第21話「蝦夷桜上野屁音」では、1782(天明2)年の様子が描かれた。
鶴屋喜右衛門と西村屋与八(西村まさ彦)に「倍返し」を果たした蔦重だったが、今回は逆に版元としての地力の差をまざまざと見せつけられた。しかし、大田南畝から助言を得て、モチベーションを取り戻す。一方、蝦夷地を上知したい田沼一派は、松前藩の抜荷の証拠をつかむべく動き始めた。
注目度トップ以外の見どころとしては、二代目・大文字屋市兵衛(伊藤淳史)の登場が挙げられる。惜しまれつつも退場した市兵衛だったが、キャストが伊藤淳史のまま二代目の登場となった。
SNSでは、「二代目大文字屋さん、なんかお上品」「大文字屋、退場したと思ったら、しれっと復活してる!」「初代の息子とは思えないほど物腰がやわらかいね」と、先代と瓜二つの容姿が話題となったが、実はこの二代目、先代とは血がつながっていない。史実でも狂歌師として活躍しており、誰袖(福原遥)の詠んだ歌を見事に修正し、その教養の高さを披露していた。
余談だが、今回のように一人二役は、大河ドラマでもしばしば見受けられる。2011年『江~姫たちの戦国~』では芦田愛菜が茶々と千姫。『いだてん~東京オリムピック噺~』では杉咲花が増野シマと増野りく母娘、浜野謙太が伊藤博文と三波春夫。2023年『どうする家康』では北川景子がお市の方と茶々母娘を演じた。
そして、蝦夷地の上知を実現しようと勇み足な父・意次を冷静に静める田沼意知も注目されている。意次は金銀銅山が眠り、ロシアとの交易も見込める蝦夷地に魅力を感じるや、すぐに上知に乗り出そうとするが、意知は秋田・阿仁銅山の失敗を繰り返さないためにも、慎重に事を進めようとする。SNSでは、「有能揃いの田沼派でも埋もれていない意知すごいな」「めっちゃ孝行息子だな」と、意知の才覚に注目が集まっている。誰袖との出会いも描かれ、クローズアップされている意知にはどのような運命が待っているのだろうか。
また、あらためて蔦重と歌麿の絆の深さを描いたシーンもあった。以前失敗した『青楼美人合姿鏡』を本ではなく、錦絵でやり直そうとする蔦重。清長が一世を風靡している今なら、当たると判断した。蔦重は絵師に歌麿を据えるつもりだったが、主人たちは戯作者としても売れている政演を推す。蔦重はそんな圧力に逆らえず、歌麿をプロジェクトから外すが、歌麿は腐ることなく、逆に政演が担っていた仕事を引き受ける。SNSでは、「蔦重と歌麿の信頼関係、最高だね」「歌麿が幸せそうでほっこりする」「歌麿、どこまでも健気で良い義弟だな」と、2人にブロマンスを感じた視聴者が続出している。
きょう8日に放送される第22話「小生、酒上不埒にて」では、宴会以来、蔦重からの仕事を断っている春町を喜三二と歌麿が説得に向かう。また、誰袖と意知は松前藩の抜荷の証拠をつかもうと画策する。