「投資信託」とは、多くの投資家から集めた資金が一つにまとめられ、運用のプロによって、株式や債券などに投資されて運用されます。得られた収益は、分配金として投資家に還元されるほか、また値上がりしたところで売れば、売却益を得ることもできます。また、最大のメリットは1万円など少額から投資ができ、気軽に利用できる点です。
投資信託の運用には、様々な会社がかかわっています。まず、資金を集めるのは「販売会社」で、銀行や証券会社、ゆうちょ銀行などがあります。集めたお金は、「運用会社」に渡され、そこで、どの銘柄を買い付けるかなどの投資の判断・指示がなされます。ここが投資信託のメーカー部分といえます。さらに、集められた資産の管理は「信託銀行(受託銀行)」が行い、その資産が株式市場や債券市場などに投資され、運用されていきます。
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投資信託の投資対象は、商品によって日本株や外国株、外国債券、不動産、コモディティなど、実に幅広くなっています。2008年7月現在、日本国内で購入できる投資信託は5,000本以上もあり、日本株だけに投資するものもあれば、日本株と外国株、外国債券に分けて投資するもの、不動産にも投資するものなど、投資対象の組み合わせ方や割合などはそれぞれ異なります。その投資方針は事前に大枠が決められており、それが各投資信託の特色になっています。例えばインドやロシア、ブラジルなど、新興国の株式にばかり投資するもの、格付けの高い外国債券だけに投資するもの、不動産、商品、金など個人では投資しにくい対象に投資するものなど様々。少しハードルの高い投資対象にも少額で気軽に投資できるものも人気の理由です。手軽に資産に組み込め、投資の幅が広がるところも人気の一つです。
また、投資信託を利用すれば対象に投資するもの、株や債券など、様々な資産にバランスよく分散させる、「ポートフォリオ」が組めるのも特長です。例えば、株が全体的に下降気味のときには、債券がカバーしてくれるなど、資産を上手に分散することで、資産全体の値動きを抑えてリスクを軽減させる効果が期待できるのです。もし、個人で日本株を保有していたら、外国株式に投資する投資信託を選ぶことで、日本株と外国株の両方を持ち、自分のポートフォリオをバランスよく組むことができるわけです。
「投資」と聞くと、高額な資金をイメージする人も多いと思いますが、ほとんどの投資信託が1万円程度から購入できるのも魅力。株式の場合は、売り時や買い時など、運用を自分で選択し、実行する必要がありますが、投資信託は運用をプロに任せられるため、売買タイミングを図る必要もなく、投資初心者でも気軽に始められます。また、投資家から集められた千万単位、億単位もの資金がまとめて運用されるので、たくさんの銘柄に分散投資ができます。1万円分の購入でも、数十もの銘柄に分散投資することができるので、1本の投資信託で「分散効果」が期待できるのも特長です。
投資信託の場合、販売会社、運用会社、信託銀行のいずれかが破綻した場合でも、資産は守られます。投資信託は、その名のとおり「投資」なので、定期預金などと違って値動きがあり、買ったときの値段より下がってしまえば元本割れとなる可能性もあります。ただ預貯金は、預けていた金融機関が破綻すると1,000万円と利息を足した金額を超えた分は保護されませんが、投資信託の場合は、金額にかかわらず保護される仕組みです。また、株式の場合は、投資した会社が倒産してしまうと、株式の価値はゼロになってしまいますが、投資信託には価値ゼロになる可能性がほぼないので、株式に比べると安全性が高いということもできます。
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