• 『サヨナラ港区』

    『サヨナラ港区』

――宮城さんと組んだ『サヨナラ港区』は、壮大な世界観で“港区女子”というカテゴリをイジる面白さがありました。

世の中に出ているドラマの企画は、どうしても似てくるところがあると思うんです。でも物理的、予算的な制約があるので、深夜ドラマでロボットを出したいと思ってもなかなかできない。でも、AIを使ったら出すことができて、企画の制約が取り払われる可能性がある。そうやって、普通に撮れない映像がいいよね、というのが最初にありました。

AIショートドラマで不倫ものをやっても仕方ないので、六本木で飲んでいる女の子たちの話とロボットを組み合わせたらどうなるか、というところからあの形になりました。

――キャラクターがバカバカしいセリフを本気で真面目に力説するという構図は、AIが「演じていない」からこそのギャップの大きさがツボでした。

壮大なことをやっているのに、バカバカしい。しかも、誰も一切ツッコます、ただただ真っすぐ本気でやっている。あれが関西ローカルの深夜に急に流れてきたら面白いなと思ったんです。「何だこれ?」となればいいなと。

AIを使った悪ふざけではあるんですが、意外と各所で真面目に捉えられて、この作品をきっかけにいろんなところでAIの話をするようになりましたね。

――ショートドラマとはいえ全23話あるので、その尺を全編AIで作り切ったのは、かなり珍しいですよね。

全部で50分ぐらいあるので、かなり労力はかかりました。それなりの編集技術も必要だと思います。僕も1カ月くらいずっと編集をずっとやっていましたから。

ただ、別にあの作品で「AIすごいな」「AIっていいでしょう」と言いたいわけではないんです。冒頭に「可能性と限界を知るために作りました」というクレジットを入れていますが、本当にその通りです。AI信者でもないですし、できること、できないことはたくさんある。ただ、「こういうシーンやカットなら使えるな」ということは、きっとあると思います。

――今後、AIを軸にした新たな展開は考えていますか?

実はあまり考えていないんです。今クールのドラマでも、部分的にAIが使われるようになっていると聞きます。いろんな使い方をみんながするようになる中で、同じことをやっても仕方ない。

だからAI周りの情報はたくさん入ってくるようになりましたが、面白くなるために使えるところがあるなら使いましょう、というスタンスです。AIきっかけで考えるのは『サヨナラ港区』だけでいいかなという感じですね。

  • 『裏社会の構成作家』

    『裏社会の構成作家』

ドラマの企画を先に漫画化『裏社会の構成作家』

――バラエティ、ドラマ、アニメ、そしてテレビを超えた取り組みと、様々なジャンルを経験してきたことでご自身の強みになった部分は何でしょうか?

何かを思いついた時に、選択肢があるということは大きいです。これはバラエティにしたほうがいいのか、ドラマにしたほうがいいのか、アニメにしたほうがいいのか、その選択肢をもっと増やしたいです。この幅をどれぐらい持っておけるかが、テレビをやる上では大事だと思っています。たとえば事件が一つあった時に、それを報道にするのか、ドラマにするのかという幅を持っておくために、報道やスポーツもやってみたいですね。

――『裏社会の構成作家』という漫画は、まさにバラエティをやっているからこそ生まれた作品ですよね。

構成作家が仕事を辞めて、昔のプロデューサーに誘われて仕事をするんですが、それが詐欺のプロットを考えるような、裏社会のいろんな事件を企画構成力で乗り切っていく話です。第1話は、カルト教団の教祖の恋愛相談に乗るという話で、もともとはドラマの企画としてあったものを、先に漫画にしてみました。

漫画の作り方も全然違って勉強になります。シナリオを作って、構成の方がネームを切る時に「そこは意味が分からないので変えていいですか?」と言われたりする。で、こちらは「いやいや、ここはこだわりがあって…」となったり(笑)