現在のPowerToysには、「掴んで移動」(Drag and Move)というユーティリティが付属し、ウィンドウのどこをドラッグしても移動が可能になるという。つまり、必ずしもタイトルバーを掴む必要はなく、ウィンドウの上ならどこでもいい。ドラッグでウィンドウの奥行き方向の順番を変更しないため、他のウィンドウの下にあるウィンドウを「掴んで移動」させても、ウィンドウの奥行き関係は変わらない。ただし、この機能を有効にするには、Altキーを押しながらドラッグする必要がある。ボタンが沢山あるマウスを使っているなら、ボタンの1つに「掴んで移動」用に「Altキー」を割り当てておくと操作が片手で完結する。
たしかにどこを掴んでもいいというのは気が楽だし失敗する可能性がない。ウィンドウ最上部がタブバーになっていると、タブのないところを掴まないとウィンドウを移動させられないからだ。
古くからのWindowsユーザーは、このユーティリティを少し奇妙に感じるかもしれない。マウスでタイトルバーをドラッグするだけが、ウィンドウを移動させる唯一の方法ではないからだ。Windowsでは、初期より複数の方法でウィンドウ(フローティングウィンドウ)を移動させることができたからだ。
古いタイプのWindowsアプリケーションは、(写真01)のように、上部にタイトルバーがあり、その右側にアプリケーションアイコンがある。アプリケーションアイコンをクリックするとメニューが表示される。これを「システムメニュー」という(コントロールメニューとも)。最近のMicrosoftのドキュメントでは「ウィンドウメニュー」と呼ぶようだ。ここでは、昔ながらの名称として「システムメニュー」を使うことにする。
システムメニューは、Alt+スペースキーでも開ける。このキーボードショートカットは最上部がタブバーになっているなど、タイトルバーがないウィンドウでも有効だ。なお、タブバーでは、タブのない場所での右クリックでシステムメニューを表示できる(写真02)。
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写真02: ウィンドウの最上部がタブバーになっているようなアプリケーション、たとえばエクスプローラーは、タブのない場所を右クリックすることでシステムメニューを開ける。また、どのようなスタイルのウィンドウであってもAlt+Spaceでシステムメニューを開ける
システムメニューにある「移動」を選択すると、マウスカーソルが十字型になり、タイトルバー付近に移動する。メニューが開いていればMキーでも実行できる。ここで、カーソルキーを使うことでウィンドウを移動させることができる。マウスの左ボタンを使ってのドラッグも可能なのだが、最上部がタブバーの場合、十字のマウスカーソルをタブのない場所まで移動させから左ボタンを押さねばならない。まあ、最近登場したタイトルバーのないアプリを想定していない時代からの機能なので、タブバーのあるアプリと少し相性が悪いのは仕方がない。とはいえ、カーソルキーを使っての移動なら、タブバー内の位置も問題にならない。
システムメニューには、「サイズ変更」という項目もある(同Sキー)。これを選択すると、こんどは十字のカーソルがウィンドウの中心に移動する。ここでカーソルキーの上下左右を押せば、十字カーソルがその方向に移動して、ウィンドウサイズ変更の両方向矢印になり、上下、左右カーソルのそれぞれでウィンドウの上下方向、左右方向のサイズ変更ができる。もちろんマウスでもできる。
このほか、システムメニューには、「最小化」(同Nキー)、「最大化」(同Xキー)、「閉じる」(同Alt+F4キー)といった項目もある。これでウィンドウ操作は一通り行える。また、Windows 11では、Windowsロゴキーと矢印キーの組み合わせで、ウィンドウを上下左右にスナップすることもできる。
PowerToysの「掴んで移動」のように、Z方向の並びを変えないで移動させることはできないが、システムメニューを使うことで、ウィンドウ操作全般はマウスでも、キーボードでも可能である。
ウィンドウの「移動」をキーワードにして、今回のタイトルネタは1962年の日本映画「妖星ゴラス」(予告編)である。地球の6000倍の質量を持つゴラスが2年半後に地球に衝突、人類はどうするか? を画いたSF。米国映画だとロケットで一部の人だけが脱出する、あるいは星を爆破するという話になってしまう。しかし、この映画では、ゴラスは質量が大きいため爆破は困難であり、地球を移動させることになる。一部の人間だけが脱出するという選択肢はそもそも候補にも上がらない。当時の興行成績はイマイチだったらしいが、筆者はベスト5に入る傑作と思っている。

