営業職への転職に興味を持っているけれど、実際にはどのような仕事なのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
「営業職」といっても業界や企業によって扱う商材も違い、仕事内容や年収も大きく異なります。
本記事では、営業職への転職を検討している人に向けて、営業職の仕事内容や年収、転職のしやすさなどを解説します。未経験から営業職への転職を成功させるコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
営業職への転職はしやすい?厳しい?
一般的に営業職は未経験でも転職しやすい職種といわれていますが、誰でも簡単に転職できるわけではありません。ここでは営業職の転職のしやすさについて詳しく解説します。
営業職は未経験でも転職しやすい
営業職はほとんどの企業で必要な職種のため、求人数が多いのが特徴です。
厚生労働省が発表した「職業安定業務統計」によると、2022年1月時点での営業職の有効求人倍率は1.78(注1)となっています。求職者よりも求人数のほうが多く、転職しやすい職種です。

また、営業職は資格がなくてもチャレンジできることや、経験がなくても入社後の教育がしやすいことから、未経験でも転職しやすい職種といえます。
注1)有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合。有効求人倍率が1を上回る場合は、求職者数よりも求人数が多く、人手が不足している状態。
年齢が上がると難しい場合もある
営業職に限った話ではありませんが、年齢が上がるほど即戦力が求められるため、未経験での転職は厳しくなるのが実情です。
そのため未経験から営業職への転職を希望するのであれば、早めに転職活動をはじめるのがおすすめです。
年齢が低いほど、未経験でも入社後のポテンシャルに期待して採用してくれる可能性が高まります。
【種類別】営業職の仕事内容
ひとことで「営業職」といっても、取り扱う商材や顧客の属性などによって仕事内容は大きく異なります。ここでは、顧客・商材・営業形態・営業手法の4つの側面から営業職の仕事内容を解説します。
対象の顧客別の仕事内容
顧客には、法人と個人があります。
法人営業(BtoB)
企業や行政、学校、病院など、法人や団体向けの営業を「法人営業」といいます。Business to Businessを略して「BtoB」とも呼ばれます。
法人に対して営業するため、扱う商材や金額のスケールが大きいのが特徴です。また、顧客先企業の業界知識や経営、事業戦略などの知識も身につきやすい仕事です。
個人営業(BtoC)
個人向けの営業を「個人営業」といいます。法人営業の「BtoB」に対し、Business to Consumerを略して「BtoC」とも呼ばれます。
法人営業と比べると取引のスケールは小さいですが、個人営業は決定権を持ったお客様とのやりとりが多いため、商談から契約までのスピードが速いのが特徴です。

また、商材を使った人から直接感想をもらう機会が多いのも個人営業ならではです。
販売する商材別の仕事内容
商材は「有形商材」と「無形商材」にわかれます。
有形商材
有形商材とは、自動車や住宅、パソコン、食品など形がある商材のことです。製品の特徴や使い方などがわかりやすいため、未経験でも営業しやすい場合が多いです。
既製品を営業、販売することもあれば、注文住宅やオーダー家具など顧客の要望をヒアリングして一から商品を作る仕事もあります。
無形商材
無形商材とは、人材派遣や広告、保険、コンサルティングなど形がない商材のことです。目に見えないぶん商材の価値を顧客に伝えるのが難しく、有形商材に比べると難易度が高い傾向にあります。
顧客の課題を把握して、それを自社の商品でどのように解決できるかを提案するため、ヒアリング力やプレゼン力も求められます。
営業の形態別の仕事内容
営業形態とは売り方の違いのことで、大きく分けて次の3つがあります。
- メーカー営業
- 商社営業
- 代理店営業
メーカー営業
メーカー営業とは、自社で作っている商品をそのまま自社で販売する形態です。顧客の多くは法人で、自社製品の良さを直接顧客に伝えたり、購入後の反応を聞いたりできる点が特徴です。
商社営業
商社営業とは、自社製品を持たず、他の企業やメーカーから仕入れた商品を販売する形態です。販売元の企業が自分たちで製品を販売する場合、新規取引先の開拓や取引先とのやりとりにコストがかかってしまうため、商社に手数料を支払って対応を依頼する仕組みです。

