転職や辞職、退職を検討し始めると気になる「辞職願(辞表)・退職願の書き方」。

そもそも、辞職願と退職願の違いやそれぞれの役割についてご存知でしょうか? 辞職に関する書類を作成する前に、まずは基本的な知識を身に付けておくべきでしょう。

本記事では、辞職願、辞職願、退職届の意味、およびそれらの書き方を紹介するとともに、書類の渡し方や上司・同僚への伝え方など、仕事を辞める際に知っておきたい知識をまとめました。これから今の会社を辞める可能性がある人、辞める予定のある人はぜひ参考にしてください。

  • 辞職に関する書類の作成方法から伝え方までの流れを説明します

    辞職に関する書類の作成方法から伝え方までの流れを説明します

辞職願(辞表)・退職願・退職届の違いと役割

辞職・退職に関わる書類として、辞職願と退職願、退職届の3種類があります。それぞれ、少しずつ役割や扱いが異なるため、違いを把握しておきましょう。

■辞職願(辞表) : 経営層や公務員が辞職する際の書類

辞職願とは、民間企業の経営層や役職者、あるいは公務員が辞職する際提出する書類を指します。内容としては退職願と変わりませんので、書き方については退職願とともに解説します。

■退職願 : 退職を打診するための書類

退職願は、退職したいという意思を示す書類です。退職希望日も明記しますが、あくまでも願い出るだけなので、会社側は受理しないケースもあり得ます。

法的には、口頭で退職の意思を伝えるだけでも問題ありません。しかし、書類として残すことで、言った・言わないの食い違いなどのトラブルを回避できるため、退職を検討している方は作成するほうがよいでしょう。

■退職届 : 退職が決まった後に提出する書類

退職届は、会社と退職について合意が取れた後に提出する書類です。会社規定のフォーマットがあればそちらを使い、退職日を明記して直属の上司に提出します。退職届も、後からトラブルにならないよう、書面として作成しておくのが安全です。

辞職願(辞表)を書く前に就業規則をチェックしよう

辞職願は、辞職を希望していることを伝える書類です。そのため、退職希望日を書類の中で示さなくてはなりません。公務員や経営層が辞職願を出す場合、特に決まりはありませんが、引き継ぎなどで迷惑をかけず、有給も消化できる時期も考慮したタイミングで、早めに伝えるといいでしょう。

なお、辞職願ではなくパート・アルバイトなどで退職願を提出する場合は、どのようなタイミングで退職の手続きを進めるべきか検討する前に、勤務先の就業規則を確認しておく必要があります。

就業規則で確認するポイントは以下の通りです。

  • 退職を申し出る期日 : 退職希望日の1~2カ月前となっている場合が多い
  • 退職金制度 : 受け取れる金額の確認をしておく

残りの有給消化や引き継ぎのことを考え、就業規則で定められた期間より前に、辞職願や退職願を提出するよう計画を立てましょう。

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    辞職の希望日を決めるためには就業規則の確認が必要です

決心してから辞職するまでのスケジュール感は?

辞職あるいは退職を決意してから、実際に職を辞するまでの大まかな流れを紹介します。

辞職までの一般的なフローは以下の通りです。

  1. 辞職のタイミングを決める ※退職の場合は就業規則の確認必須
  2. 辞職願(辞表)を作成し退職希望日を記載
  3. 辞職について直属の上司に相談し、辞職願(辞表)を手渡す
  4. 辞職が承認されたら、引き継ぎなどを決めて正式な退職日を決定
  5. 自治体の服務規程や会社の決まりに沿って退職届を提出
  6. 社内外での業務引き継ぎや辞職の挨拶
  7. 退職日に必要書類を受け取って辞職

順を追って、どのように進めていけばいいのか解説します。

■1. 辞職のタイミングを決める

辞職を思い立ったら、いつ辞職するかのタイミングを決めます。職場の仕事や引き継ぎ、有給消化などを勘案して退職希望日を決めましょう。

公務員の場合には特に確認しなければならない書類はありませんが、民間企業で一般社員として働いている場合は、就業規則を確認しなければなりません。自己都合退職の場合、退職希望日の何日前に届け出る必要があるか忘れず確認してください。

