第5章 Windows 10のテクノロジー - Windowsのサービス化に伴って変化するWindows Update

Windows 10でも、新機能の追加やセキュリティホールをふさぐ更新プログラムを配布するWindows Updateは健在だ。それどころか大きく変化が加わっている。基本的にコンシューマーユーザーである我々は「CB(Current Branch)」を選択する仕組みだが、過去の更新プログラムに起因するトラブルは枚挙に暇がない。そこでMicrosoftは、職場などでWindows 10デバイスを利用する場合、ビジネスユーザー向けにアップデートを制御する「CBB(Current Branch for Business)」を用意した。さらにミッションクリティカルな環境でWindows 10を利用することを想定し、新機能は提供せずにセキュリティやバグの修正のみを行う「LTSB(Long Term Servicing Branch)」が選択できる。もっとも、こちらはEnterpriseエディション向けとなるので、大半のユーザーには関係ない。

日本マイクロソフトが示したWindows Updateにおける3つのサービシングモデル

CBのプロセス。プレビューテストを元に検証を行い、4カ月後に更新プログラムをリリースする

CBBのプロセス。こちらも検証結果を踏まえて8カ月後に更新プログラムをリリースする

LTSBのプロセス。新機能に関する更新プログラムはリリースせず、セキュリティとバグ修正にとどまる

Microsoftはこの仕組みを導入するにあたり、迅速な対応を求めるユーザーがいる一方で、安定性や長期のサポートライフサイクルを求めるユーザーが存在することを、フィードバックやヒアリングから得たと言う。その結果、Windows Updateプロセスの見直しが必要と判断し、このような仕組みに置き換えている。そのプロセスを図に表したのが下記に示したスライドだ。こちらも日本マイクロソフトが作成したものだが、CBの前に「Windows Insider Preview Branch」というプロセスがあることが確認できる。こちらは既報のとおり2015年7月29日のアップグレード提供後もWindows Insider Programが続くことを示したものだ。

de:code 2015で日本マイクロソフトが示したWindows Updateプロセスの変更

つまり、これまでWindows Insider Programに参加してWindows 10 Insider Previewを使ってきたユーザーは、一度Windows 10にとどまるか、改めてWindows Insider Programに参加し、プレビュープログラムを続行する2つの選択肢が用意される。もちろんOSをWindows 7やWindows 8.1に戻して、Windows 10アップグレード後に「Insider Hub」のインストールやプログラム参加を申し込むことも可能だ。よく言えば"最新のWindowsをより早く使い続けられる"、悪く言えば"人柱"である。もちろん選択はユーザーに預けられているため、どちらを選択するかはご自身の判断次第だ。

参加済みMicrosoftアカウントでWindows Insider Programにサインインすると"再参加"となる

さて、Windows Updateの設定を確認すると<アップグレードを延期する>という項目に気付かれる。これはWindows 10 Insider Previewで導入した"Ring"の概念を利用し、「どの更新プログラムを選択するか」ではなく「どのタイミングで更新プログラムを適用するか」という考え方に成り立つ仕組みだ。リンク先の説明を読む限り、CBを選択した状態でも新機能のインストールを数カ月程度延期する、Proエディション以上の機能となる。

ただし、ビルド10240の時点ではWindows 10 Homeエディションにも同様の項目が残されていた。日本マイクロソフトは「Windows 10 Homeのユーザーには、Windows Updateによる更新プログラムが自動的に適用される」と説明しているため、直前の仕様変更もしくは今後のビルドで修正されるのかもしれない。

更新プログラムの導入タイミングはユーザーが意図的に延期することも可能だ

Microsoftの説明と異なり、Windows 10 Homeにも<アップグレードを延期する>が用意されている……

Windows Updateの変更点で注目したいのが「更新プログラムの提供方法を選ぶ」だ。こちらのスイッチをオンに切り替えると、複数の場所から更新プログラムの取得が可能になる。さらに<ローカルネットワーク上のPC><ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPC>と2つの選択肢が存在するが、前者はLANにぶら下がる他のWindows 10 PCのキャッシュを利用し、後者はインターネット上の近くのPCから取得するというもの。ここではP2P(Peer to Peer)技術が用いられる。

更新プログラムはLAN上のPCやインターネット上のPCからも取得可能

ちなみにMicrosoftはWSUS(Windows Server Update Services)は継続すると述べているが、執筆時点での最終更新時期は2009年8月のバージョン3.0 Service Pack 2。Windows Updateプロセスの変更に伴い、新たなサービスパックもしくはバージョンをリリースするのか興味深い。