第5章 Windows 10のテクノロジー - USB 3.1をフルサポートするWindows 10
前バージョンとなるWindows 8はUSBドライバを再構築し、USB 3.0をフルサポートしたが、同じようにWindows 10も最新のUSB規格であるUSB 3.1をサポートしている。そもそもUSB 3.1は、SS(SuperSpeedPlus)モードを新設し、USB 3.0のSuperSpeedに対する2倍の速度、10Gbpsの転送を可能にしているのが最大の特徴だ。この転送速度向上と並んで注目を集めているのが「Type-C」と呼ばれる新コネクタ規格。表と裏関係なくケーブルを接続できるのは、USBポートに悩まされてきたユーザーにとっては朗報となる。
もっともUSB 3.1自体は新しいものではなく、規格策定は2013年8月。2014年には各ベンダーがデモンストレーションを行い、USB 3.1インタフェースボードやUSB 3.1搭載マザーボードが登場し始めたのは2015年に入ってからだ。Windows 10のUSB 3.1サポートについては、WinHEC 2015で詳しく説明されているので、そちらのスライドを交えながら話を進めるが、1つめのポイントは「Dual Role」。一般的にUSB接続は"マスター""スレーブ"という主従関係で接続し、一般的にはPCがマスターに位置する。この縛りをなくした結果、スマートフォンからデータの送信なども可能になるだろう。
上図はWinHEC 2015のセッションで用いられたスライドから抜粋したものだが、Windows 10というよりもWindows 10 Mobileでの利用シーンを念頭に置いていることが分かる(最初のデモンストレーションもWindows Phoneを使ったDual Roleの実証だった)。セッションの多くはUSB 3.0自体の技術に重点を置いているが、Windows 10に大きく影響しそうなのが、USB PD(Power Delivery) 2.0である。
2012年に策定し、2014年8月改訂第2版が発行されたばかりのUSB PDは、USBケーブル経由で行う給電量を増やそうとする追加機能だ。例えばUSB 2.0は2.5W(5V 0.5A)、USB 3.0でも4.5W(5V 0.9A)。こちらを拡張したBC(Battery Charge)1.2でも7.5W(5V 1.5A)にとどまっていた。この上に位置するUSB PDは最大100W(20V 5A)の給電を可能にしながらデータ転送というUSB本来の機能も備えるため、大容量・高速充電・ケーブル本数の削減といったメリットを得られることになる。
このようにUSB 3.1時代はデータ転送速度向上と共に、多くのユーザーメリットが生まれる可能性が高い。本節の冒頭で述べたように執筆時点でUSB 3.1は黎明期を迎えた程度であり、Windows 10登場直後から恩恵を受けるのは難しいだろう。筆者も前回の「Windows 8大百科」と同じくUSB 3.1のパフォーマンスを検証しようと機材を取りそろえたものの、購入したUSB 3.1インタフェースボードが認識しないため、ベンチマークは見送ることにした。ご了承頂きたい。
それでもコネクタの表裏がなく、追加機能で双方の主従関係も存在しなくなるUSB 3.1 Type-Cの存在は大きい。過去のUSB各バージョンと同じく、しばらくはアーリーアダプターの玩具として注目を浴び、2015年秋冬もしくは2016年春モデルの新PCがUSB 3.1ポートを搭載することで、一気に普及することは間違いないだろう。



