日本民間放送連盟(民放連)が12日に公表した「民放業界におけるジェンダー平等推進のための提言」で、番組制作や取材現場に潜むアンコンシャスバイアスの是正、番組表現の点検が求められた。提言では、「女性には無理だ」「女性ならではの視点で」といった無意識の判断が機会の不平等につながる可能性や、“男性司会者と若い女性アシスタント”という構図、家事や育児を女性の役割と前提する表現などにも言及している。
提言では、同じ職種であっても、性別役割分担意識が男女間での機会の不平等を招いているとの声があると指摘。例として、取材現場で「発生の現場に行かせるのは男性記者が多く、キャリアを重ねるチャンスが平等ではない」「イルミネーションやチョコレートの取材は女性が指名されがち」といったケースを挙げた。
その上で、一見すると善意に見える配慮が、実は機会を奪っていることがあるとし、「女性には無理だ」「女性ならではの視点で」といった判断を無意識に行っていないか、全社員がアンコンシャスバイアスに自覚的になる必要があるとした。
また、番組内容の決定権を持つ地位を男性が占めていることで、ニュースでは女性の健康、LGBTQやジェンダーにまつわる企画が通りづらかったり、バラエティ番組では男性目線の表現が数多く見られたりするとの声も紹介。役員や管理職における女性比率をすぐに向上させることが難しい場合でも、日々の会議の人数を男女同数にしてみるなど、意思決定の場に多様な視点を入れる工夫を求めている。
番組表現については、作り手の性別役割分担意識が表現に及んでいないか、社内で議論や再確認が必要だとした。
具体例として、“男性のキャスターや司会者”と“若い女性のアシスタント”という構図が無意識に常態化している番組がないか、夕方の情報番組で「奥さん、お買い得です!」と呼びかけるなど、家事や育児は女性が行うことや結婚を前提にした表現が見られないかを挙げている。バラエティ番組、ドラマ、アニメにも、性別役割分担意識を助長する表現が無意識のうちに入り込んでいる可能性があるとした。
提言では、こうした表現が直ちに問題となるわけではないとしつつ、無意識な表現に潜むバイアスが、社会のバイアスを再生産していないかどうか、日常的に社内で点検や議論を行う必要があると強調。番組制作の過程で、制作者と異なる視点を入れる工夫も有意義だとしている。
さらに、番組出演者だけでなく、ニュースに登場する専門家や街頭インタビューを受ける人々などについても、社会の多様性を映し出しているか番組ごとに留意したいと指摘。メディアは社会の「鏡」であり、多様な価値観や視点、人々の姿や現実を反映する基盤としての役割が期待されているとした。
