これらの背景にあるのは、SNSの普及による新たなスターの登場と原口あきまさの提言。

SNSという発表の場を得た新星が次々に誕生しているが、その大半を松浦航大、よよよちゃん、nanamiらのような「マネだけでなく歌そのものがうまい」「プロのアーティストに匹敵するレベル」が占めている。また、2022年に原口あきまさがYouTubeで審査員の若返りや公平性を訴えて話題を集めたが、「数年後にその思いが実を結んだ」と言っていいかもしれない。

新星が現れやすくなっている理由として忘れてはならないのは、「似ていれば笑いがなくてもOK」「有名人ではなくシチュエーションのモノマネなども認められる」ように変わったこと。昭和から平成のモノマネ番組では、似ているだけでなく笑いを取れる人だけがモノマネタレントとして認められる傾向があったが、「完コピに近いほどすごい」とみなす人も増えている。

認められるモノマネの幅が広がったことが、前述したようなモノマネ番組の多様化につながっているのだろう。もともとモノマネは漫才にも負けない歴史を持つ芸能の1つだったが、難易度が高い割に「ニセモノ」「笑えない」などと揶揄されやすいところがあった。しかし、SNSの普及によって見る機会が増え、芸の幅も広がった今、モノマネそのもののステイタスが上がっていると言っていいのかもしれない。

今後も石橋貴明の休養で放送が止まっている『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジ系)の復活はもちろんのこと、まだまだ企画の幅が広がっていくのではないか。さらに歌唱力が認められ、ステイタスが上がったモノマネタレントたちが、トーク、音楽ゲーム、コントなど、さまざまなバラエティに出演する機会が増えていくだろう。

「各番組のモノマネ版」が増えるか

さらに言えば、『ザ・マネモネア』がそうであるように、企画の幅が広がった分、芸人は「モノマネの1つや2つはできて当然」というムードが色濃くなっていくのではないか。

この点で思い起こされるのが、2019年5月に放送された『ものまねグランプリ ものまねレジェンドが選ぶ次世代ものまね芸人No.1決定戦』(日テレ系)。『M-1グランプリ2018』(ABCテレビ・テレビ朝日系)、『R-1ぐらんぷり2019』(カンテレ・フジ系)で王者になったばかりの霜降り明星が優勝して「3冠達成」(※『R-1』は粗品のみ)と報じられた一方で、粗品がツッコミだけでモノマネをしないスタイルだったことへの批判も多かった。賞レースの王者であっても、認められるモノマネの幅が狭かったことがわかるのではないか。

さらにこの批判は、ネタをベースにしたモノマネで挑んだチョコレートプラネットや横澤夏子らも同様だった。Mr.シャチホコや古賀シュウなどの笑いを交えたモノマネは称賛されただけに、芸人にとってかなりのアウェーだった様子がうかがえる。

当時は元号が令和に変わったばかりだったが、7年が過ぎた今、受け入れられるモノマネの幅が広がっただけに、芸人としては「腕の見せどころであり、言い訳ができなくなった」とも言えるのではないか。

そして最後にもう1つふれておきたいのが、モノマネ番組とモノマネタレントの汎用性について。

『ザ・マネモネア』の放送はモノマネという芸の汎用性を世間に示す機会になるだろう。そもそも本家の『ザ・イロモネア』は25年2月に8年ぶりの復活を遂げたばかり。同年12月にも放送されたが、その5か月後にスピンオフの『ザ・マネモネア』が編成されたことに「過去の名番組を再活用しよう」という流れの加速を感じさせられる。

今後も現在放送中の番組だけでなく、過去に放送された番組の“モノマネ版”が企画される可能性は十分ありそうだ。また、モノマネタレントに目を向けても、『千鳥の鬼レンチャン』でエース級の活躍を続けているほかSNSの人気者も多いだけに、制作サイドにとってはこれまで以上に使いたくなる存在となっていくのではないか。