テレビ番組の復活と言えば「なぜ今?」「苦肉の策」「過去の栄光にすがる」などと冷めた声があがりがちだ。

好評なのは「ウッチャンナンチャンの貴重なコンビ姿が見られる」という点で、20日に放送された『ザ・イロモネア』(TBS系)や8月放送予定の『ウンナン気分は上々。』(TBS系)などに限られ、期待されたほどの視聴率や配信再生数を得られることも少ない。

しかし、18日夜に『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ系)の復活が発表された際は、おおむね喜びや驚きなどのポジティブな声があがっていた。約30年ぶりの復活であるほか、「あのスケールの番組はもう見られない」と受け止められていたことがその理由だろう。ただ、一方でMCを櫻井翔が務めることには賛否の声があがっていたことも確かだ。

「クイズ特番の復活」と言えば、25日夜に放送予定の『クイズ$ミリオネア』(フジテレビ系)も忘れてはいけないところ。今年元日、二代目MCに二宮和也を迎えて13年ぶりの復活を遂げたばかりだったが、約半年後に早くも第2弾が放送される。

なぜ今、伝説的なクイズ特番が復活し、MCに嵐のメンバーを迎える流れが続いているのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 『アメリカ横断ウルトラクイズ』決勝の地・ニューヨークの象徴である自由の女神

    『アメリカ横断ウルトラクイズ』決勝の地・ニューヨークの象徴である自由の女神

レギュラー放送は苦戦も特番は健在

まずクイズ番組をめぐる状況をあげると、近年は視聴率獲得という点で難しさが増し、苦境にさらされていた。

現在ゴールデンタイムでレギュラー放送されているのは『ネプリーグ』(フジテレビ系)、『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日系)、『くりぃむクイズ ミラクル9』、(テレ朝系)、『ナゾトレMAXXX』(フジ系)の4番組。その他の番組は「クイズを採り入れている」というサブ要素に留まっている。

また、『Qさま!!』は「学問」、『ミラクル9』は「昭和・平成」、『ナゾトレMAXXX』は「生活情報」に偏るなど、クイズ番組本来の多様な構成ではなくなっていることからも苦しさがわかるのではないか。

2024年秋に『東大王』(TBS系)が終了し、『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日テレ)が特番化して以降、クイズ番組全般にポジティブな要素は見られず、今春の『呼び出し先生タナカ』(フジ系)終了も記憶に新しい。

代わりに台頭しているのはゲーム重視の番組。『バナナサンド』(TBS系)、『オオカミ少年 ハマダ歌謡祭』(TBS系)『千鳥の鬼レンチャン』(フジ系)ら音楽ゲーム系に加えて、今春にも『真剣遊戯! THEバトルSHOW』(フジ系)がスタートした。

ただ、特番としての存在感はまだまだ健在。『オールスター感謝祭』(TBS系)、『クイズ・ドレミファドン!』(フジ系)、『芸能人格付けチェック』(ABCテレビ・テレ朝系)、さらに復活したばかりの『クイズ$ミリオネア』、世界中で評価を得ている大型企画『THE FLOOR』(日本テレビ系)も話題を集めたばかりだ。

芸能人やガチ勢のみの番組は難しい

これは「ドラマや映画などの番宣を絡めて出演者を豪華にできるため注目を引きつけられる」「年数回の放送ならレギュラー放送のように飽きられる不安がない」などの背景がある。

クイズの構成を見ても、レギュラー放送は「最低限の視聴率確保」という前提から、難問か易問、学問か生活情報などにレベルやジャンルを限定せざる得ないが、特番なら老若男女を対象にした幅広い出題が可能だ。

そしてもう1つ忘れてはならない苦戦の理由は、視聴者参加番組の放送が難しいことだろう。ふだんから情報やコンテンツを選んで楽しみ、SNSで発信するなど、自分が軸の生活スタイルが浸透する中、芸能人のクイズ番組ばかりであることに物足りなさを感じてしまう。

芸能人が解答者のクイズ番組は令和の日本を生きる人々が「私も出たい」「だから見よう」とは思いづらいところに難しさがある。実際、『アメリカ横断ウルトラクイズ』への期待感は「一般人が参加できる」という点も大きいのではないか。

ただ、その問題は一般人が参加できるクイズ番組にも潜んでいて、今回の『アメリカ横断ウルトラクイズ』復活が報じられた際、「クイズ猛者ばかりが上位に来ると面白くない」という声が散見された。「クイズのプロや人生を捧げる“ガチ勢”が競い合うような番組はマニアックで楽しめない」とみなされ、結果が得られづらい。

「一般人も参加し、快進撃を見せられる」「芸能人のクイズ番組でも臨場感を伝える」などのエンタメ性をどう作り出していくのか。制作サイドの力量とバランス感覚が問われそうだ。