第4章 Windows 10のアプリケーション - Get Startedはヘルプファイルの代用になるか

Windowsにおける[F1]キーはヘルプ機能を呼び出すショートカットキーである。誰しもがそう答えるだろう。では、いつからこの仕様が確定したのだろうか。過去のOSを起動して確認してみたところ、Windows 3.0は既にアクティブなアプリケーションのヘルプファイルを開く機能として備わっているが、さらにさかのぼってWindows 2.03で確認すると、DOSプログラムの設定ファイルを作成する「Pifedit」が応答した。

Windows 2.03の「Pifedit(Program Information Editor)」。[F1]キーを押すとバージョンダイアログが現れる

上図のように単なるダイアログのため、冒頭で述べた仕様には合致しないが、1987年の頃から[F1]キーを押すとヘルプを表示するプロセスが生まれていたことになる。さて、本節をこのような昔話から始めた理由は、Windows 10のヘルプ機能に注目したいからだ。何もない状態で[F1]キーを押すとMicrosoft Edgeが起動し、「How do I get help in Windows 10」をキーワードにBing検索を実行する。

Windows 10で[F1]キーは特定のキーワードを用いたBing検索に割り当てられている

そもそもWindows 9x時代から続くヘルプファイルはセキュリティ上の理由によりWindows Vistaからサポートを終了し、それ以降は個別にWindows Helpプログラム(WinHlp32.exe)をインストールしなければならなかった。さらにMicrosoftはWindows 8.1をリリースしたタイミングで方針を変更し、Web上のヘルプページを充実させている。

先のリンクをクリックするとOSによってリダイレクトし、使用中のOSに関する情報を容易に入手できる仕組みになった。Windows 8.1のヘルプ機能である「Windowsヘルプとサポート」もオンライン上からコンテンツを取得する機能が追加されたため、同OSを使っていた方ならお気付きのことだろう。では、Windows 10はヘルプコンテンツを参照できないのか。答えは否である。

「Get Started」と名付けられたユニバーサルWindowsアプリは、コンテンツ表示時にインターネットアクセスを要することから、Microsoftが事前に用意したコンテンツをアプリケーション経由で表示しているのだろう。ハンバーガーメニューにはWindows 10の新機能が項目として並び、「新機能」にはスタートメニューやユニバーサルWindowsアプリ、Cortanaといった機能の要約が並び、各項目の詳細ページを参照させる仕組みになっている。

ユニバーサルWindowsアプリ「Get Started」を起動した状態。内容はWindows 10の新機能に限られている

「Get Started」はネット上からコンテンツをダウンロードして表示するため、使用にはネット接続環境が必要だ

コンテンツを熟読していないものの現時点での印象は、"Windows 10をインストールしたユーザー向けの情報コンテンツ"である。本来ヘルプファイルは、操作時に分からないことや困った内容を手助けするコンテンツが必要だが、Get Startedにそのような情報は含まれていない。また、検索機能も存在しないため、コンテンツ内容を横断的に読むこともできないだろう。このような観点から見ると、Get Startedを従来のヘルプファイルと同等に使うことは難しい。

だからと言ってWindows 10を否定するのは早計だ。前述のようにMicrosoftはWindows 8.1で、ローカルコンテンツによる管理からオンラインコンテンツに舵(かじ)を切り、今回の[F1]キーによるMicrosoft Edgeの起動も、そのビジョンを形にした結果である。手前味噌で恐縮だが、Windows 10以降は本稿を初めとする各Webコンテンツが重要な地位を占めることになるだろう。