第1章 Windows 10は新たな時代を築けるか - ThresholdからWindows 10までの道のり その3
2015年3月17日。Microsoftは、それまで年内としてたWindows 10のリリースタイミングを、2015年夏に決定したことを公式ブログで明らかにした。
それとほぼ同時にリリースしたビルド10041は、GA版のリリースタイミングが明確になったことを受けて、「最低でも月に1回、場合によっては月に数回のビルドをリリースする可能性がある」とAul氏は述べている。さらに「我々は保守的だった。高速リングを選択しているプログラム参加者は高いリスクを負う」と述べ、Windows 10全体の開発速度を加速させた。
上図は公式ブログでMicrosoftが示したプレビュービルドのリリースタイミングだ。デイリービルドとなるCanaryリングをOSGがチェックを行い、48時間以内に大きな問題が発生しなければ高速リングを選択中のユーザーに新ビルドをリリースする仕組みとなる。
また、この頃から一部のMicrosoft社員が"自分で作ったドッグフードを食らう"ように、自身のPCにWindows 10 Technical Previewをインストールするよう指示が出たと言う(筆者は数カ月後には日本マイクロソフトにも同様の指示が出たと、関係者から聞いた記憶がある)。
さて、ビルド10041はAul氏の予告どおり透過効果が加わっている。静止画では分かりにくいものの、拡大するとスタートメニューに背景画像が薄く映り込んでいるのが見て取れるはずだ。さらに、仮想デスクトップにドラッグ&ドロップ操作が加わったのも本ビルドの特徴である。コンテキストメニューによる操作は以前のビルドでも可能だったが、多くのフィードバックを受けて同仕様を加えた、とAul氏は説明していた。
前述のとおりここから激浪のようなプレビュー版のリリースが続く。3月30日にビルド10049、4月22日にビルド10061をリリース。その一週間後となる4月29日にビルド10074、5月20日にビルド10122、5月29日にビルド10130と1カ月に2回以上リリースする月もあった。これは当時Microsoftが開催した「Build 2015」や「Microsoft Ignite」など多くのカンファレンスに沿った開発を行っていたからだろう。
この時点でもDDEサーバとの連動に問題が発生するなど致命的なバグは残っていた。だが筆者が印象深かったのは、日本語の誤訳が多発していた点だ。ビルド10061では「Power」を「仕事率」と翻訳し、ビルド10122はOneDriveフォルダーのコンテキストメニューに「キョウユウ」が混ざっている。いずれも後のビルドで解消しているが、さらにビルド10130はリボンの<共有>タブに「\x200b」というコードが混じっていた。
誤字を完全に取り除くことは難しいため、筆者は単純にMicrosoft(の言語担当チーム)を否定するつもりはない。冒頭で述べたようにWindows 10のリリース時期を2015年夏と定め、2015年6月1日には「7月29日」とリリース日を決定するなど、開発陣が背負ったプレッシャーは大きかったのだろう。
その後は6月29日にビルド10158をリリースすると、さらにリリースタイミングが速まった。翌日30日にはビルド10159、さらに翌日の7月1日にビルド10162、約1週間後の9日にはビルド10166と開発が佳境に入ったことを肌で感じるような立て込み具合だ。そして7月15日に、事実上の完成版となるビルド10240(TH1)をリリースした。このビルドがRTM(製造工程版)か否かという点は最後に述べるが、ThresholdからWindows 10までの開発は一端終了する。











