ライターの清見真緒が愛と気合いを込めて、1人の人物、1つの作品をたっぷりとつづるお試し企画【気になるあの人、あの作品(仮)】。第3回は、読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『一次元の挿し木』(毎週日曜22:30〜23:25)を語っていきたい。

  • ドラマ『一次元の挿し木』記者会見に登壇した白石聖

    ドラマ『一次元の挿し木』記者会見に登壇した白石聖

ドラマ『一次元の挿し木』の主演は山田涼介

『一次元の挿し木』は、松下龍之介氏による同名小説を原作に、山田涼介が主演を務めるヒューマンミステリードラマだ。ドラマや芸能人の記事をよく書かせてもらう筆者だが、小説を読むタイプの人間でもあり、『一次元の挿し木』も読了している。

読みながら「これはもし実写化するなら山田涼介か、吉沢亮か、岩瀬洋志のような誰しもが認める美形じゃないと成立しないドラマだろうな」と思っていたところ、実写化のお知らせ、しかも山田涼介が主演。この情報が入った瞬間「ドラマ化、大ヒットおめでとうございます!」と勝手にお祝いしてしまった。大ヒット間違いなしと確信しながら見始めて、3話まで視聴した中での「満足ポイント」を語りたい。

山田涼介だから成立した「美形キャラ」

原作内で、山田涼介演じる七瀬悠は「顔がいい男」であることを強調されている。さらに、「顔がいい男だからこそ成立させた作戦」がある。顔が良くないと成功しない作戦+成功を視聴者に納得させるにはガチ美形の配役が必要だ。

顔面力へのこだわりをなくしていたら、原作勢は1話の時点で視聴をやめていたにちがいない。もしくは、1話を視聴する気持ちにならず終わっていたかもしれない。悠が美形であることは『一次元の挿し木』においてかなり重要なポイントなのだ。

また、美形以外の条件で考えると、七瀬を演じるために重要なのは「愁い」があるかどうか。眠そうでもなく、不貞腐れているでもない。愛する人が行方不明になった男をセリフ以外でも演じられないと七瀬は成立しない。悲しい顔をしている男なのではなく、悲しみに覆いつくされている男をこの世に実在させられる美形は、山田涼介だけだろう。

さらに注目したいのは恋愛のパートだ。こんな出来事があって、こんな話をして、こんなことをして、を丁寧に積み重ねた結果が恋愛として描かれる作品がほとんど。しかし、ドラマでは「今、恋をしたんだな」と、目で理解させられた。原作を読んでいて七瀬の恋愛パートがあること、相手を知っているにもかかわらず、それでも「恋に落ちたのは今か」と納得させられたのは、本当に衝撃的な出来事だった。

『豊臣兄弟!』ヒロインを演じ、注目を集める白石聖

白石聖は今年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』のヒロインを務めている。大河ドラマの根強い人気+山田涼介の相棒という爆発的すぎる風を受け、白石聖の知名度はうなぎのぼりの真っ最中。うなぎを通り越してもはやドラゴンのように昇っていると言っても過言ではない。

知名度がぐんぐん上昇している白石聖が演じるのは、物語において重要なカギを握る石見崎唯。山田涼介の相棒として行動を共にしている。

前述の通り、筆者は原作勢。いわば結末・台本を知っているような状態でドラマを観ていることになる。「ここはこういうふうに演じるのか」と偉そうに厄介な目線で見てしまうこともしばしばあるのだが、白石聖は、原作を読みながら脳内で動かしていた通りの演技をしており、全く違和感がない。

「そう演じることで、視聴者をどう思わせたいのか」と意図に気がつきながら観ることができる。偉そうで厄介な視点だからこそ白石聖の演技力の高さに気がつけたのは嬉しい想定外だった。

また、個人的にとても好みの顔立ちをしている。頬にほくろが綺麗に3つ並ぶなんてどこのアニメから出てきたんですか? と言いたくなる。神により作為的に作られた存在なのでは? と感じるほど、ほくろの並びが神秘的かつ、フィクション的でつい目がいってしまう。