■2. 辞職願(辞表)を作成して辞職希望日を記載

退職希望日が決まったら、辞職願を作成して、退職希望日を明記してください。辞職願の書き方については後ほど説明します。

■3. 辞職について直属の上司に相談

辞職願が完成したら、直属の上司にアポイントを取り、辞職について相談します。いきなり辞職願を出すのではなく、相談という形で仕事を辞める意思を伝えた後、辞職願を提出します。

この時点で引き留められることも予想されますが、辞める意志が強いことを説明しましょう。

■4. 引き継ぎ内容などを決めて実際の退職日を決定

辞職の相談を進める中で、直属の上司とは業務の引き継ぎや実際の退職日について話し合います。直属の上司と辞職について合意が取れ、実際の退職日が決まったら次のステップに進みましょう。

■5. 自治体の服務規程や会社の決まりに沿って退職届を提出

正式に辞職が決定したら、自治体の服務規程や決まりにしたがって退職届を作成します。フォーマットが用意されている場合はそちらにしたがい、フォーマットが決まっていない場合は、以下で紹介する一般的な書式で退職届を作成してください。

■6. 社内外での業務引き継ぎや辞職の挨拶

退職届を提出した後は、社内外で必要な業務引き継ぎを行い、有給消化を開始します。辞職の挨拶など、周囲に辞職することを伝えるタイミングは、直属の上司と相談しましょう。

■7. 退職日に必要書類を受け取って辞職

有給消化をしていたとしても、退職日には受け取る必要のある書類があるので基本的には出社します。最後に職場で挨拶を済ませ、ようやく辞職完了です。

  • 決心してから実際に辞職するまでのスケジュール

    辞職のスケジュールを決めたら直属の上司と面談予約を

辞職願・退職願の書き方と例文・テンプレート

辞職願の書き方と例文(公務員・民間企業の役職者用)と、退職願の書き方(一般社員・パート・アルバイト用)それぞれ紹介します。

■公務員・民間企業の役職者

公務員・民間企業の役職者の場合は、辞職願を作成しましょう。特にフォーマットに決まりがない場合は、縦書き・横書きのどちらでも問題ありません。以下の流れを参考に、記入しましょう。

  1. タイトル位置に「辞職願」と記載します
  2. 冒頭は「私儀」(わたくしぎ)から始めます。文字は一番下に下げてください
  3. 自己都合の場合は「一身上の都合」で統一します
  4. 退職希望日を記載します
  5. 願い出る書類なので、最後は「お願い申し上げます」と締めくくります。民間企業の役職者の場合は、役職名を入れて「(日付)をもって貴社の(役職名)を辞任いたしたくお願い申し上げます」としてください
  6. 辞職願の提出日を記載します
  7. 所属の正式名称、自分の名前、押印をします
  8. 公務員の場合、宛先は自分の属する役所の長です。神奈川県横浜市なら「横浜市長」宛となります。民間企業の役職者の場合は、会社の代表取締役宛に変更してください
  • 辞職願の書き方と例文・テンプレート

    公務員・民間企業の役職者の辞職願の書き方

自己都合で辞職する場合は、具体的な辞職理由を記載する必要はありません。必ず「一身上の都合」としてください。

■民間企業の一般社員・パート・アルバイト

民間企業に勤める社員(役職なし)やパート・アルバイトの場合は、全員同じ「退職願」のフォーマットで問題ありません。退職願の書き方は、辞職願とほぼ同じですので、違う部分のみピックアップして解説します。

  • 辞職願の書き方と例文・テンプレート

    民間企業の一般社員・パート・アルバイト

  1. タイトル位置に「退職願」と記載します。
  2. 宛先は、勤務先の代表取締役です。

自己都合での退職の場合には、辞職願と同じように「一身上の都合」で統一してください。

パートやアルバイトの場合、一般的に退職願や退職届は不要です。ただし、会社によっては提出を求められる場合もありますので、その場合は職場の指示にしたがい、指定のフォーマットで退職願・退職届を提出しましょう。

