投資信託という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、「その中身についてはよく知らない」という人が多いようです。実は、投資信託は投資初心者にも始めやすい商品ですが、それはなぜでしょうか。本連載では、投資信託とはどのような内容なのか解説していきます。

投資信託とは

投資信託(以下、投信)とは、たくさんの投資家からお金を集めてひとまとまりにし、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株や債券など様々な形で投資・運用する金融商品です。個人で投資をするには、費やせる資金や時間にどうしても制限が生じてしまいますが、複数の投資家のお金をひとつにすれば、数十億や数百億といった大きな金額になります。それを元にして、たくさんの株式や債券などに投資したり、個人では難しい海外の国や地域に投資したりすることができるのです。投資家は運用の専門家であるファンドマネージャーを信じてお金を預け、その投資が成功すれば収益が増えていく仕組みとなっています。

投資信託は様々な商品の詰め合わせ

投信は、ひとつの器の中にいくつもの株や債券が入った詰め合わせ商品のようなものです。投信によってどのような資産が入っているかは異なりますが、中身に何を入れるかは、専門家の投資に対する考え方や投資スタイルによって決まります。複数の日本企業の株だけが入ったものもあれば、海外企業の株だけが入ったものもあります。その他、国債(国が発行する債券)や社債(企業が発行する債券)が入っている投信もあります。

さらには、不動産やコモディティ(商品)などが含まれる投信もありますし、株や債券といった1種類だけではなく「株と債券」など異なる資産が一緒に入っている投信もあります。そのため、投信を選ぶ際は、個々の中身をよく調べて特徴を掴み、理解するようにしましょう。様々な資産に分散投資されている投信ですが、一般的には1万円や1000円から購入することができます。積立購入を利用すれば、中には100円から買えるところも。自分で多くの資産に投資するのは難しくても、投信なら気軽に始められそうですね。

投資信託の特徴

投資初心者が取り組みやすい投信ですが、その特徴について、メリット、デメリットを交えてもう少し詳しく見ていきましょう。

<投信のメリット>

先述した通り、投信は少額から株や債券に分散投資ができ、また、専門家が運用を代行してくれることで、自分は投資に多くの時間や手間をかける必要がありません。一般的に、どこかの企業株を購入しようと思ったら、数万円、数十万円といった資金が必要になります。銘柄の異なる株がいくつか欲しい時には、その分さらにたくさんのお金がかかります。

しかし、投信であれば、あらかじめ分散投資された商品を1万円や1000円から買うことができるのです。投信は、いくつかの株や債券などに投資されていることで、ひとつの企業に投資するより価格変動を抑えることができますし、成長が見込める投資先を自分で調べる労力をかけなくて済みます。投信は、投資をしてみたいけどまとまったお金がない、忙しくて時間を割けないという人には最適の方法と言えるでしょう。

なお、投信の販売や運用にはいくつかの会社が関わっていますが、そうした会社が万が一破綻した場合でも、投資家の預けたお金は守られる仕組みになっています。安心して投資を任せられる点も投信のメリットですね。

<投信のデメリット>

一方で、投信にはデメリットもあります。ひとつ目は、いくら専門家が投資の判断をするとはいえ、運用がうまくいかなかった場合には、値下がりして元本割れのリスクもあるということです。投信は、「必ず儲かる商品」ではないことを頭に入れておきましょう。

二つ目は、プロに運用を任せることで、相応の手数料が発生するという点です。投信の中には手数料が高いものもありますので、しっかりと確認しておきましょう。

投資を始めたくても、資金や時間がないことが障壁となり、はじめの一歩が踏み出せなかった人も多いのではないでしょうか。投信は、初心者が投資を始めやすい条件が揃っている商品と言えます。

筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。