辞職願(辞表)の渡し方と伝え方、伝えるタイミング

辞職願の渡し方と伝え方について、タイミングや辞職理由の説明、引き留められた場合の対応について解説します。

■上司への伝え方とタイミング

辞職の意思を一番に伝える相手は直属の上司です。それ以外の上司に辞職の意思を伝えると、直属の上司に対して大変失礼に当たるので注意してください。

上司へ辞職の意思を伝える場合は、「今後のことをご相談したく、お時間をいただけないでしょうか」と自分で直接アポイントを取りましょう。

辞職の意思を伝えるタイミングは、業務の引き継ぎ、就業規則の規定、有給消化の期間を考えて1~3カ月ほど前がいいでしょう。

辞職の相談は、できれば繁忙期を避けたいところです。しかし常に繁忙期という職場の場合は、退職予定日を優先してタイミングを選びましょう。

■辞職理由の説明

会社を離れたとしても、その後予期せず仕事で一緒になる可能性があります。そのため、辞職理由の説明は「新しい環境で自分の力を試したい」など、ポジティブなものにし、関係性を悪化させないことをおすすめします。

また、転職先は決まっていても、名前を出す必要はありません。どういう業種か程度は答えても構いませんが、具体的な社名を伝えると、最悪の場合転職を妨害されるリスクもあります。

■引き留められた場合の対応

直属の上司から引き留められた場合は、「そのように言っていただけて光栄です」と謝意を表明してください。しかし、その直後に「辞職の意志は変わりません」と辞職の意思を繰り返してはっきり伝えましょう。

特に、次の転職先が決まっているなら、辞職日を大きく変更することはできません。情に訴えられる可能性はありますが、きりがないためしっかりと区切りをつけてください。

また、パートやアルバイトの場合は、深刻な人手不足のため退職願を提出しても受理されない、ということも考えられます。その場合は、退職の意思を撤回できない「退職届」を提出しましょう。

  • 辞職願(辞表)の渡し方と伝え方

    「辞職願」を渡すのは、上司へ辞職の意思を伝えてからにしましょう

辞職願(辞表)を出した後にやるべきこと

辞職願を提出した後にやるべきことは、業務の引き継ぎと辞職事務手続きです。引き継ぎや事務手続きではどういうことをするのかについて、具体的に把握しておきましょう。

■業務の引き継ぎ

業務の引き継ぎについては、退職届を提出した後から具体的に進めていきます。事前に直属の上司と話し合って引き継ぎ内容を決めているはずですが、後は引き継ぎスケジュールを決めて辞職日に影響が出ないよう注意して引き継ぎ作業を進めましょう。

後任がはっきりと決まっている場合は、計画的に時間を取って引き継ぎ内容を説明します。しかし、後任が決まらないまま辞職を迎えるケースも少なくありません。引き継ぐ人がいる・いないに関わらず、仕事内容を誰にでも引き継げるよう、引き継ぎ資料は作成しましょう。

また、業務の引き継ぎを行う過程で、たまっている名刺の扱いについても直属の上司と相談してください。名刺は基本的に直属の上司へ渡し、コピーもとらないようにしましょう。

引き継ぎがしっかりできていないと、辞職後にも自分宛の電話連絡があり、転職先に迷惑をかけてしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、しっかりと仕事を引き継ぎ、辞職後は対応しないで次の仕事に集中しましょう。

■辞職時の事務手続き

辞職時には、さまざまな事務手続きが発生します。主な事務手続きについて表にまとめました。

辞職にまつわる事務手続き 手続き内容とやり取りする物・書類
会社から貸与されたものの返却 社員証、制服、職印、就業規則など
辞職時に必要書類の受け取り 雇用保険被保険者証、源泉徴収票、離職票
社会保険の手続き 健康保険は任意継続(2年間)または国民健康保険への加入が必要
年金は厚生年金から国民年金へ切り替え
税金の手続き 辞職時にそれまでの住民税や所得税の清算を行う
失業保険(失業手当)受給 会社から受け取った離職票などを持って地元のハローワークにて手続きを進める

辞職にまつわる事務手続きは、事前に進めておけるものから、辞職日以降でないと受け取れない書類などさまざまです。基本的には会社の総務部門が手続きをサポートしてくれますが、辞職してしまうと自分で動かなければなりません。

また、失業手当を受給する場合は、何度か自らの足でハローワークへ行って手続きを進めてください。

  • 辞職願(辞表)を出した後にやるべきこと

    辞職願を出した後は業務の引き継ぎと事務手続きを行う