第5章 Windows 10のテクノロジー - 復活したフルバックアップ機能と以前のバージョン

Windows 7からWindows 8.xに移行して、不便に感じた機能の1つがバックアップ関係である。「以前のバージョン」は、システムの復元ポイントやバックアップ時になど作成するスナップショットを使って、誤って上書きや削除したファイルを以前の状態に戻せる便利な機能だった。基盤としてWindows Serverが備えていたボリュームのシャドウコピー機能を使っているが、クライアントOSでも使えるようになったと喜んでいた記憶がある。

だが、Windows 8.xはPCのリフレッシュやファイル履歴など、バックアップに対する捉え方を大きく覆した結果、以前のバージョンを廃止し、システムイメージを定期的に作成するバックアップ機能も取り除いた。幸いにも筆者がWindows 8.xを使い始めてから、別途作成したバックアップデータを使う場面は一切なかったものの、ストレージやドライブ単位でバックアップを作成するのは"古い"のかと考えたこともある。

だが、Windows 10はその詰まらぬ悩みに光明を照らした。いずれの機能も復活させたのである。まず、以前のバージョンは既定で無効になっているため、ユーザーが手動で有効に切り替えなければならない。「システムのプロパティ」ダイアログの<システムの保護>タブで操作を行うと復元ポイントの作成が可能になるが、アプリケーションのインストールや一定時間が経過しないと自動的に作成されないため、同ダイアログから手動作成するといいだろう。

「sysdm.cpl」コマンドなどで「システムのプロパティ」ダイアログの<システムの保護>タブを開く。ご覧のように初期状態は無効になっている

<構成>ボタンをクリックすると、システムの復元機能を有効にできる。有効化とスライダーを動かしてディスク領域を割り当てる

システムの復元を有効化は一定時間が経過すると、フォルダーのプロパティダイアログに並ぶ<以前のバージョン>タブから、スナップショットを用いた復元が可能になる。なお、スナップショットの作成タイミングも従来と同じく、復元ポイントやバックアップに加えて、ファイル履歴の自動バックアップ時に作成されるようだ。

復元するファイルやフォルダーのプロパティダイアログから<以前のバージョン>タブを開けば、スナップショットを用いた復元ができる

一方の「バックアップと復元(Windows 7)」は名称からも分かるように、Windows 7の同機能と同じである。動作を確認した限りでは機能差は存在せず、バックアップ対象とするファイルの取捨選択や、実行タイミングなどをウィザードで指定する形だ。また、Proエディションの場合、NAS上の共有フォルダーへのシステムイメージバックアップも問題なく行えた。Windows 8.xユーザーでバックアップ機能に不満を感じていたユーザーには朗報になるだろう。

Windows 10でもシステムイメージ作成をスケジュール設定できるようになった

ただ、穿った見方をすれば、以前のバージョンの既定値や「バックアップと復元」に"Windows 7"と加えるあたり、"機能的には不要と我々は考えるものの、フィードバックが多いから復活させた"とMicrosoftの声が聞こえてきそうだ。あれこれとWindows 10に苦言を述べている筆者だが、アプリケーションなどの互換性問題をのぞけば、Windows 7やWindows 8.1にとどまる必要はないと考えている。今後もWindows 7にとどまろうと考えるユーザーにとって、これらバックアップ機能の復活は、旧態依然の使用スタイルを選びたい筆者を含めた多くのユーザーでも、安心してWindows 10を使えそうだ。