商社営業は、仕入れた商品のなかから顧客の要望にあうものを販売します。
商社の営業担当者だけで完結することもあれば、メーカーの営業担当者と一緒に顧客先に赴くこともあり、他社との連携も発生します。
代理店営業
代理店とは、販売元の企業から委託を受け、企業の代わりに商品を売る店舗のことです。
商社は商品を仕入れて在庫を抱えますが、代理店は顧客から注文を受けた段階で販売元に発注するため在庫は抱えません。代理店営業は、こうした代理店の新規開拓や代理店の担当者のフォローをおこないます。
代理店は複数の企業の商品を取り扱っていることが多いため、代理店と良好な関係を構築することで他社製品の情報を仕入れられるのも代理店営業の特徴です。
営業の手法別の仕事内容
営業手法にはさまざまなものがあります。たとえば、アウトバウンドセールスとインバウンドセールスも営業手法の1つです。
アウトバウンドセールスとは、こちらから見込み客にアプローチする営業スタイルです。顧客リストを作成し、電話やメール、飛び込みなどで営業をかけます。
インバウンドセールスは、見込み客側からの接触を待つ方法です。企業の公式サイト経由の問合せや、資料請求などをした見込み客に対してアプローチをします。

ここでは、アウトバウンドセールスとインバウンドセールスのほかに、近年注目されているThe Model型の営業方法について説明します。
TheModelとは、セールスフォース・ドットコムで活用されてきたもので、営業をマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4つの段階に切り分けて取り組むモデルです。
インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの3つについて詳しく解説します。
インサイドセールス
インサイドセールスとは、内勤型営業のことです。インバウンドやアウトバウンドで作成した顧客リストをもとに電話やメールでアプローチします。商談のアポイントを取り、フィールドセールスにつなぐ役割です。
フィールドセールス
インサイドセールスからパスされた商談を担当し、顧客に商品やサービスを提案して受注につなげる仕事です。一般的に営業職といってイメージされるのは、フィールドセールスの役割が多いでしょう。
カスタマーサクセス
受注後に顧客に伴走し、商品やサービス利用のサポートをします。SaaS業界を中心に、物を売って終わりではなくサブスクリプション型の商品が増え、受注後の解約を防ぐ重要性が高まっています。その役割を担うのがカスタマーサクセスです。
営業職の平均年収
一般的な営業職の平均年収は400万円〜550万円前後が多いといわれています。
一方で営業職は基本給と別に歩合給の制度を設けている企業も多く、一概に平均年収がいくら、というのが難しい職種です。

同じ企業でも個人の成績次第で給与がまったく違うことも少なくありません。
一例としてマイナビ転職が発表した資料(注2)によると、営業職のモデル年収は以下のようになっています。
- 不動産営業:992万円
- 営業・企画営業(個人向け):801万円
- 海外営業:743万円
業種や経験によって大きな幅があるため、自分が興味のある営業職の求人を確認してみるのがおすすめです。
注2)2021年4月1日~2022年3月31日の期間中にマイナビ転職に掲載された求人の「モデル年収例」から平均値を算出したもの。
営業職の仕事のやりがいとは
営業職には多くのやりがいがありますが、ここでは一例として次の3つを紹介します。
- 努力や成果が数字であらわれる
- 人脈が広がる
- 知識やスキルの幅が広がる
努力や成果が数字であらわれる
営業職の多くは個人で売上目標を追い、目標達成に向けて仕事をします。自分の努力や成果がそのまま数字にあわられるため、モチベーションの向上につながるでしょう。
また、自分で売上を生み出す仕事のため、会社の成長に貢献している実感も得やすいです。
人脈が広がる
つねに人を相手に仕事をするため、対人スキルが磨かれます。職場によってはさまざまな業界の顧客と仕事をしたり、既存顧客に新しい取引先を紹介してもらったりと、仕事を通して人脈が広がりやすいです。
知識やスキルの幅が広がる
取り扱う自社製品の情報や顧客企業の情報など、多くの知識を身に付ける必要があるため、自然と自分の知識やスキルの幅が広がります。
法人営業であれば会社の経営層とやりとりする場合もあり、経営的な視点に触れることで自分の視座を高めることもできるでしょう。
営業職に求められるスキル
営業職に求められるスキルにはどのようなものがあるでしょうか。ここでは次の4つを紹介します。
- コミュニケーション能力
- ヒアリング能力
- タイムマネジメント能力
- 課題を発見・分析する能力
コミュニケーション能力
営業は相手がいる仕事のため、コミュニケーション能力が不可欠です。コミュニケーション能力を上手く話す力ととらえている人もいますが、それだけではありません。
本来のコミュニケーション能力とは、相手の意図を正確にくみとり、適切な反応を返す力です。次に紹介するヒアリング能力とあわせて身に付けるとよいでしょう。
ヒアリング能力
営業は、顧客の悩みやニーズを引き出す力が必要です。ただし、ストレートに「困っていることは何ですか」と聞いても相手は答えてくれません。
営業というと自分が上手く話すことばかり考えてしまう人も多いですが、あくまで相手のニーズをとらえるため、聞くことに重点をおきましょう。
タイムマネジメント能力
いつまでに顧客に資料を送るか、アポイントの日時をいつにするかなど、自分の仕事だけではなく相手の動きも加味してタイムマネジメントをする力が求められます。

