熱中症というと、屋外や日中の活動時に起こるものというイメージが強い方も多いのではないでしょうか。特に、夏休みやお盆の帰省シーズンが近づくと、旅行やレジャーなどで日中の熱中症対策に意識が向きがちです。しかし、実際には室内や夜間にも熱中症のリスクは潜んでいます。
近年は夜になっても気温が下がらない「熱帯夜」が増えており、寝ている間に起こる「睡眠熱中症」にも注意が必要とのこと。今回は、そのリスクや予防のポイントについて紹介します。
熱中症は昼だけじゃない? 夜間にも潜む「睡眠熱中症」のリスク
熱中症は屋外で発症するものと思われがちですが、実際には室内にもリスクが潜んでいます。
総務省消防庁の熱中症による救急搬送状況では、発症場所として最も多いのは住居で、全体の約4割を占めています。
こうした室内熱中症の中でも、特に注意したいのが寝ている間に起こる「睡眠熱中症」です。
近年は「熱帯夜」という言葉を耳にする機会も増えました。国立環境研究所の岡和孝氏によると、建物は日中に日光の熱を吸収し、その熱を夜間に放出するため、夜になっても室温が下がりにくいといいます。
室温が高い状態で眠り続けると、大量の汗によって体内の水分や塩分が失われることがあります。睡眠中は体調の変化に気付きにくいため、起床後に頭痛や倦怠感、めまいなどの症状が現れるケースもあるそうです。
睡眠に不満を抱える人ほど、就寝時の冷房を控える傾向も
睡眠への不満がある人ほど、睡眠熱中症のリスクを高めかねない行動を取っている可能性もあります。
第一三共ヘルスケアが実施した「2023年夏のセルフケア」に関する調査によると、夏場の睡眠に満足できていない人は全体の約半数を占めていました。さらに、そのような人たちは就寝時の冷房使用を控える傾向もみられたといいます。
エアコンによる冷えが苦手だったり、電気代が気になったりする人もいるかもしれません。しかし、近年は夜間も気温が下がりにくく、室温が高い状態が続くケースも少なくありません。
こうした環境が睡眠の質の低下だけでなく、睡眠熱中症のリスクにつながる可能性があります。
睡眠熱中症を防ぐためのポイント
睡眠熱中症を防ぐためには、就寝時の環境を整えることが重要です。
・就寝中も適切に室温を管理する
熱帯夜には就寝中もエアコンを適切に使用し、快適な睡眠環境を整えることが大切です。室温は26℃前後、湿度は50〜60%を目安にするとよいとされています。タイマー機能や扇風機を併用するなど、自分に合った方法を取り入れてみましょう。
・寝る前と起きた後に水分補給をする
寝ている間にも汗によって水分は失われています。就寝前や起床後には、水分や塩分を意識的に補給することも重要です。
・寝具や寝間着を見直す
通気性や吸湿性に優れた寝具や寝間着を選ぶことも、快適な睡眠環境づくりにつながります。
もし熱中症になってしまったら…
どれだけ気を付けていても、熱中症は誰にでも起こる可能性があります。
体調に異変を感じた場合は、まず涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて体を冷やしましょう。首筋や脇の下、足の付け根などを冷やすと効果的とされています。
また、水分や塩分を補給することも重要です。
一方で、自力で水分を摂取できない場合や、意識障害、けいれんなどがみられる場合は、速やかに医療機関の受診や救急要請を行う必要があります。
普段は日中の暑さばかりに目が向きがちですが、熱中症対策には夜間の備えも欠かせません。今晩から、エアコンの設定や寝室の環境を一度見直してみるのはいかがでしょうか。睡眠中の暑さ対策が、夏を元気に乗り切る第一歩になるかもしれません。



