第3章 Windows 10のUI/UX - 作業効率を向上させる仮想デスクトップ その2

もう少し仮想デスクトップの動作を確認したい。基本的に仮想デスクトップと言っても同一のデスクトップを仮想的に切り分けているため、クリップボードの内容やデスクトップ上のファイルなどは共通だ。どの仮想デスクトップに切り替えてもそのまま使用できる。また、その数も制限はないらしく、255枚までは確認したが、ハードウェアリソースが許す限り延々と作れそうだ。

仮想デスクトップの数は特に制限はなさそうだ。しかし、プログラム的に上限を設けないはずがないため、255枚まではと試したが特に問題なく仮想デスクトップを作ることができた

使っていて気になるのはアプリケーションの呼び出しだ。Windows 7から備わった機能の1つに、タスクバーのボタンを呼び出すショートカットキーがある。Windows 10の標準環境であれば[Win]+[1]キーを押せばMicrosoft Edgeが起動し、[Win]+[2]キーならエクスプローラー、[Win]+[3]キーならストアという具合だ。ご承知のとおり、既にアプリケーションが起動している場合、同ショートカットキーを押すとアクティブになる仕組みだが、Windows 10の場合、仮想デスクトップの切り替えにも用いることができる。

Web上では分かりにくいが[Win]+[1]キーを押した時点でMicrosoft Edgeに切り替わる

[Win]+[3]キーを押すとストアに切り替わる。いずれもアプリケーションを起動済みの状態だ

これを便利と見る方もあれば、仮想デスクトップが切り替わるため煩雑に感じるという方もおられるだろう。残念ながらショートカットキーの有無を制御する設定項目は見当たらないが、気になるのが、「設定」の「システム\マルチタスク」に並ぶ「タスクバーに次の場所で開いているウィンドウを表示する」と「Alt+Tabキーを押した時に次の場所で開いているウィンドウを表示する」の2項目だ。

まず前者の設定はアクティブな仮想デスクトップで、タスクバー上のボタンの動作を変更するか否かというもの。これでは分かりにくいので下図を見ながら続く説明を読んでほしい。「使用中のデスクトップのみ」を選択した場合、タスクバー上のボタンは並んでいるものの仮想デスクトップを切り替えると、そこにないウィンドウに対して起動を示す下線は加わらない。「すべてのデスクトップ」を選択した場合、どの仮想デスクトップを開いていても起動中であれば下線が加わる。

「タスクバーに次の場所で開いているウィンドウを表示する」で「使用中のデスクトップのみ」を選択した状態。仮想デスクトップ内にあるアプリケーションのボタンのみ下線が加わる

同設定項目で「すべてのデスクトップ」を選択した状態。別の仮想デスクトップにあるアプリケーションも起動中を意味すると下線が加わる

「Alt+Tabキーを押した時に次の場所で開いているウィンドウを表示する」は、アクティブな仮想デスクトップにのみタスクバー上のボタンを表示するという設定項目だ。こちらも図をご覧になった方が分かりやすい。ドロップダウンリストから「使用中のデスクトップのみ」を選んだ状態で[Alt]+[Tab]キーを押すと、現れるのは「設定」のみ。しかし「すべてのデスクトップ」を選んだ状態で同キーを押すと、起動中のアプリケーションがすべて並ぶ。

「Alt+Tabキーを押した時に次の場所で開いているウィンドウを表示する」で「使用中のデスクトップのみ」を選択した状態。タスクを切り替える際は仮想デスクトップ内のアプリケーションのみ対象となる

同設定項目で「すべてのデスクトップ」を選択してタスクを切り替えると、別の仮想デスクトップにあるアプリケーションも対象に加わる

タスクバーのボタンに関する設定は、Windows 8から搭載したマルチディスプレイの設定項目を思い出す方もおられるだろう。このようにWindows 10が備える仮想デスクトップはPC初心者を意識し、機能的には必要最低限を実装しながら、おそらく混乱するであろうタスクバー上のボタンに対する配慮が成されている。

"誰でも使用できる"という意味なら仮想デスクトップ機能は必要にして十分だ。しかし、PCの操作に慣れているユーザーにとっては不満が残るのも事実である。例えばサインアウト(および再起動)後も開いた仮想デスクトップは維持されるが、アプリケーションの位置(仮想デスクトップにおけるウィンドウポジション)を記録しないため、サインイン後は再度アプリケーションを起動し、配置しなければならない。

仮想デスクトップを本格的に使用する場合、各所に物足りなさを感じるだろう。この点を補うソフトウェアやWindows 10自身の改善を期待したい。