「4つのコア投資対象と2つのサブ投資対象」で紹介したとおり、安定した運用で資産を増やしていくには、分散投資をすることが大切です。
でも、国内株式型のファンドでも、株価が比較的安定した大企業に投資する大型株タイプや、中小企業への投資に絞って今後の成長性に期待するといった小型株タイプなどがあります。同じように外国株型のファンドでも、先進国に投資するタイプや、新興国に投資するタイプなどがあります。つまり、投資対象は同じでも、さまざまなタイプの投資信託があるのです。
どんなファンドを選べばいいかわからないという人や、予算が足りないという人もいるはず。そんなときには、1つのファンドでさまざまな資産に分散投資するタイプの「バランス型ファンド」を利用してみましょう。
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バランス型ファンドとは、別名「資産分散ファンド」とも呼ばれています。投資信託はプロに運用を任せられるのがいいところですが、さらに複数の投資対象をチョイスして、組み合わせてくれるのですから、まさに投資初心者にはうってつけ、というワケです。
バランス型ファンドは、もともと「国内債券」「外国債券」「国内株式」「外国株式」の4つの投資対象を組み入れたものが主流でした。ところが2003年から投資信託にREITが組み込めるようになり、現在は国内と海外のREITの6資産に投資するファンドが多くなっています。また、外国株式と外国債券に投資するタイプでも、先進国と新興国の両方に投資するため、8資産と称しているファンドも。最近ではコモディティにも投資するバランスファンドも登場しています。
バランス型でもこんなにたくさんの種類があるのに、どのバランス型ファンドを買ったらいいのでしょう。ポイントは「自分がいま持っている資産と値動きの違う投資対象である」こと。忘れてしまいがちなのですが、投資信託1つだけで捉えるのではなく、自分が所有している資産全体でのバランスを考えることがもっとも大切なのです。
すでに国内株式を持っているなら、資産全体の割合を考慮しつつ、あまり日本株の割合が多くないタイプがいいでしょう。また、円建てのMMFや債券をすでに持っているなら、国内債券への割合が少なめか、国内債券自体に投資をしないタイプがオススメです。
このように、バランス型ファンドと一言でいっても、内容は実にさまざまです。購入するときは、何に投資するのか、どれだけの割合で投資しているか、中身を必ずチェックしましょう。
個別の投資対象に絞ったファンドを複数本買うと、どれか1本でも大きく利益・損失が出たときや、最初に決めた投資バランスが崩れたときには、ファンドを売ったり買ったりしてバランスを戻す必要があります。これを専門用語で「リバランス」と言うのですが、それぞれのファンドの基準価額をチェックしたり、売ったり買ったりするのは案外面倒なもの。でも、バランス型ファンドは自動的にリバランスをしてくれるので、手間がかからずとっても便利です。
さらに最近では、投資信託のコストの1つである「信託報酬」が低く抑えられている商品も増えています。単独の投資信託を組み合わせるよりも低コストで手間いらずというわけです。
こうしてみると、バランス型ファンドはまるでいいことずくめのよう。ただしバランス型の場合、基準価額が動いたとき、どの相場の影響を受けたかがわかりづらいというデメリットも。また、分散投資でリスクを軽減する分、爆発的な値上がりが期待できるものではないことも、覚えておきましょう。
初めての投資はバランス型ファンドを購入して、投資信託に慣れてきたら、単独の投資対象に投資するファンドを買い足す……。そんな買い方もオススメです。
次ページでは地域やテーマを選んで投資するテーマ型について解説します。