転職と住民税の関係については、知識や経験がない人にとっては特に難しく感じられます。「転職すると住民税の納税金額はいくらになるのか」「転職先が決まっていない場合、住民税の納付方法はどうなるのか」など、疑問や不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
本記事では、住民税の基礎知識をわかりやすく説明します。また、転職後の住民税の金額や転職前後の納付方法、転職時の支払いに関する注意点についても解説しています。
本記事を読んで転職と住民税の関係性について理解し、転職活動に役立ててください。
転職前に知っておきたい住民税の基本知識
そもそも住民税とはどのような税金なのでしょうか。住民税の基本知識となるポイントは次の通りです。
- 課税対象は前年に所得がある人
- 納付方法は特別徴収と普通徴収の2つ
基本知識の内容を詳しく確認していきましょう。
課税対象は前年に所得がある人
税金には国税と地方税がありますが、住民税は地方税にあたります。地域住民が安心安全に暮らせるように、自治体の行政サービスの費用として使われるものです。そのうち都道府県に納付されるものが「都道府県民税」、市区町村に納付されるものが「市区町村税」です。
住民税の納付先は、1月1日時点で住所登録がある自治体です。未成年を含めて、前年に所得があるすべての人に課税されるのが原則ですが、一定の要件を満たす場合は減免の対象になります。
納付方法は特別徴収と普通徴収の2つ
住民税の納付方法は二通りあります。
- 特別徴収:毎月の給与所得から自動的に天引きされる
- 普通徴収:市区町村から交付された納税通知書を使用して自分で納付する
特別徴収は、会社からの給与から天引きされる納付方法です。一般的な会社員の人は毎月この方法によって納税しています。
一方、普通徴収は確定申告か住民税申告を行い、住民税額を確定させてから自分で納税する納付方法です。自営業やフリーランスなどの人は、こちらの方法で支払うことになります。
このように働き方によって納め方が異なる仕組みのため、納付方法を自由に選ぶことはできません。
普通徴収の場合は期限までに支払う必要がある
特別徴収の場合は、毎月の給与から自動的に天引きされるので、副業など給与以外の収入がない限りは、特別な手続きを行う必要はありません。
一方普通徴収の場合は、まず毎年2~3月に確定申告や住民税申告をする必要があります。申告後は、自治体によって時期は微妙に異なりますが、5~6月頃に市区町村から納税通知書が送付されてきます。
支払いの回数は一括払いか、1年のうち4回(6月末、8月末、10月末、翌年の1月末)に分納するかを選ぶことが可能です。支払い方法は口座振替か納付書による窓口支払いがあり、金融機関だけでなくコンビニでも納付することができます。
納付書に記載された期限までに納付する必要があり、万一遅れたり滞らせたりすると、延滞金や滞納処分が課されるので注意しましょう。
転職活動中の住民税の支払いに関するポイント
転職活動中は、収入が途絶えたり激減したりする可能性があるため、税金・保険料・年金の支払いにどのような影響があるのか気になっている人も多いでしょう。そこで、転職活動中の住民税の支払いに関するポイントを解説していきます。
- 住民税の納税額を決めるのは前年の年収
- 転職後すぐに住民税額が変わることはない
- 転職先が決まっている場合は特別徴収継続の手続きを
- 退職金にかかる住民税の納付方法
転職後に、住民税がどのタイミングで変動するのかを把握しておけば、急な出費にも対応することが可能です。
住民税の納税額を決めるのは前年の年収
住民税の税額は、前年1~12月までの所得額で決まる所得割と、一定額を超える所得があれば一律に課税される均等割を合算したものです。
個人住民税の税率は都道府県税が4%、市町村税が6%です。地域によって多少差がありますが、住民税の税率は課税所得の10%と認識しておきましょう。
住民税には控除がある
住民税はすべての所得に課税されるというわけではなく、基礎控除として合計所得金額が2,500万円以下の場合に、15万~43万円が控除されます。
さらに次のケースに当てはまる場合は、さらなる控除が受けられて税額を抑えることができます。
- 医療費控除:医療費または特定一般用医薬品(セルフメディケーション税制対象の医薬品)の購入費を10万円以上支払っている場合
- 社会保険料控除:健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・国民年金保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料等を支払っている場合
- 生命保険料控除・地震保険料控除:生命保険料や地震保険料を支払っている場合
- 配偶者控除:生計同一配偶者の前年合計所得金額が48万円以下の場合(控除を受ける人の前年の合計所得金額が1,000万円超えの場合は適用されない)
- 扶養控除:生計同一親族の前年合計所得金額が48万円以下の場合
- その他:雑損控除、小規模企業共済等掛金控除、旧長期損害保険控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除、寄附金控除(ふるさと納税)等
これらの控除や控除額は年によって変わるので注意してください。
転職後すぐに住民税額が変わることはない
住民税の税額は前年の年収によって決まるため、転職後すぐに住民税額に影響を及ぼすことはありません。
すぐに転職先が決まらなかったり、転職後の給料が下がったりしてしまうと、翌年の住民税の負担が重く感じるようになります。逆に転職先での給料が上がる場合は、住民税の負担が軽くなったと感じるでしょう。
住民税額に変化が生じるのは転職翌年の6月頃からです。年収が減った場合でも、前年の収入で税額が計算されるため、想定以上に税金が重いと感じることもあり得ます。税金以外にも保険料や年金の支払いがあるため、支払いが滞らないように税額を試算して、手元のお金を準備しておきましょう。
