3年ぶりの続編となった『VIVANT』(TBS系)がこれ以上ない好スタートを切った。
視聴率は7月26日放送の第11話が個人12.1%・世帯18.8%と全ドラマの中で今年トップの数値を記録。8月2日放送の第12話も個人10.4%・世帯16.4%(※以上、ビデオリサーチ調べ・関東地区)と高水準をキープしている。
さらに第11話のTVer見逃し配信再生数は8日間で887万回(※TVer DATA MARKETING調べ)を超え、歴代最高記録を大きく更新。ドラマのみならず全番組における単一エピソードの最高記録であり、文字通り日本トップのテレビコンテンツとなった。
「リアルタイムでテレビを見る」ことが条件の視聴率と、「さまざまなデバイスで見る」という自由度の高い配信再生の両方でトップの数値を叩き出した背景には何があるのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
ジャンルすらわからない勝負作
まず書いておかなければいけないのは、視聴率と配信再生の両方を狙うことの難しさ。
前述したように、リアルタイムでテレビを見ることが条件の視聴率と、さまざまなデバイスで好きなときに見る配信再生では視聴者層が異なる。
TVerだけでなくスマートテレビの普及もあって、テレビ番組をリアルタイムで見てもらうのは難しくなる一方。高視聴率をあきらめるように刑事、医療、法律の手堅いジャンルを選び、それなりの数字を狙うケースが目立つ中、どんなジャンルかすらわからない挑戦的な『VIVANT』がトップの視聴率を得た価値は高い。「0か100か」のような勝負に挑み、見事に勝ったと言っていいのではないか。
ただ、配信再生に関しては「これならある程度は稼げるのでは」という計算が立っているのではないか。
配信再生数を報じた記事のトップコメントを見るとわかりやすい。「1回見ただけだと情報量が多すぎて頭が追いつかないですよね。2回目で見直すと、そういう意味だったのかと気づくところが増えて、作り込みの細かさに驚きました」などと書かれ、多くの「共感した」が押されていた。
これは「情報量を詰め込むとともに、謎を連鎖させて考察を促す構成でリピートを生んでいる」ことの証だろう。繰り返し見たくなるからこそ配信再生数が伸びるが、そのためには脚本・演出を難解なものにしなければいけない。ところが難解にすると、わかりやすさを求めるリアルタイム視聴の人々には避けられやすく視聴率が伸びないものだが、『VIVANT』はそんな難題をクリアしている。
「ふだんはTVer視聴だけど『VIVANT』はまずリアルタイムで見て、そのあとにTVerでも見る」、逆に「ふだんはリアルタイムだけど『VIVANT』はTVerでもう一度見る」、あるいは「ふだんドラマは見ないけど『VIVANT』だけはリアルタイムかTVerで見る」という人が多いからではないか。
未知への興味とスケールへの期待
では、なぜ『VIVANT』はふだんあまりドラマを見ない人も引きつけられるのか。
考察を促す緊張感のある物語、間延びさせないテンポの良さ、国内外で行われたロケ映像、豪華キャストの熱演、遊び心のある小ネタなどの脚本・演出によるところが大きいのだろう。しかし、本質はもっと前提のところにある。
それは「見たことがないものへの興味」と「なかなか見られないスケール感」の2点。“別班”という組織、テロリストとの戦い、世界を旅するようなストーリーなど、見たことがないものへの興味が、あまりドラマを見ないライト層にも広がっている。
象徴的なのが約2か月にわたる海外ロケ。第1シーズンのモンゴルに続いて、第2シーズンではアゼルバイジャンでの海外ロケがPRされていた。
そのアゼルバイジャンでのロケについて堺雅人は「昔からの遺跡めいたオールドシティと、ザハ(・ハディド)さんの建築による現代的な建物と両極端に分かれていて、どんな国のどんなシーンでも撮ることができる」などと語っている。たとえば「劇中ではキプロスだがロケはアゼルバイジャンで行われた」などのケースがあったように、ロケ地選定の工夫も感じられた。
さらに、第12話では新たな舞台であるタイのロケ映像も登場。2週間にわたるロケを行ったことが明かされ、「世界を駆けめぐる見たことのないスケールのドラマ」という印象を増している。
