通貨が上がるか下がるかを予想して利益を追求する「FX」。平日であれば、インターネットから24時間いつでも取り引きができます。自分の生活スタイルを変えずに取り組める気軽さから、FXに挑戦してみたいと考えたことがある人は多いのではないでしょうか。

さて、FXを行うには、取り引きの仕組みや専門用語を覚える必要があります。今回は、取り引きするにあたって初めに覚えておきたいFX用語をご紹介します。

  • FXの基本用語

まずは「通貨ペア」を選ぶ

通貨ペア

FXで取り引きする2国の通貨の組み合わせのことを、「通貨ペア」と言います。たとえば、米ドルと日本円の通貨ペアで取り引きする場合は、「米ドル/円」と表します。

ただし、実際に取り引きを行うFXの画面では、それぞれの通貨をアルファベット3文字で表すのが通例となっています。日本円であれば、「JPY」、米ドルであれば「USD」という具合です。これは、ISOで定められた世界共通の通貨コードであり、最初の2文字で国名を、最後の1文字で通貨名を表しています。米ドル/日本円は、「USD/JPY」となります。では、代表的な通貨ペアの英語表記を見てみましょう。

  • 米ドル/日本円=USD/JPY
  • ユーロ/円=EUR/JPY
  • ユーロ/米ドル=EUR/USD
  • 豪ドル/円=AUD/JPY
  • 豪ドル/米ドル=AUD/USD
  • 英ポンド/円=GBP/JPY
  • 英ポンド/米ドル=GBP/USD
  • カナダドル/円=CAD/JPY
  • スイスフラン/円=CHF/JPY

基軸通貨、決済通貨

通貨ペアはこの他にもたくさん存在しますが、FXではこのような通貨ペアの中から取り引きするものを選び、トレードを行います。ちなみに、通貨ペアの左に位置する通貨を「基軸通貨」、右に位置する通貨を「決済通貨」と言います。FXは、「基軸通貨を決済通貨と交換する取引」ということです。

売値と買値、スプレッドとは

売値、買値

為替レートの変動を利用して通貨の売り買いを行うFX。実際にFX口座を開設して取引画面を見ると、為替レートの欄に異なる2つの値段が並んでいることがわかります。これは、通貨を売る時の値段である「売値(Bid)」と、通貨を買う時の値段である「買値(Ask)」です。

たとえば、為替ニュースで「現在の外国為替市場は、1ドル105円88銭から85銭の間で取り引きされています」といった表現を耳にすることがありますよね。これは、1ドルを買う時の値段が105円88銭、売る時の値段が105円85銭であるということです。

取引の際、BidとAskはどちらがどちらであるか混乱してしまいそうですが、2つのレートのうち高い方が買値で安い方が売値、または、左にある方が売値で右にある方が買値と覚えておくと良いでしょう。

スプレッド

売値と買値の差を「スプレッド」と言います。たとえば、米ドル/円を買い、瞬時に売りに出した時には、買値よりも安い値段でしか売ることができません。この差は、実質的なコストになりますので、スプレッドの幅はより狭い方が投資家にとって有利になります。

なお、スプレッドはFX会社によって異なります。そのため多くの投資家にとって、スプレッドの幅はFX会社を選ぶ上でポイントの一つになっているようです。

注文を出して決済するまでの流れは?

ストリーミング注文、約定、ポジション

レートを確認したら、注文(買い注文または売り注文)を出してみましょう。現時点のレートで取り引きする注文方法を「ストリーミング注文」と言います。最もシンプルな注文方法ですので、まずはこの方法から始めてみましょう。

注文が成立することを、「約定」と呼び、ポジション(建玉)が保有できます。ポジションを保有している状態とは、売買注文を出したけれど、まだ決済を終えていない状態を指しています。

含み損益、決済損益、利益確定、損切り

「含み損益」は、ポジションを現時点で決済した場合、どの位の損失や利益になるのかを表したもので、「評価損益」とも呼ばれます。全てのポジションの含み損益を合計したものを、「総評価損益」と言います。

それに対し、決済を行い実際に反映される損失や利益は「決済損益」と言います。つまり、FXで利益を上げるには注文を出すだけではなく、決済して利益確定(利確)させ、「実現益」を出す必要があるのです。なお、トレードをしていていざ利益が出そうという時には慌ててしまうものですので、利確する価格は、あらかじめ決めておきましょう。

また利確とは反対に、自分の思惑とは逆に価格が動いてしまった場合、損失の拡大を抑えるため含み損を抱えたポジションを解消することを「損切り」と言います。損切りも、利確同様に価格を決めておくことが大切です。そして、利確と損切りはバランスを考え、利確までの幅は損切りまでの幅より大きくなるよう設定し、利益を伸ばしていくようにしましょう。

FXには普段耳慣れない言葉が色々とありますが、スムーズに取り引きを行うには大切な用語ばかりです。用語だけ覚えようとすると難しいので、デモ口座を開設して実際の取り引きをシミュレーションしながら学んでいくと早く習得できるでしょう。基本用語を覚えたら、まずは少額から実際の取り引きを始めてみたいですね。

筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。