第4章 Windows 10のアプリケーション - プレースホルダーを廃止したOneDrive

自社製オンラインストレージとして、Microsoftが2007年6月から「Windows Live Folders」との名称でローンチしたOneDriveは、複雑な経過を経て現在に至る。時代に合わせて機能や仕様を変更し、よく言えば柔軟、悪く言えば節操なく様変わりするOneDriveは、いまだ完成に至っていない、と評するべきだ。

OneDriveがWindows 10で大きく変化するのが「プレースホルダー(もしくはスマートファイル)」の廃止である。Windows 8.1で導入した同機能は、データがオンラインのみ(ローカルストレージに実体が存在しない)でも基本的な情報を参照して、あたかもそこに存在するように扱える仕組みだった。だが、Windows 10ではプレースホルダーを廃止すると発表したのは2015年1月7日の公式ブログでの出来事。Microsoftは「次のステップに進む」と記事中で述べているものの、個人的には先祖返りした印象を持つ。

さて、Windows 10におけるOneDriveはWindowsストアアプリの代わりになるユニバーサルWindowsアプリを用意せず、エクスプローラーとWebサイトからの参照にとどまる。通知領域などから起動するOneDriveの設定は、Windows 7時代のように同期対象とするフォルダーを選択する仕組みだ。

OneDriveの設定ダイアログに並ぶ<フォルダーの選択>タブから、同期対象となるフォルダーを取捨選択できる

筆者は以前、SkyDriveと呼ばれていた頃にMicrosoftの担当シニアディレクターから機能説明を受けたことがある。その際キャッシュデータを削除するような仕組みは用意しないのかと質問したところ、氏は「今は予定にない」と回答していたが、コンテキストメニューに加わった<オンラインのみで使用する>を踏まえると、実装はしたもののPowerShellなどからの自動化には至らなかったようだ。Windows 10のPowerShellは検証を終えていないが、コンテキストメニューの項目は大幅に増えているものの、前述の項目はプレースホルダー廃止に伴い、削除されている。

Windows 10のOneDriveフォルダーに対するコンテキストメニュー。オプションや共有リンクの作成項目は並ぶが、キャッシュ操作に関する項目は削除された

さらにWindows 10発表以降にMicrosoftが発表した技術資料に目を通すと、同社はOneDriveの仕様をOneDrive for Businessにすり合わせた印象を拭えない。改めて説明するまでもなくOneDrive for Businessは、Office 2007時代のGroove→SharePoint Workspaceと改称してきた歴史がある。海外ではOffice 365への移行が目覚ましく、透過的に連動するOffice 365とOneDrive for Businessを優先するMicrosoftの考えも理解できる。ただ、分かっているのは"ユーザーの利便性は低下した"、ということだ。

さて、Windows 10のOneDriveは悪い話ばかりではない。Windows 7ユーザーは便利に使えていた、インターネット経由でPC上のファイル参照する仕組みが復活している。本機能は同じMicrosoftアカウントでOneDriveにサインインしたPCに限り、互いのローカルストレージを参照可能にするというものだ。Windows 10はもちろんWindows 7をインストールしたPCも対象に含まれる。ただし、Windows 8.1は前述したようにロジックが異なるため対象外だ。

設定ダイアログで<OneDriveを使ってこのPC上のファイルにアクセスできるようにする>のチェックを入れる

Microsoft EdgeでOneDriveにアクセスした状態。コンピューター名からも分かるように、Windows 7をインストールしたPCを参照している

今後OneDriveがどの方向に進んでいくのか分からないが、スマートファイルはGoogleやAppleでは実現できない、OSと完全融合する機能だっただけに、今回の仕様変更は残念と言わざるを得ない。我々がストレージ容量の少ないタブレットなどを利用する際は、OneDriveの使い方に工夫を凝らす必要があるだろう。