初心者の人が投資をするときに、一番不安になる点が、「投資知識がないこと」ではないでしょうか。

例えば「株式」の場合は、銘柄の選定や購入や売却のタイミングを自分で市況を見て判断したり、チャートを読んだり、国内外のニュースに目を向ける必要などが出てきます。

その点、「投資信託」は、預けたお金の運用を投資のプロ(ファンドマネジャー)に任せられ、銘柄判断や投資判断をしてもらえるので、投資知識や経験がない人でも手軽に始められます。

また、投資信託は、投資家から集められた億単位もの資金がまとめて運用されるため、たくさんの銘柄に分散投資ができます。株式なら、個人で数十もの銘柄に分散投資しようと思ったら、数百万円、数千万円もの莫大な資金が必要になりますが、投資信託なら、たった1本、1万円分購入した場合でも、数十もの銘柄に分散投資することが可能になるのです。

さらに、個人では投資しにくい対象にも投資できるのもメリットです。インドやロシア、ブラジルなどの新興国の株や、外国債券、不動産、商品、金など、自分ひとりでは投資する方法がなかったり、非常に手間やコストがかかったりする対象でも、投資信託なら手軽に資産に組みこめ、分散投資することができます。自分のポートフォリオを、投資信託を使って、上手に形成することができるのです。

また、自分の資産価値を、日々把握できるのも特長です。毎日、時価評価額が計算され、「基準価額」として発表されているので、今持っている投資信託の価値がどれくらいあるのかがひと目でわかり、資産管理がスムーズにできます。

売買は原則としていつでもできるので、例えば、現金が必要になった場合に、保有している投資信託を、その日の基準価額で売却して、現金化することができます。必要金額にあわせて、一部を売却することができるのもメリットです。

 

次に、デメリットについて、確認していきましょう。

まず、一番気をつけなければいけないのが、元本保証がなく、値下がりのリスクがあることです。定期預金なら、事前に利率が決まっているため、例えば利率1%の1年定期に1万円を1年間預けた場合、1年後には1万80円(20%の税引き後)になって戻ってきます。

投資信託の場合は、1万円で購入した投資信託が、1年後に1万2,000円になる場合もあれば、9,000円になってしまう場合もあるのです。そのため、余裕資金で購入する必要があります。

ただ、株式に比べると、短期間で2倍、3倍になるような激しい値動きをすることが少ないため、基本的に、長期間運用を目的とした商品になっています。

そして、資産の運用・管理を投資のプロに任せているため、株式投資に比べると特に保有中のコストがやや高めです。購入時に手数料がかかるほか、保有時にも信託報酬とういう形で運用資産から経費が差し引かれているからです。ただし、自分で投資判断・運用をする手間や精度を考えあわせると、投資信託のコストは高くないといわれる場合もあります。

次ページでは投資信託の手数料(コスト)と税金について解説します。