転職先が決まっている場合は特別徴収継続の手続きを
退職するときは、通常は特別徴収から普通徴収に切り替えられます。
退職後すぐに新しい勤務先で働くことが決まっている場合は、新しい勤務先でも特別徴収(給料からの天引き)をしてもらう必要があります。そのためには、前会社から「給与所得者異動届出書」を自治体に提出することが必要です。退職手続きのときに、その旨を前会社の人事担当者に伝えてください。
普通徴収に切り替わってしまうと、自治体から納税通知書が送られてきて、思わぬ出費が発生したという声もあるため注意しましょう。まとまったお金が用意できなくて住民税を滞納してしまうと、20日程度で催告状が送付されます。さらに無視して滞納を続けると、財産が差し押さえられる可能性もあります。
退職金にかかる住民税の納付方法
退職金を一括で受け取った場合は退職所得として扱われます。所得が生じた年に他の所得と区別して、退職した年の1月1日に住んでいた市区町村で課税されますが、これは現年分離課税というものです。退職した会社が住民税を計算し、退職金支払いの際に特別徴収(天引き)され、翌月10日までに市区町村に納付することになっています。
なお、退職金を年金として分割で受け取る場合は、雑所得・総合課税として扱われ、毎年他の所得と合算して課税されます。
退職時期によって変わる住民税の納付方法
会社を退職し、すぐに次の転職先が決まっていなければ、これまで給料から毎月天引きされていた住民税は、口座振替や納付書による窓口払いに切り替わります(特別徴収→普通徴収)。住民税の納付方法は退職時期によって異なります。
- 1~5月に退職する場合:退職月分から5月分までを一括で天引き
- 6~12月に退職する場合:普通徴収に切り替える
転職時期による住民税の納付方法の違いや退職金にかかる住民税についても見ていきましょう。
1~5月に退職する場合
1月1日から5月31日の間に退職する場合は、原則として退職月分から5月分までの住民税を一括して天引きされます。例えば、1月に退職する場合は2~5月分を、3月に退職する場合は3~5月分を一括で支払いますが、これが一括徴収というものです。
退職月の給料から天引きされるのが原則ですが、不足が生じる場合は退職金から徴収されます。退職金でも足りない場合は普通徴収に変更され、自分で口座振替や納付書による窓口払いで支払わなければなりません。
6~12月に退職する場合
6月1日から12月31日の間に退職する場合は、「給与所得者異動届出書」が前会社から自治体に提出されていなければ、特別徴収(天引き)から普通徴収(個人払い)に切り替わります。
おすすめの転職エージェント2選
転職を考えようかな…という人に向けて、求職者の幅広いニーズに応えられるおすすめの転職エージェントを2つ紹介します。
- リクルートエージェント
- dodaエージェント
リクルートエージェント
※画像出典元:リクルートエージェント公式HP
リクルートエージェントは、求人数が国内No.1の大規模な総合型転職エージェントです。公開求人の多さもさることながら、非公開求人数も豊富なので新たな出会いにも期待できます。
業界ごとに経験豊富なアドバイザーが在籍していることも魅力です。各業界、職種に精通しているため、経歴やスキルの価値を正しく評価してもらえます。
また、転職者に対するサポート体制の充実度は大手ならではなので、50代の転職にも効果的でしょう。
- 国内最大級の求人数のなかから仕事探しをしたい人
- 業界に詳しい人からアドバイスをもらいたい人
- 大手ならではの充実したサポートを受けたい人
リクルートエージェントについて、より詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。
dodaエージェント
※画像出典元:dodaエージェントサービス公式HP
doda(デューダ)は、転職求人サイト・スカウトサービスなど、さまざまな転職支援サービスを提供する総合転職サイトです。各サービスは連携しており、併用することによってより効率的・効果的な転職活動ができます。
dodaエージェントでは、208,278件の求人情報を持っています(2023年9月時点)。業界・職種・エリアごとに詳しいキャリアアドバイザーが在籍しているため、自身の希望に合わせたアドバイスを受けられるでしょう。
また、年収査定や合格診断など、「転職するかどうか迷っている」人に役立つツールもあります。ぜひ活用してみてください。
- 約10万件の豊富な情報から自身に適した求人を探してほしい人
- 転職サイトやスカウトサービスを併用して効率的に転職したい人
- 年収査定や合格診断といったツールを利用したい人
まとめ
転職するときに住民税の支払いで特に注意したいことは次の3つです。
- 住民税の金額は前年の収入を基に計算される
- 転職先でも天引きしてもらえるかを事前に確認しておく
- 退職時期は5月がおすすめ
住民税は前年の収入に対して課税される税金です。転職後に収入が減ると住民税の負担が重くなってしまいます。
しかも、退職後でも支払わなければならないものは、住民税をはじめとした税金だけではありません。年金や健康保険料などの支払いもあります。転職前からどのようなところにどれくらいのお金がかかるのかを調べておき、資金を確保しておくことが大切です。
退職後すぐに転職先で働く方は、必ず新しい職場でも住民税を天引きしてもらえるかを事前に確認しておき、前会社から「給与所得者異動届出書」を自治体に提出してもらいましょう。
退職のタイミングも住民税の支払いに影響します。1~5月に退職する場合は退職月から5月分までを住民税が、退職月の給料や退職金などから一括で支払う必要がありますし、6~12月に退職する場合は、特別徴収(天引き)から普通徴収(個人払い)に切り替わります。
本記事をぜひ参考にしていただき、転職と住民税の関係性についてしっかりと理解してから、転職活動を始めてください。
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