大きく改良が加わったユーザーインタフェース
Windows 7の新機能と言ってもあまりにも数が多く、一言でまとめ上げるのは難しい。だが、最初にユーザーの目を引くのは、新しいUIだろう。Windows 7では、Windows Vistaから搭載されたWindows Aero(エアロ)をユーザービリティの向上を目的として改良し、実装している。詳しくは後述するが、ウィンドウサイズの変更や配置を、できる限り簡単に済ませるための「Aero Snap(スナップ)」や、複数ウィンドウのなかから、特定のウィンドウだけを操作しやすくするための「Aero Shake(シェイク)」、他のウィンドウを透明化し、目的のウィンドウのみ表示する「Aeroプレビュー(旧Aero Peek)」を搭載し、ウィンドウ操作が容易になる機能を実現した。いずれも慣れてしまえば当たり前のように単純な機能に感じるかも知れないが、完全な2次元のデスクトップに微々たるものながらも奥行きを与えている(図02~06)。
さらに、大きく改良されたのがタスクバー。本来は起動中のアプリケーションをタスクバンド(タスクボタンが並ぶ領域)に並べるだけの存在だったが、新たにタスクボタンをタスクバンドに貼り付ける機能と、「ジャンプリスト」を備えることで有益な機能に生まれ変わらせた。まず前者だが、通常はアプリケーションを起動すると、タスクバンドにそのアプリケーションボタン(タスクボタン)が現われる。Windows 7では、タスクボタンをタスクバンドに固定化できるようになり、タスクボタンの常時表示とワンクリックで起動できるランチャーを兼ね備えた機能を実装している。詳しくは後述するが、それぞれのタスクボタンにはショートカットキーが割り当てられており、[Win]+[1]キーならInternet Explorer 8の起動や最小化といった操作が可能。割り当てられる数字はタスクボタンの並び順で決められ、初期状態ならば、エクスプローラが[2]キー、Windows Media Player 12が[3]キーとなる(図07~08)。
後者のジャンプリストは、使用頻度の高いファイルやURL、コントロールパネルのアイテムといった数々の項目を、タスクボタンのメニューに表示させるというもの。一見するとアプリケーション別の履歴情報をジャンプリストという名のページに集めたように見えるが、アプリケーション固有の機能を呼び出す「タスク」という項目も用意され、その自由度はかなり高そうだ。同項目を活かすのは開発者次第となるだろう(図09)。
Windows 7におけるUIの改良ポイントで欠かせないのが「Windowsタッチ」機能。以前からWindows OSでは「Windows XP TabletPC」など、指やペンによるタッチUIをサポートしてきた。サードパーティベンダーの独自実装なら、Windows 3.1の時代には既に実現した機能であり、インタラクションテクニックとしては、さほど目新しいものではない。Windows 7が搭載したタッチシステムの優位性は、複数の指を用いて多彩な操作を実現するマルチタッチのサポートである。アプリケーション上に散らばった写真を指で整理する様や、地球儀を指で回し、目的地を2本の指で拡大縮小する様は見ていても気持ちよい。筆者はある機会を得て、Windowsタッチ対応のWindows 7(ベータ版)に触れたことがある。マルチタッチによる操作環境は、Windows XP TabletPCで実現していたタッチUIとは比べものにならない。我々が日常的に使用しているキーボードとマウスで構成された環境から、すぐさま移行するのは難しいかも知れないが、新しいUI環境の入り口が提示されたのは間違いないだろう(図10~11)。
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図11: こちらはMicrosoftが以前行なったWindowsタッチのデモビデオ。動画をご覧になりたい方はこちらにアクセスして頂きたい |