第2章 Windows 10のインストール&アップグレード - 仮想ディスクにWindows 10を新規インストールする その1

Windows 10へのアップグレードをためらっているが、実機にインストールしたいという方は仮想ディスク(VHD: Virtual Hard Disk)を利用するのが安全かつ確実だ。VHDは、もともとはMicrosoftが買収したConectix社が開発したファイル形式だが、Microsoftが改良を加えて仮想マシン用ストレージや、バックアップのイメージファイル形式などに用いられている。さらにWindows 7 UltimateやWindows 8.x Proでは、仮想ディスクの作成やマウント、起動が可能だ。

従来であればパーティションを分割するなど、既存環境を破壊するリスクがあるデュアルブートだが、仮想ディスクならば不要になったファイルを削除し、ブートローダーの設定を変更するだけで済むため、"ひとまずWindows 10を試してみたい"という方にお薦めする。ただし、執筆時点ではパッケージ版やDSP版に関して明確な発表はなく、リリース時期も不明だ。そこで前述したアップグレード手順と同じくWindows 10 Insider Preview ビルド10162のISO版を使った手順をご紹介する。ちなみに試用期限がある評価版であれば、TechNet Evaluation CenterからWindows 10 Enterpriseエディションがダウンロードできるため、こちらを試してもいいだろう。

なお、仮想ディスクによる起動は「ネイティブブート」が正式名称だが、いくつかのデメリットがあることを事前に知っておいてほしい。まず物理的なストレージ上に仮想ディスクを作成し、それをメインストレージとして使用するため、パフォーマンスは厳しい。空き容量に余裕があるSSDがある場合はその上に仮想ディスクを作成した方が快適だが、過度なアクセスが発生するため、SSDの耐用期間が短くなる可能性があることを踏まえておこう。また、仮想ディスク上のOSは、休止状態やBitLockerドライブ暗号化、ダイナミックディスクは未サポートである。

Windows 10はUEFI環境を前提にしているが、VMwareやHyper-Vなどの仮想マシンで確認する限り、BIOS搭載PCでも動作するようだ。しかし、Windows 10のセキュリティ機能などを踏まえるとUEFI環境が必須であるため、今回はUEFI環境で64ビット版Windows 10を使用する。

それでは仮想ディスクの作成から取りかかろう。Windows 10セットアップ時にコマンドラインから「diskpart」コマンドを使っても作成可能だが、今回はできる限りコマンドライン操作を軽減するため、Windows 8.1上で作業を行う。ここでポイントとなるのは仮想ディスクのサイズだ。Windows 10のシステム要件では16Gバイト(64ビット版は20Gバイト)だが、余裕を持って30~40Gバイト程度を指定したい。また、仮想ディスクの形式は「VHDX」を選択しておく。後はGPTディスクで初期化すれば準備完了だ。

[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「diskmgmt.msc」と入力して、<OK>ボタンをクリックする

「ディスクの管理」が起動したら、<操作>メニュー→<VHDの作成>とクリックする

「場所」に仮想ディスクのファイル名とパスを入力し、「仮想ハードディスクのサイズ」に仮想ディスクの数値と種類を指定して、<OK>ボタンをクリックする

仮想ディスクは自動的にマウントされるので、そのまま右クリック。<ディスクの初期化>をクリックする

「ディスクの初期化」は<GPT>を選択してから、<OK>ボタンをクリックする

次はWindows 10をインストールするUSBメモリの準備。FAT32形式でフォーマットしたUSBメモリに、Windows 10のISOファイルをダブルクリックなどでマウントし、すべてコピーするだけでよい。UEFI環境ではブートセクターを参照しないため、これだけで作業は完了する。なお、Windows 8.1の表示形式でシステムファイルなどが非表示の場合は、コマンドプロンプトから「xcopy D:*.* /s /e /q E:\」(DドライブがWindows 10のISOファイルをマウントしたドライブ、EドライブがUSBメモリに割り当てられたドライブ)を実行すればよい。

ISOファイルの内容をすべてUSBメモリーにコピーする

後はPCをUSBメモリから起動するだけだ。Windows 7ならマザーボードの設定に従い、Windows 8.1なら<電源>ボタン→[Shift]キーを押しながら<再起動>をクリックすると現れるメニューから<デバイスの使用>を選んでUSBメモリを選択すると簡単だろう。

こちらはVMwareのUEFIブートメニュー。USBメモリから起動する