  • 辞職願の書き方と例文・テンプレート

    辞職願や退職願を書く場合は書き方を確認しておこう

辞職願(辞表)の渡し方と伝え方、伝えるタイミング

辞職願の渡し方と伝え方について、タイミングや辞職理由の説明、引き留められた場合の対応について解説します。

■上司への伝え方とタイミング

辞職の意思を一番に伝える相手は直属の上司です。それ以外の上司に辞職の意思を伝えると、直属の上司に対して大変失礼に当たるので注意してください。

上司へ辞職の意思を伝える場合は、「今後のことをご相談したく、お時間をいただけないでしょうか」と自分で直接アポイントを取りましょう。

辞職の意思を伝えるタイミングは、業務の引き継ぎ、就業規則の規定、有給消化の期間を考えて1~3カ月ほど前がいいでしょう。

辞職の相談は、できれば繁忙期を避けたいところです。しかし常に繁忙期という職場の場合は、退職予定日を優先してタイミングを選びましょう。

■辞職理由の説明

会社を離れたとしても、その後予期せず仕事で一緒になる可能性があります。そのため、辞職理由の説明は「新しい環境で自分の力を試したい」など、ポジティブなものにし、関係性を悪化させないことをおすすめします。

また、転職先は決まっていても、名前を出す必要はありません。どういう業種か程度は答えても構いませんが、具体的な社名を伝えると、最悪の場合転職を妨害されるリスクもあります。

■引き留められた場合の対応

直属の上司から引き留められた場合は、「そのように言っていただけて光栄です」と謝意を表明してください。しかし、その直後に「辞職の意志は変わりません」と辞職の意思を繰り返してはっきり伝えましょう。

特に、次の転職先が決まっているなら、辞職日を大きく変更することはできません。情に訴えられる可能性はありますが、きりがないためしっかりと区切りをつけてください。

また、パートやアルバイトの場合は、深刻な人手不足のため退職願を提出しても受理されない、ということも考えられます。その場合は、退職の意思を撤回できない「退職届」を提出しましょう。

  • 辞職願(辞表)の渡し方と伝え方

    「辞職願」を渡すのは、上司へ辞職の意思を伝えてからにしましょう

辞職願(辞表)を出した後にやるべきこと

辞職願を提出した後にやるべきことは、業務の引き継ぎと辞職事務手続きです。引き継ぎや事務手続きではどういうことをするのかについて、具体的に把握しておきましょう。

■業務の引き継ぎ

業務の引き継ぎについては、退職届を提出した後から具体的に進めていきます。事前に直属の上司と話し合って引き継ぎ内容を決めているはずですが、後は引き継ぎスケジュールを決めて辞職日に影響が出ないよう注意して引き継ぎ作業を進めましょう。

後任がはっきりと決まっている場合は、計画的に時間を取って引き継ぎ内容を説明します。しかし、後任が決まらないまま辞職を迎えるケースも少なくありません。引き継ぐ人がいる・いないに関わらず、仕事内容を誰にでも引き継げるよう、引き継ぎ資料は作成しましょう。

また、業務の引き継ぎを行う過程で、たまっている名刺の扱いについても直属の上司と相談してください。名刺は基本的に直属の上司へ渡し、コピーもとらないようにしましょう。

引き継ぎがしっかりできていないと、辞職後にも自分宛の電話連絡があり、転職先に迷惑をかけてしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、しっかりと仕事を引き継ぎ、辞職後は対応しないで次の仕事に集中しましょう。

■辞職時の事務手続き

辞職時には、さまざまな事務手続きが発生します。主な事務手続きについて表にまとめました。

辞職にまつわる事務手続き 手続き内容とやり取りする物・書類
会社から貸与されたものの返却 社員証、制服、職印、就業規則など
辞職時に必要書類の受け取り 雇用保険被保険者証、源泉徴収票、離職票
社会保険の手続き 健康保険は任意継続(2年間)または国民健康保険への加入が必要
年金は厚生年金から国民年金へ切り替え
税金の手続き 辞職時にそれまでの住民税や所得税の清算を行う
失業保険(失業手当)受給 会社から受け取った離職票などを持って地元のハローワークにて手続きを進める

辞職にまつわる事務手続きは、事前に進めておけるものから、辞職日以降でないと受け取れない書類などさまざまです。基本的には会社の総務部門が手続きをサポートしてくれますが、辞職してしまうと自分で動かなければなりません。

また、失業手当を受給する場合は、何度か自らの足でハローワークへ行って手続きを進めてください。

  • 辞職願(辞表)を出した後にやるべきこと

    辞職願を出した後は業務の引き継ぎと事務手続きを行う

【Q&A】辞職願(辞表)の書き方や渡し方などでよくある疑問

辞職願の書き方や渡し方などで多くの人が抱く疑問をいくつかピックアップして回答します。手続きを進めていく中で疑問に思うことがあれば、内容を確認して当てはまるものがあれば対策をしましょう。

Q : 辞職願(辞表)はパソコンでもOK?

