今、一番売れている投資信託(=投信)はどれなんだろう? 人がどんな投信を買っているかは、やはり気になるものです。

そのひとつの方法が純資産残高ランキングを見ることですが、純資産残高ランキングは過去からの積み重ねという側面があります。過去10年販売している投信と発売1カ月の投信では、当然、10年販売している投信のほうが、残高が多くなりがちです。つまり、純資産残高ランキングが1位だったとしても、それが今も一番売れている投信であるとは限らないというわけです。

その点、今、現在もっとも売れている投信を知るホットなデータとして注目なのが、月次の純資産増額ランキングです。表は2008年6月の1カ月で資産が増額した投信のランキング。一番左端の増額高部分がランキング元の数字となっています。

これで見ると、偶然ですが、1位は純資産残高ランキングでも1位となっている「グローバル・ソブリン」となっています。たいていの場合、純資産残高ランキングと純資産増額ランキングの1位は違っているものですが、人気のグロソブが1位に位置しているのは、まさに時代を映す鏡といえるでしょう。

今はちょうどマーケットの先行きが不透明で、アメリカを筆頭とする外国株は下落基調、将来的に大きな成長が見込めるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)も2007年8月のサブプライムローン破たんで世界株価同時安時に暴落。特にインドと中国はいまだに株式の動きが軟調になっています。そんなわけで株が不調な場合、お金は債券に流れます。

外国債券は国によっては高金利を維持しているところも多く、分配金だけでも安定したパフォーマンスが期待できます。そんなわけで、ランキング20位中18本は外国債券ファンドが占めています。つまり、今売れている投信は外国債券ファンド。なかでも、毎月分配型で安定したパフォーマンスを続けるグロソブは、人気に人気を重ねて、さらに残高を伸ばしてるという今の投信市場の状況がわかるわけです。

「みんなが外国債券ファンドを買っているなら、自分もそうしよう」と思うのもひとつです。

ただ、ランキング内に2つだけ、外国債券型ではない投信が含まれています。それが、「UBSブラジル株式ファンド」と「SGアラブ株式ファンド」です。ブラジルとアラブと聞くと、私たちには少しレアな投資先に聞こえますが、今景気がいいのは、なんといっても、自国に資源を豊富に持っている国、資源を輸出している国です。

これだけの資源高ですから、当然、国の景気はよく今後の成長も見込めるわけです。その代表格として、ひとつ注目されているのが石油を大量に保有する産油国、つまりアラブ諸国。もうひとつが、BRICsのひとつであり、資源国の代表でもあるブラジル、ロシアなのです。

このように純資産増額ランキングは、マーケットの好不調を敏感に反映して、売れ筋投信のデータをはじきだします。ただ、細かくみていくと、そのなかに次の芽を探すこともできるわけです。もちろん、大手証券会社がテレビCMなどをして、大々的に売り出した投信がランキングに顔を出すということもよくありますが、それも売れている投信のひとつの姿です。

ランキングは正直に現状を教えてくれるデータです。それを読み解いて、自分が購入すべき投信を選び出すのは、あなた自身の判断力に寄ることになります。

次ページでは最初の1本を買うなら、おススメのインデックス型投信について解説します。