。結果的にDirectXと共に開発が停滞し、今回のWindows 10でようやくWDDM 2.0が日の目を見ることとなる。

WDDM 2.0はMiracastのパフォーマンス改善やハードウェアH264、4K解像度のサポートなど多くの特徴を備えている。DirectX 12もベンダーが異なる複数のGPUをサポートしているが、WDDM 2.0も同様に個別のGPUによって接続したディスプレイに対応し、外部ポートの種類を問わずに併用することが可能だ。例えばノートPCが備えるDisplayPortとHDMIを各ディスプレイに接続すれば、マルチディスプレイ環境の構築が容易に行える。

WDDM 2.0は仮想GPUや4K解像度など数多くの機能を備える

「MS Hybrid」と呼ばれる機能のスライド。各外部ポートを併用して複数のディスプレイ出力をサポートする

なお、Microsoftの資料によれば、ユニバーサルWindowsアプリ「Xbox」でゲームを録画する「Game DVR」機能はWDDM 2.0の技術が基礎になっているそうだ。このように操作環境を面白くしそうなWDDM 2.0だが、いずれにせよ高品質のGPUや対応するビデオドライバが必要となる。既にNVIDIAは2015年5月の時点でDirectX 12対応ディスプレイドライバをリリースしたことを発表し、Intelも執筆時点ではベータ版ながらもWindows 10用ディスプレイドライバをリリース済みだ。気になる方はPCの使用用途や予算に合わせてGPUの換装や追加を一考すべきだろう。