基本的には、会社指定のフォーマットがあればそれにしたがって作成します。会社によっては、パソコンで作成してほしいと指定される場合もありますのでその指示にしたがえば問題ありません。

特に会社から辞職願のフォーマットなどについて指示がない場合は、「手書きで縦書き」の辞職願を作成・提出が無難です。

Q : 辞職願(辞表)を受け付けてもらえない場合の対処は?

正社員のように期間の定めのない雇用契約の場合、民法第627条1項で「退職届の提出から2週間後に退職が認められる」と定められています。ただし、年俸制の場合は例外で、民法第627条3項にしたがい3カ月前に辞職の意思を伝えなければなりません。

派遣社員・パート・アルバイトのように期間の定めがある雇用契約の場合は、雇用契約が終了しなければ辞職できません。ただし、親の介護などやむを得ない理由がある場合や、契約してから1年以上経過している場合は、契約満了でなくても辞職が可能です。

Q : 会社都合の辞職でも辞職願(辞表)は必要?

辞職願はこちらから辞職を願い出る書類のため、会社都合の場合は不要です。退職届は、会社の事務手続き上、提出を求められることがあるためその指示にしたがって作成しましょう。

会社都合で退職届を作成する場合は、辞職理由に「一身上の都合」と書かず、「早期辞職のため」のように具体的な理由を書いてください。

会社都合辞職は、自己都合辞職と比較して失業手当や社会保険料の面で優遇されます。「一身上の都合」と書いてしまうと、自己都合辞職となってしまい恩恵を受けられなくなるので注意しましょう。

Q : 辞職願(辞表)は取り下げられる?

辞職願は辞職を打診する書類ですが、勤務先が承認する前なら撤回も可能です。ただし、一度辞職の意志を表明した後職場に残ると、対人関係などでデメリットが生じる可能性があります。ちなみに役職のない一般社員やアルバイト・パートが退職願ではなく、退職届を提出した場合は、その時点で撤回できません。

Q : 同僚や取引先にはいつ辞職を伝える?

辞職を伝えるタイミングは、個人では決められません。直属の上司と相談して、周囲へ発表するタイミングについて指示を仰ぎましょう。取引先へは、後任が決まった段階で辞職を伝えるよう段取りを進めますが、やはり具体的な時期については直属の上司と相談して決めます。

中には、上司から発表のタイミングについての指示がないままに、「転職します」と同僚にアナウンスをしたことで、上司とトラブルになってしまった……というケースもあるので、ご注意ください。

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  • 辞職願(辞表)の書き方や渡し方などでよくある疑問

    辞職願の書き方や渡し方でわからないことは確認を

まとめ : 辞職願(辞表)の書き方を確認して円満辞職をしよう

辞職願は民間企業の役職者あるいは公務員が仕事を辞めたいと希望を勤務先に伝えるための書類です。一方、退職願は民間企業で役職を持たない正社員や、パート・アルバイト・派遣社員が会社に退職の希望を伝えるための書類です。

基本的に2つの書類は自分の属性によって使い分けるのですが、記載する内容はどちらもほとんど変わりません。会社指定のフォーマットがある場合はそのフォーマットに合わせて作成します。フリーフォーマットの場合は、手書きで縦書きでの作成が一般的です。

辞職願の書き方はある程度固定されるため、本文の内容に迷うことほぼありません。ただし辞職までのスケジューリングや直属の上司に相談するタイミングなど、辞職までの手順を確実にこなしていきましょう。

辞職の手続きをスムーズに進めて円満辞職を果たし、新天地での仕事始めをスムーズに進めてください。