彼らのにじみ出るような人のよさは苦労人ならではであり、ただ一生懸命なだけでなく、まるで素人のような奥ゆかしい振る舞いも応援したい要素の1つだろう。さらに、脱力感を誘う楽曲とダンスを全力で歌い踊るギャップが「また見たくなる」「マネしたくなる」「誰かに言いたくなる」という中毒性につながった。
通常デビュー曲は「熱心なファンが一斉に購入してまとまった数字を作り、本人たちに華を持たせる」というケースが多い。しかし、モナキは発売前からファンでない人々がTikTokで踊って広める宣伝部隊のようになっていた。男女アイドルやインフルエンサーらが踊りはじめたことでさらに広がり、「入口は楽曲とダンスだが、モナキのことを知るたびにハマっていく」という好循環が発生している。
TikTokなどのネットプロモーションに注力したのはもちろん運営サイドの戦略だが、これほどの成功は思ってもみなかっただろう。
また、やはり純烈というブランドへの信頼感と酒井のプロデュース力によるところは大きい。特にイベントでの「ラウンド」(※客席をまわり握手や撮影などをしていく)は純烈譲りのファンサービスであり、ネット上で芽生えた好奇心をリアルな推しに変え、着実に熱心なファンを増やしている。
その後、各局での番組出演が増えたことで、ネット、テレビ、イベントという距離感の異なるアプローチが幅広いファン層の獲得につながった。
シンボル・おヨネのかわいらしさ
2020年代に入ってから若年層の間で昭和カルチャーが流行り、音楽はその中心となっていた。TikTokなどで過去の名曲にスポットが当たり、それがテレビ番組にも波及して各局が昭和歌謡を扱った特番を放送し続けている。
そんな背景の中、「昭和歌謡を継承する」というニュアンスのグループが次々に誕生していた。24年3月に高身長の2人組歌謡グループ・風輪(ふうりん)、24年5月に昭和・平成の歌謡ポップスがテーマの華MEN組(かめんぐみ)、24年9月と25年1月に秋元康プロデュースのSHOW-WAとMATSURIが相次いでデビュー。
以前から活動していた、昭和歌謡をコーラスで聴かせるBaby Boo(ベイビーブー)、人力車の俥夫で結成した東京力車(とうきょうりきしゃ)、ムード歌謡の2人組・はやぶさなども、大きなくくりでは昭和歌謡のグループと言っていいかもしれない。
今年そこに加わったモナキがごぼう抜きのような状態になったのは、昭和歌謡に“かわいらしさ”を持ち込んだからだろう。場慣れしていない彼らは謙虚どころかモジモジしていて前に出ないし、トークが弾まないことも多いが、好感度は抜群。10代の男女からも笑顔で見守られるようなかわいらしさがあり、どの番組に出ても先輩のアーティストやタレントたちにかわいがられている。そのかわいらしさは『ポムポムプリン30周年フェス』のコラボステージが大きく報じられたことからもうかがえた。
グループのシンボルは、現在バラエティに引っ張りだこのおヨネ。おかっぱヘアと愛くるしい笑顔で「かわいい」モナキのパブリックイメージとなっている。
このところ10日の音楽番組『STAR』では出演アーティストを代表してナビゲーター役、14日の『ラヴィット!』では「昭和歌謡THE BEST10クイズ」のメインを務めるなど、おヨネ中心の構成・演出が目立っていることからもそれがわかるだろう。
「カッコイイから」ではない推す理由
一方、SHOW-WAやMATSURIも好感度やパフォーマンススキルは高いが、おヨネほどの愛きょうやインパクトはなく、まだファン向けの活動に留まっている。今後は「いかにメンバーのキャラクターを認知してもらい、その上でヒット曲を生み出せるか」が鍵を握るのではないか。
一部でモナキを「一発屋」「今だけ」とみなす声もあるが、決してそんなことはないだろう。モナキの強みはライト層も含め、推している理由が「カッコイイから」「歌がうまいから」ではなくキャラクターと姿勢であること。もしモナキがネット上でバズっただけなら、その勢いは上半期で終わり、「飽きた」という声が出はじめるころだろう。
8月29日の音楽番組『うたであえたら2026』では純烈とテレビ初共演し、名曲「星降る街角」を披露したが、9月15日の『うたコン』で早くも再共演。「兄貴分の純烈」という心強い存在もモナキの持続性を感じさせられるポイントであり、NHKからも重宝され続けるのではないか。
実際、14日にNHK初の冠番組『モナキの今がそのトキ! ~チャンスはいつでもそこにある!』(9月21日にNHK AM、10月2日にNHK総合)の放送が発表された。これだけNHKの番組に連続出演する新人グループは稀であり、もはや『紅白歌合戦』に出場しないほうが不自然でしかない。
デビュー前にTikTokでバズっただけではなく、イベント中止などの伝説的なエピソード、各局への出演ラッシュ、そして年末の『紅白歌合戦』や『日本レコード大賞』へ。日本の芸能史上、前例のないサクセスストーリーの目撃者になるだけでなく、参加して当事者になれることもモナキが推される理由の1つだろう。
その過程は動画配信サービスのオーディションコンテンツよりもリアルであり、だからこそ彼らの魅力がダイレクトに伝わり、ファンでなくても気になる存在になりつつある。
