8月31日放送の『ネプリーグ』(フジテレビ系)にバレーボール男子日本代表の石川祐希、高橋藍、高橋健太郎、大塚達宣がメインゲストとして出演し、クイズに挑んだ。さらに9月2日放送の『ホンマでっか!?TV』(フジ系)にも石川祐希、高橋藍が出演するという。

そのバレーボール男子日本代表といえば8月15日に放送された『新しいカギ』(フジ系)の看板コーナー「学校かくれんぼ」にも出演したことが記憶に新しいところ。これらは4日に初戦を迎える『アジア選手権2026』に先駆けたPRだが、オリンピックでも世界選手権でもないアジアの大会に選手本人が出演する大々的な番宣が行われることに驚かされる。

他に目を向けても大会前にテレビ番組に出演する競技が少ない中、なぜバレーボール選手はこれほどバラエティに出演するのか。単に「イケメンだから」だけではない背景を放送・競技の両面からテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • (左から)バレーボール男子日本代表の石川祐希選手、高橋藍選手

    (左から)バレーボール男子日本代表の石川祐希選手、高橋藍選手

「テレビ中継に理想的」の高評価

まずバレーボールというスポーツそのものにフィーチャーすると、昭和時代から「テレビ中継にほぼ理想的なスポーツ」などと言われていた。

その主な理由は
(1)ルールがシンプルで老若男女がわかる
(2)得点シーンが多い
(3)試合のテンポがよく飽きづらい
(4)基本的にボディコンタクトがなく走行距離が短いため連戦が可能
(5)男女両方あって順番に開催される
(6)日本代表がメダル争いに絡める
(7)国際大会の数が他の球技より多い
(8)選手たちの笑顔が繰り返し見られる
…などがある。

(1)は球技では意外に少なく、(2)と(3)は「ザッピングされづらい」という点で視聴率獲得に直結。(4)(5)(6)は、まとまった期間の視聴率獲得が可能であり、日本代表が勝つほど右肩上がりになる。(7)は主要球技の中でも最多。(8)は選手への好感度や応援熱が上がりやすい。

ネガティブな面をあげるとすれば、サッカーやバスケットボールなどのように試合時間が決まっていないため、中継時間を超えてしまい、人気番組を繰り下げなければいけないことくらい。ただ、1999年のラリーポイント制導入以降は問題視されるほど延長したというケースはなく、「編成に多少の影響は出るものの、それくらい試合が盛り上がって視聴率が上がる」などとおおむねポジティブに考えられている。

現在、代表チームが世界一を争う球技でバレーボールほど日本代表が上位に絡んで盛り上がれるものは見当たらない。サッカーは初のベスト8、ラグビーは過去最高のベスト8を目指し、さらにバスケットボールはその一歩手前の段階。ちなみに競技地域に偏りがある野球は「勝って当然」とみなされやすい上に、頂上決戦であるWBCですら開催時期やレギュレーションの是非がある。

また、主要国際大会の数は、4年周期のオリンピック、2年周期の世界選手権、毎年開催のネーションズリーグがあり、他の球技を圧倒。しかもバレーボールは日本開催のラウンドも多く、視聴しやすい時間帯に放送できる。

高齢者も「見るスポーツ」の強み

もう少しバレーボール中継について掘り下げると、日本代表は1964年の東京五輪で男子銅メダル・女子金メダル、1968年メキシコ五輪で男子銀メダル・女子銀メダル、72年ミュンヘン五輪で男子金メダル・女子銀メダルを獲得したころから、国民的な期待感の高いスポーツだった。

五輪以外の世界大会も多く、日本代表活動の数もトップクラス。さらに人気があるため、高額スポンサーがつきやすいなどの理由から日本開催の世界大会があり、たくさんの人々が応援しやすいゴールデンタイムで生放送され続けてきた。

特に男女ともに一時の低迷期を脱してメダル争いをするようになった現在は、単に「かっこいい」「かわいい」だけでなく、より応援しやすいチームスポーツとなっている。もちろん男子の石川祐希や高橋藍のようなスター選手もいて応援熱を高めているが、それは数多くある理由の1つに過ぎず本質的なところではない。

さらに、野球やサッカーは男性視聴者でフリークに偏りやすいが、バレーボールは女性視聴者も多く、しかもライト層を引き寄せられることが、安定した視聴率獲得の背景と言っていいだろう。特に高齢層はアニメ『アタックNo.1』、ドラマ『サインはV』などで昭和時代からの親しみもあり、リアルタイム視聴する世代であることから視聴率獲得のベースとなっている。

これらの理由からバレーボールの国際試合は“見るスポーツ”としての強みは球技随一。長年、TBSとフジテレビがバレーボール日本代表の試合を中継しているが、他局にとっても本当は放送したいスポーツであることは間違いないだろう。