また、いつもスケジュールが埋まっている状態では顧客からの急な要望に応えられず、せっかくのチャンスを逃す可能性もあります。余裕をもって仕事に取り組めるよう、タイムマネジメント能力を身につけましょう。
課題を発見・分析する能力
顧客からヒアリングした内容をもとに、顧客がまだ気付いていない課題を発見し、分析する力が必要です。根拠に基づいて分析できるよう、ロジカルシンキングの力も身につけておきましょう。
また、課題に対して自社の商品やサービスがどのように貢献できるかを相手にプレゼンする力も求められます。
営業職への転職が向いている人
営業職に向いているのはどのような人でしょうか。ここでは一例を紹介します。
- 人と接することが好き
- 目標を設定し、管理できる
- 体力、精神力がある
人と接することが好き
つねに人を相手にする仕事のため、人と接することが好きな人に向いています。ただし、一方的に自分の話したいことを話すのではなく、相手の話を聞いて課題を解決する力も必要になります。
目標を設定し、管理できる
営業は個人で数値目標を追うことが多いため、目標達成のためにどう取り組むかを考え、行動できる人が向いています。
人に指示されないと動けない人であれば、顧客ごとに柔軟な提案ができない可能性も高く、営業成績が伸び悩んでしまうかもしれません。
体力、精神力がある
特に外勤営業の場合は外出や移動が多いため、体力が必要です。また、営業したからといって必ず受注できるわけではなく、時には冷たく断られることも多いです。
そうした状況に落ち込まずに、前向きに取り組める人がよいでしょう。社外だけではなく、上司から目標達成についてプレッシャーをかけられることもあるため、それに耐えて成果を出す力も必要です。
営業が未経験でも転職しやすい業界は?
営業は未経験でも転職しやすい仕事ですが、そのなかでも特に未経験者におすすめの業界を3つ紹介します。
- 人材・メディア業界
- 不動産業界
- 保険業界
人材・メディア業界
求人広告や採用支援、人材派遣などを取り扱うのが人材業界です。どのような企業でも人材採用は必要なため、顧客企業も幅広いです。そのため人材業界が未経験の人でも、いま経験している業界の知識を生かせる場合も多いでしょう。
メディア業界での営業は、WebサイトやSNS、テレビや雑誌などに掲載する広告を取り扱い、法人営業がほとんどです。特にインターネットの広がりにともないWebメディアやインターネット広告の需要が増えており、営業職の求人も増加しています。
不動産業界
不動産業界は未経験者の求人も多く、入社後の研修や資格取得支援制度が整っている企業が多いです。
取り扱うのは土地や住宅、ビルなどの有形商材で、顧客は法人と個人のどちらも対象になります。仕事内容は売買や賃貸の仲介営業、リフォームやリノベーションの営業などです。
保険業界
医療保険や生命保険などを取り扱う営業職で、顧客は個人が多いです。未経験者を育成して即戦力として活躍してもらう動きが多く、転職しやすい業界といえます。
個人に対して営業するため、夜間や土日など顧客が仕事をしていない時間帯の営業活動も多く、少々ハードな面もあります。
営業職への転職で利用したい大手転職サービス3選
ここでは、営業職の転職を考えている人におすすめな大手の転職サービス3選を紹介します。
- リクルートエージェント
- ビズリーチ
- リクナビNEXT
【圧倒的な非公開求人数】リクルートエージェント
※画像引用元:リクルートエージェント公式HP
リクルートエージェントは、公開求人・非公開求人ともに転職支援業界トップの保有数を誇る転職エージェントです。営業職以外にもさまざまな業界や職種、エリアの求人案件を取り揃えています。対応する年齢層の幅広さも魅力のひとつです。
また、業界に詳しい経験豊富なキャリアアドバイザーが多く在籍し、はじめての転職活動でも丁寧にサポートしてくれます。