「あの人のあのパーツを自分の顔に付けたい」と思うことはあまりないが、あのほくろ3つはぜひ私の顔にコピペしたい。

人狼ゲームで言うところの「狂人」。オリジナルキャラとして登場した松下由樹

主要な登場人物が全員登場したと思ったら、突如現れた松下由樹。オリジナルキャラクターである春日陽子を演じている。

原作にないキャラクターの登場にマイナスな気持ちを覚えることも多いが、松下由樹なら話は別だ。松下由樹が出てくるのなら、なにかすごいことが起こるのだろうと思える。

もし何も起こらないとしても、存在していること自体が場をかき乱す。人狼ゲームで言うところの「狂人」である。「狂人」として見事に立ち回る松下由樹がこの作品に登場するなんて、全く想像をしていなかった。

ただ原作をなぞって進めるのではなく、原作勢にも謎を与えてくれる構成に感謝である。綺麗に収まった原作をどうひっかきまわしてくれるのか、楽しみに待ちたい。

原作は65万部を突破。ヒットの理由は「このあらすじがすごい!」

キャストの話から変わるが、『一次元の挿し木』は、第23回『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリを受賞した作品で、松下龍之介氏のデビュー作。実写が決まる前から50万部を突破し、現在は65万部を突破しているという。メガヒット作品と言える売れっぷりだ。

原作がここまで売れた理由のひとつに「あらすじの面白さ」を挙げたい。小説を読む人であれば分かるだろうが、背表紙の小さな一角に書かれた文章の魅力がありすぎた。あらすじを読み終えた瞬間に「これは絶対に面白いから買おう」と決められるくらい、面白さが凝縮された文章だった。

最近では本の値段が上がっていることもあり、以前より本を買う際に検討を重ねることが増えていた。それにもかかわらず、買うことを即決した小説は非常に稀である。さらに言うなら、あらすじにも帯の煽りにも裏切られず、満足の行く読了感を得られたのも久々であり、優れた読書時間を過ごすことができた。

また、筆者が小さいころから本を読んできたからこう思うのかもしれないが、無駄な装飾がない易しい文章で、ページをめくる手が止まらなくなった。場面の転換も多く飽きさせないため、様々な理由で長い文章を読めなくなった大人でも読み進めやすい小説である。ミステリーに慣れた大人はもちろん、小学生のミステリー入門にもおすすめできる。長期休みの読書感想文にいかがだろうか。

放送後1週間でTVerでの再生数が342万回を突破

メガヒット原作の実写化という期待と不安が入り混じる中、山田涼介という信頼できすぎる主演の発表。

主役を演じるにあたって重要な「美形」を一発でクリアしたことで、原作勢のお手並み拝見視聴は決定。ドラマ勢の新作ドラマチェックリスト入り+原作or山田涼介への興味からの視聴もあるだろう。そして、山田涼介のファン。この3界隈からの視聴が約束され、期待されまくった状態で始まった1話。

原作勢の期待を裏切らないことは、山田涼介が登場した時点で確信されたようなもの。そして、物語のあらすじと言える1話でドラマ勢の興味を引いた。山田涼介のファンにも期待以上のビジュアルと想像以上の役へのハマり具合。物語の面白さも提供した。結果、放送後1週間でTVerでの再生数が342万回を突破したのだ。

342万回突破は、日テレ系ドラマ史上初らしい。この快挙を達成したのも冷静に考えれば納得できる要素がたんまりとある。

『一次元の挿し木』は、「誰もが一度は目を奪われたことがある山田涼介+65万部突破のメガヒット原作+大河のヒロインで注目を浴びる白石聖+夏にぴったり&流行のホラーテイスト+もはや当然となった考察要素」が掛け合わされているのだ。

ハンバーグとラーメンとマーラータンと寿司とタピオカを集め、各界のシェフが最高の状態で提供してくれているような贅沢具合。これがヒットしなければどうなるんですか? と聞きたくなるくらい、ヒットが約束された布陣だ。

現在3話まで放送が終了している。ここまでも見どころが多すぎたが、これからも謎は深まり、どうやって実写になるのか想像もつかないラストスパートに期待が高まる。ぜひ、Tverで追いかけて視聴してほしい。