米Microsoftは7月31日、Windows 11の品質改善に関する進捗レポートを公開した。2026年3月に掲げた性能、信頼性、操作体験の改善を継続するとともに、年末に向けた新たな重点項目として、8GBメモリーを搭載するPCの動作改善を進める方針を明らかにした。OSのメモリー使用量を抑え、日常的に利用される幅広いPCで高速かつ応答性の高い体験を目指す。
同社は3月、Windows 11の品質改善の最初の取り組みとして、以下の7項目を優先的に改善する方針を公表していた。
- タスクバーのカスタマイズ性向上
- 有用性を重視したAI機能の統合
- Windows Updateによる中断の削減
- ファイルエクスプローラーの高速化と信頼性向上
- ウィジェットとフィードのコントロール強化
- Windows Insider Programの簡素化と透明性向上
- フィードバックハブの改善
今回のレポートは、5月に公開された最初の進捗報告以降の取り組みと年末までの計画をまとめたものである。
5月以降のプレビュービルドでは、タスクバーを画面の上部や左右に配置する機能や、スタートメニューの表示内容とサイズを調整する機能の提供を始めた。Windows Updateについては、PCの初期設定中に更新をスキップする機能や、更新の一時停止期間を延長する機能などを4月からプレビューしている。
エクスプローラーでは、起動時やフォルダー間を移動する際の応答性と信頼性を高めるため、基盤部分を改良した。ホーム画面で発生していた不安定な画面遷移や不鮮明なサムネイルのほか、アドレスバー、ファイルサイズの表記、キーボード操作、ファイル名変更に関する問題にも対応した。Windowsの検索ボックスについても7月からプレビューを開始しており、ホーム画面と検索結果を整理するとともに、Web検索結果から販促コンテンツを削減している。
ウィジェットとフィードはデフォルトでより控えめな表示にし、Windows Insider Programもチャンネル数を減らすなど簡素化に取り組んでいる。
Microsoftは5月、ドライバーの品質、信頼性、セキュリティをWindowsのエコシステム全体で向上させる「Driver Quality Initiative(DQI)」を発表した。DQIをはじめとする取り組みを通じて、USB4ドックの性能、Bluetooth機器との互換性、ネットワークプリンターの検出精度など、主要な接続機能の信頼性が向上するとしている。
パフォーマンス面では、スタートメニュー、エクスプローラー、検索、Snipping Toolなどの起動や操作が高速化し、起動時間とサインイン時間も短縮したという。Windows Helloについても、顔認証と指紋認証の信頼性を高めた。
メモリー効率については、アプリやOSコンポーネントのオーバーヘッドを抑える、より効率的なメモリーアロケーターを活用している。WindowsアプリのUI基盤であるWinUI 3についても、同基盤を使うアプリが設計上、より少ないメモリーで動作するよう調整を続ける。さらに、OS内で使われるChromiumとWebView2のコンポーネントの効率化も進めている。
年内の重点分野、8GBメモリー最適化を明記
Microsoftは、2026年末までに取り組む新たな重点分野として、以下の4項目を挙げた。
- 8GBメモリー搭載PCを含む幅広い構成でのメモリー効率向上
- 初期設定を高速かつ効率的にする「オンボーディングとセットアップ」
- 家族向け機能とペアレンタルコントロールの設定簡素化
- アプリをまたいで、より自然で滑らかに利用できる音声操作
なかでも注目されるのが、8GB RAMへの最適化である。Microsoftはすでに、メモリーアロケーターの効率化やWinUI 3アプリの軽量化、Chromium・WebView2コンポーネントの最適化など複数の技術でメモリー使用量の削減を進めている。今後はWindowsのメモリーフットプリント削減による動作改善の対象を8GB構成のPCにも広げ、動作の停滞や遅延を抑えていく考えである。今回のレポートで同社は8GB構成を重視する理由には言及していない。メモリー価格の上昇を背景に低価格PCで8GB構成が再び増えてきており、そうした市場動向への対応と見られている。
また、これまでの改善の多くはWindows Insiderへのプレビュー提供にとどまっていたが、今秋から既存の改善を一般提供へ移行させ、Windows 11搭載PCへの広範な展開を開始する予定である。


