日本民間放送連盟(民放連)が12日、「民放業界におけるジェンダー平等推進のための提言」を公表した。ジェンダー平等の推進を「人権課題であり経営課題」と位置づけ、男性優位の構造が続く民放業界に対し、経営トップの意識改革、女性管理職の育成、長時間労働を前提としない働き方、番組表現に潜む無意識のバイアスの点検などを求めている。

  • 民放キー局5社

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民放連は、昨年5月に決定した「民放連・緊急人権アクション」の一環として、ジェンダー平等推進プロジェクトを設置。民放業界の男性優位の構造を改革するため、外部有識者や他団体との意見交換、放送事業者の取り組み状況の共有などを行い、計9回にわたって議論を重ねてきた。

提言では、ジェンダー平等の推進を「人権課題であり経営課題」と位置づけた。民放業界は長年の人事施策の結果として、意思決定層の人数に大きな男女差があり、取材・報道や番組制作の現場でも価値判断の多くを男性が担いがちであると指摘。メディア自身が助長してきたとも言える社会の性別役割分担意識と相まって、男性優位の職場環境となる傾向が強いとしている。

会員社への提言としては、まず経営トップの意識改革を掲げた。ジェンダー平等推進を人権課題・経営課題として認識し、経営トップが率先して取り組む姿勢を社内外に示すことが不可欠だとしたうえで、中長期の経営計画に関連目標を盛り込むことや、女性管理職を育成する施策の必要性にも触れている。

また、長時間労働を前提とした放送現場の働き方についても、柔軟な労働環境づくりを求めた。育児・介護休暇、時短勤務などを男女問わず取得しやすくするだけでなく、休暇や時短勤務を取得した人の周囲の社員を支える仕組みや、時短勤務者が現場で活躍を続けられる制度整備が必要だとしている。

さらに、アンコンシャスバイアスの是正と公平性の確保も重要な柱に据えた。取材や番組制作の現場で、性別によって担当や機会が偏っていないかを点検し、「女性には無理だ」「女性ならではの視点で」といった無意識の判断が機会の不平等につながっていないか、全社員が自覚的になる必要があるとした。

番組表現についても、社内での点検や議論を求めている。男性キャスターと若い女性アシスタントという構図、家事や育児を女性の役割と前提する表現などを例に挙げ、無意識な表現に潜むバイアスが社会の固定観念を再生産していないか、日常的に確認する必要があるとした。出演者やニュースに登場する専門家、街頭インタビューの対象者などについても、社会の多様性を反映しているか留意すべきだとしている。

民放連自身への提言としては、ジェンダー平等推進に関する検討の継続、研修・セミナーの開催、顕彰制度の創設、放送局で働く女性のネットワーク創出、各社の施策や好事例の情報共有などが盛り込まれた。

ジェンダー平等推進プロジェクトの檜原麻希座長(ニッポン放送社長)は「多様な価値観や生き方を認めあう社会を実現するためには、ジェンダー平等の推進は必要不可欠な取り組みです」とコメント。民放業界にかかわる一人一人が喫緊の課題として“自分事化”し、無意識の固定観念に気づくことが必要だとしたうえで、会員社に対し、ジェンダー平等の推進を人権課題、経営課題として認識し、取り組みを進めるよう求めている。