第3章 Windows 10のUI/UX - ファイル操作の要となるエクスプローラー その2

では、「お気に入り」の代わりに加わった「クイックアクセス」に注目しよう。こちらは使用頻度の高いフォルダーを「よく使用するフォルダー」、直近に使用したファイルを「最近使用したファイル」として参照を可能にする領域に置き換わった。Windows 8.xの「お気に入り」が単にショートカットファイルで管理していたことを踏まえると、さらにピン留め機能を加えるなら興味深い改善が行われている。

「よく使用するフォルダー」は文字どおり使用頻度の高いフォルダーを列挙し、さらに使用頻度が高いようであればユーザーはクイックアクセスにピン留めすることで、ユーザビリティを向上させる機能だ。一方の「最近使用したファイル」はWindows 7のスタートメニューに追加できる<最近使った項目>と同じく、ユーザーが使用したファイルを列挙する領域である。こちらはピン留めする仕組みは組み込まれていない。

クイックアクセスに並ぶフォルダーは、本領域に対してピン留めが可能になる

一見すると履歴情報を管理する「%USERPROFILE%\Recent」フォルダーを用いているのかと思いきや、どうやらロジックは異なるようだ。同フォルダーに複数のフォルダーが並んでいる状態でも、クイックアクセスに並ぶのは特定のフォルダーのみ。どの程度のしきい値を持って表示の有無を制御しているのか現時点で確認できないが、その機能自体は評価できる。

蛇足だが、Windows 8.1までのピン留めは「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\appsFolder.itemdata-ms」ファイルで管理していたが、同様のファイルはWindows 10で見当たらない。代わりにあったのは「appsFolder.itemdata-ms.remote」だった。このファイルがスタートメニューやクイックアクセス、タスクバーのピン留め情報を保持しているのか確認できなかったため、この点は稿を改めて報告したい。

ところでエクスプローラーを使っていて、何となく違和感を覚えた方はおられないだろうか。それはシステムフォントを変更しているからだ。ご承知のとおりWindows 8.xはシステムフォントとして「Meiryo UI」を採用していた(Windows 7はMS UIゴシック)。そしてWindows 10は「YuGothic UI」に変更している。

Windows 8.1でHKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\WindowMetricsキーのバイナリ値「MenuFont」を確認した状態。Meiryo UIを使用している

Windows 10の同バイナリ値。「YuGothic UI」に変更していることが確認できる

こちらが「YuGothic UI」をフォントビューアーで開いた状態

字游工房の「遊ゴシック」はWindows 8.1から加わったフォントだが、YuGothic UIは「遊ゴシック Medium」をベースに字間や行間を詰めたフォントのようだ。HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\WindowMetricsキーの内容を見る限り、「CaptionFont」や「IconFont」、「MessageFont」などすべてYuGothic UIに置き換わっている。そのため、見た目の雰囲気が以前と大きく異なっているのだろう。

エクスプローラーの動作を制御する「フォルダーオプション」についても若干の変更を確認できた。<全般>タブはエクスプローラーを起動する際、最初に表示する領域をクイックアクセス、もしくはPCを選択するドロップダウンリストが新たに加わった。また、「ナビゲーションウィンドウ」セクションを廃し、新たに「プライバシー」セクションを追加。クイックアクセスにファイルやフォルダーを追加するか否かの設定項目が用意されている。<表示>タブも久しぶりにカテゴリーを整理し、ナビゲーションウィンドウに関する設定が移動している。それ以外の項目はWindows 8.xと変わらず、<検索>タブも同等のため、今回は割愛しよう。

コントロールパネルに並ぶ「フォルダーオプション」は「エクスプローラーのオプション」に改称した

フォルダーオプション改めエクスプローラーのオプションダイアログを起動した状態。<全般>タブには「エクスプローラーで開く」や「プライバシー」セクションが加わった

ナビゲーションウィンドウに関する設定は<表示>タブの「詳細設定」セクションに移動した

ところでタブレットにおけるデスクトップ環境はお世辞にも使いやすいものではなかったが、この点もWindows 10で改善している。例えばコンテキストメニューをマウス操作で開く際は従来と同じだが、タッチ操作で開く場合は項目の間隔を広く取ってタッチしやすくなった。これは、既にOffice 2013が先行して導入した「タッチモード」をWindowsに取り込んだ形となる。

マウス操作でタスクバーのコンテキストメニューを開いた状態。従来と何も変わらない

ところがタッチ操作では項目の間隔が広がるため、タッチ操作しやすくなる

もっとも、この仕組みを確認できるのはコンテキストメニューおよびタブレットモード時の通知領域のみ。Office 2013のようにリボンに並ぶアイコン間隔は広がらず、新しいスタートメニューも同様だった。振り返ってみればプレビュー版は必要最小限の機能実装とバグフィックスに追いやられ、エクスプローラーにまで手が回らなかったと、同情的に見ることもできる。冒頭で述べたようにWindows 10は"始まりのOS"である以上、今後も何らかの改善が加わるだろう。

タッチ操作でスタートメニューに並ぶ項目(エクスプローラー)のメニューを開いた状態。こちらは間隔が広がるような仕組みを確認できなかった