第5章 Windows 10のテクノロジー - DirectX 12でPCゲーム時代は復権するか? その1
PCゲームなどを快適に動作させるためにMicrosoftが開発してきたAPI群「DirectX」は、Windows 95の時代のDirectX 1.0から数えて20年めとなり、バージョン番号も「12」を数える。DirectX 11.0はWindows 7時代にリリースしているが、この頃から革新的な進歩はとどまり、GDC 2014のDirectX 12発表まで注目するユーザーは少なかった。当時はGPUのローレベルなコントロールを可能にすることを明らかにしてたが、その片鱗を見せたのは2015年3月のGDC 2015だった。
筆者はソフトウェア開発者ではないため、あくまでエンドユーザーから見たDirectX 12のメリットに注目したい。筆者を含める一部のユーザーはチップセット搭載の内蔵GPUのパフォーマンスに満足せず、GPUカードを増設している方が大半かと思うが、そのような環境でも恩恵を受けられるのが、Multiadapter(マルチアダプター)機能である。
セッションではIntel GPUとNVIDIA GPUを組み合わせたMultiadapterのテスト動画を流していたが、この時点では前世代のIntel GPUを使っているため、その差はわずかながらもfpsとして結果が現れている。公式ブログによれば、NVIDIA製GPUが担う一部の処理をIntel GPUに渡すことで、数ミリ秒ごとの差が生じる結果になったと言う。
既にNVIDIA SLIやAMD CrossFireXといった同一ベンダーのGPUを組み合わせて高パフォーマンスを引き出す技術は確立しているが、Multiadapterは他社製ベンダー同士の組み合わせを可能にしているのは、筆者を含む前述したユーザーには興味深い機能と言える。
DirectX 12を特徴付けるもう1つのポイントは、"GPU性能を引き出し、CPU負荷を下げる"点だ。既に「3DMark」の「3DMark API Overhead feature test」という、各APIのフレームレートが30fpsを着る際に発行したドローコール数を計測するベンチマークが存在するように、DirectX 12はGPU性能を開発者に開放する目的で今まで以上にハードウェアにアクセスするAPIを用意している。
以前とあるエバンジェリストの説明を聞いた時は「開発者の負担が増えそうだ……」という感想を持ったが、サンプルコードを見るとCPUの処理を軽減するようにAPIを改善しているため、開発者の腕やゲームエンジン次第で、これまで以上のPCゲームを楽しめそうだ。
Windows 10と異なるため手短に紹介するが、DirectX 12から生まれる次世代ゲーム環境は、はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)も注目株に数えられる。Oculus VR製HMD「Oculus Rift」のWindows 10対応表明に伴い、MicrosoftはOculus VRと提携。オールドスタイルなゲーム向けコントローラーとして、「Xbox Oneワイヤレスコントローラー」を同梱することを2015年6月に開催したOculus VRの発表会で明らかにした。
個人的にMicrosoftはSideWinderシリーズの事実終了など、PCゲームに対して距離を置き始めた印象を持っていたが、Windows 10=DirectX 12の登場やHMDなど周辺環境の充実と共に大きく変化しそうだ。