書類添削や面接対策だけでなく、業界の転職市況などを見て転職すべきか否かのアドバイスも得られます。
「これから伸びる業界の営業職に就きたい」「将来性のある業界を知りたい」と相談することで、有効なアドバイスをもらえるでしょう。
リクルートエージェントはこんな人におすすめ!
- 求人数が豊富な転職エージェントを選びたい人
- 転職活動に不安を抱えている人
- 幅広い年齢層・職種に対応してほしい人
【年収500万円以上におすすめ】ビズリーチ
※画像引用元:ビズリーチ公式HP
ビズリーチは、年収アップを目標に転職活動を始めた人へおすすめの転職サービスです。ハイクラス求人を多数取り揃え、国内外のさまざまな企業のヘッドハンターからスカウトが届き、条件にあったスカウトに応募できる仕組みになっています。
無料でも利用できるものの、有料のプレミアムステージを利用ならば、より多くの企業の求人に触れられるため、これから伸びる可能性が高い営業職を募集している企業を見つけやすいでしょう。
ビズリーチはこんな人におすすめ!
- 年収アップを目指している人
- ハイクラス求人を求めている人
- 自分に合った仕事を紹介してほしい人
【営業職の求人も多数】リクナビNEXT
※画像引用元:リクナビNEXT公式HP
リクナビNEXT(ネクスト)は求人数・登録者数ともに、業界最大級の転職サイトです。取り扱う業種もIT系や営業職、医療系など幅広く、これから伸びる業界の仕事を見つけられる可能性があります。
また、自分の強みを診断できる「グッドポイント診断」や企業からオファーをもらえるスカウト機能、自動で職務経歴書が作成される機能など、転職希望者にとってうれしいサービスが豊富にあることも特徴です。

スマホアプリの機能性も高いため、隙間時間を利用して転職活動したい人からも高い評価を得ています。
- 求人の選択肢は多く、探す手間は極力かけたくない人
- 幅広い職種の求人をチェックしたい人
- 移動中や隙間時間を活用して転職活動したい人
営業職への転職を成功させるコツ
営業職への転職を成功させるには、次のポイントをおさえておくとよいでしょう。
- 営業職へ転職したい理由を明確にする
- 自分に合った営業職を選ぶ
- 転職エージェントを活用する
営業職へ転職したい理由を明確にする
営業職に限りませんが、なぜその仕事をしたいのかを明確にすることは転職活動において非常に重要です。そうしなければ面接の際にも説得力のある話ができなかったり、転職後のミスマッチが起こりやすかったりします。
転職したい理由を考えるには自己分析がおすすめです。自己分析とは、これまでの経歴や経験を棚卸しし、自分の強みや弱み、やりたいことなどを明確にする作業です。

自己分析をすると営業職に転職したい理由が明確になるだけではなく、自分が営業職に向いているかどうかも事前に確認することができます。
自分の中で転職理由が整理できない人は、キャリア設計のプロに相談するのもおすすめです。以下の記事では、おすすめのキャリアコーチングサービスを紹介しています。
自分に合った営業職を選ぶ
営業職といっても、扱う商材や顧客、営業手法などさまざまな種類があります。また、会社の規模や社風などでも雰囲気がまったく異なります。自分に合う営業職はどのようなものか、営業職に転職したい理由とあわせて明確にしたうえで転職先を選びましょう。
転職エージェントを活用する
転職エージェントでは自分に合った求人を紹介してくれるため、自力では探せなかった求人に出会えたり、客観的な自分の市場価値がわかったりするのがメリットです。選考に進む際も未経験であることをエージェントが応募先に伝えてフォローしてくれるため、上手に活用しましょう。
転職エージェントの仕組みや、おすすめの転職エージェントを紹介したこちらの記事もおすすめです。
まとめ
営業職は自分の頑張りがそのまま数字に表れたり、幅広い知識やスキルが身についたりと非常にやりがいがある仕事です。
未経験からのチャレンジを歓迎する企業も多く、これまでの経験に関係なく転職しやすい職種といえるでしょう。一方で、扱う商材や顧客先によって仕事内容や年収などに大きな違いがある職種でもあります。
なぜ営業職になりたいのかをしっかりと考え、自分にあった営業職を選ぶようにしましょう。
おすすめの転職サービスを年代別と職業別にまとめましたので、以下の記事もご覧いただき転職の参考にしていただけると幸いです。
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