ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

フェイスブックの独自仮想通貨・Libraは2020年にローンチ

GAFA (グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の一角であるフェイスブックが、独自の仮想通貨「Libra(リブラ)」を、2020年を目途にローンチすることが明らかになりました。

2020年の第1四半期までに、約12の国々でLibraの決済システムの構築を計画しているようです。すでに賛否両論さまざまな議論が巻き起こっていますが、グローバル企業であるフェイスブックの仮想通貨が誕生すれば、これまで仮想通貨に関心のなかった人や仮想通貨を保有したことのなかった人も、仮想通貨をより身近に感じるようになるかもしれません。

第33回の記事でご紹介したように、GAFAやBATH (バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)はビッグデータをいかに活用するかを考えているでしょうから、フェイスブックがフュージョンバンキングのようなハイブリッド銀行をスタートさせる可能性は十分あります。

一方で、フェイスブックは個人情報の流出などの課題もありますから、ビジネスの基本であり本質である信用がますます重要になりますね。

マイクロソフトもID管理にブロックチェーンを採用

マイクロソフトは、ID管理にブロックチェーン技術を採用し、分散化を進める計画を明らかにしています。ブロックチェーン技術によって、個人情報の大規模流出が減り、プライバシー保護にもつながると期待されていますが、まだ課題は多そうです。

同社は、ブロックチェーンの新システムにビットコイン(BTC)の技術を採用していますが、第4回の記事でご紹介したように、ビットコイン(BTC)には「スケーラビリティ問題」があります。

ビットコイン(BTC)は処理に時間がかかることで有名です。マイクロソフトは、この問題に「IPFS (InterPlanetary File System)」というシステムで対処しようとしているそうです。理論的には、1秒間に数万件という大量の処理が可能になるとしています。これがうまく実現すれば、ビットコイン(BTC)のスケーラビリティ問題も解消できるかもしれませんね。

本田圭佑氏もブロックチェーンファンドを設立

元サッカー日本代表で、カンボジア代表の実質的監督も務めている本田圭佑氏は、今年5月30日に東京ミッドタウンで開催された「Advertising Week Asia」の基調講演に登壇しました。

そこで発表されたのが、ブロックチェーンに関連するスタートアップ企業等にファンドを通じて投資を行っていくことでした。本田氏は、仮想通貨取引所のBITPointのCMに出演した経緯などから、ブロックチェーンに興味を示していたといいます。ファンドを運営するのは、クリプトキャピタリストの大日方祐介氏です。

本田氏は、「ポイントは、分散型で誰の手にも支配されていないこと。世界には、政治が不安定で、自分のお金がどうなるかわからない国もたくさんある。こうした問題も解決していきたい」としています。

また、大日方氏は「人間の生き方や生活が、そんなに“国”に縛られない形になっていくのかな、それが社会から求められているのかなと。ビジネスがグローバルになり、人と人との間で価値を移動させるやり方、すなわち金融の枠組みが変わってきた。そのひとつの例を見せつけてくれたのがビットコインなのだと思います」と語っています。

海外で生活したり、海外で事業を行ったりすることは、今よりもっと当たり前のことになるでしょうから、仮想通貨やハイブリッド銀行などを利用して価値(お金や資産)を自由に移動できるのはとても便利ですよね。

次回は、「仮想通貨の実需はどのようにして生み出されるのか? 」というテーマについてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。