マイナビニュース・エンタメチャンネルの新たな定番記事を目指すお試し企画「日曜トライアル」。昨日8月15日は、81回目の「終戦の日」だった。そこで今回は、これまでマイナビニュースのインタビューを受けた俳優たちが、戦争を題材にした作品への出演などを通して語ったコメントをピックアップする【戦争と向き合った役者たち】をお送りする。
水上恒司(『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』)
「戦争って今も起きていることなので、その中に巻き込まれていく人たちの思いを忘れちゃいけないと思います。僕たちと同じ世代の人たちに“終戦はいつ?”、“広島、長崎に原爆が落とされたのはいつ?”と聞いた時に、どれくらいの人が答えられるんだろうと思います」
「時間が経つにつれて風化していくことには抗えないと思いますが、このインタビューを読んで一人でも“知らなかった”、“知りたい”と思ってくれたら。何かを知るきっかけになったらいいなと思います」
●水上恒司、今だからこそ同世代に伝えたいメッセージ「思いを忘れちゃいけない」(2023年12月9日掲載インタビューより)
2023年公開の映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』で、福原遥演じる現代の女子高生・百合と出会う特攻隊員・佐久間彰を演じた水上恒司。撮影に臨むにあたり、特攻隊に関する映像や文献に目を通した。
特に印象に残ったのが、特攻隊員として出撃命令を受けながら、その前に終戦を迎えた男性が、出撃前夜に眠れず天井の木目を数えていたという証言。戦争を経験していない自分に当時の人々の感情を推し量ることはできないとしながらも、「100年も経っていなくて遥か昔の話ではない」と受け止め、同世代に「知るきっかけ」を届けたいという思いを語った。
河合優実(『あんぱん』)
「戦後80年というタイミングで、この時代にちゃんと戦争にノーを言う人を演じることは、すごく意義があることだと思っています」
「やなせさんが戦争を経験して、そこからたどり着いた思想は、私は戦争を経験していないので同じ実感を持って言葉にすることはできません。でも、その声をもう一度はっきり伝えるべきだと思うし、反戦を担えてよかったと思っています」
●河合優実「反戦を担えてよかった」『あんぱん』蘭子役を演じる意義や朝ドラ初出演を語る(2025年5月21日掲載インタビューより)
2025年のNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、主人公・のぶ(今田美桜)の妹・蘭子を演じた河合優実。愛する豪(細田佳央太)を戦争で失った蘭子は、戦死を「立派」なこととして受け止めようとする姉・のぶに「そんなのうそっぱちや!」とぶつかり、その後も反戦の立場を貫いていく。
河合は、当時の人々が最初からすべてを理解した上で戦争へ向かったわけではなく、大きな流れに絡め取られ、気付けば逃れにくい状況になっていたのではないかとも想像。「自分だったら絶対に反対できた」と簡単には言い切れないからこそ、蘭子と豪の物語が、見る人に改めて考えてもらうきっかけになればという思いを明かしていた。
北村匠海(『あんぱん』)
「戦争は悪だなと思いました」
「嵩は軍隊に入ってから、今までとは芝居が全然違うんです。感情を殺さなければいけなくて、声量も姿勢も全部統一されて、個性というものが何一つなくなる。その窮屈さをすごく感じました」
●北村匠海、『あんぱん』戦争パートで壮絶な役作り 飢えをリアルに表現するため「絶食」「水抜き」で減量(2025年6月17日掲載インタビューより)
同じく『あんぱん』で、やなせたかしさんをモデルにした柳井嵩を演じた北村匠海。軍隊に入り、戦地へ向かう嵩を演じた戦争パートの撮影を振り返った際に飛び出したのが、「戦争は悪だなと思いました」という率直な言葉だった。
戦地での飢えをリアルに表現するため、食事を抜いたり水分を制限したりしながら撮影に臨んだという北村。命を奪われることだけではなく、自分の感情を表現することや、一人ひとりの「個性」まで失われていく軍隊の環境を役として体感したことで、戦争への思いをより強くしたことがうかがえる。
中村蒼(『シミュレーション 昭和16年夏の敗戦』『宝島』『沈黙の艦隊 北極海大海戦』)
「無関心であることが、問題を長続きさせたりすると思うんです。もちろん、自分の周りの幸せを大切にしながらですけど、そこだけではなく、それ以外の場所で何が起きているのかにも目を向けながら日常を送っていきたいと思うようになりました」
「今起きていることや過去に起きたことを、芝居を通して表現することができる。それは自分が役者をやっている意味の一つなのかなと思います」
●中村蒼、戦争テーマの作品出演で芽生えた思い 大沢たかおに相談した“役者としての不安”も明かす(2025年9月28日掲載インタビューより)
2025年、ドラマ『シミュレーション 昭和16年夏の敗戦』、映画『宝島』『沈黙の艦隊 北極海大海戦』と、戦争や平和につながるテーマを扱った作品への出演が相次いだ中村蒼。一連の作品を通して、戦争や核、沖縄をめぐる問題は過去だけで完結したものではなく、現在にもつながっていると感じたという。
「無関心であること」が問題を長引かせるという言葉は、戦争を直接経験していない世代が、過去と現在にどう向き合うかを考える上で一つのヒントになるのではないか。
4人はいずれも戦争を体験していない。だからこそ、当時を生きた人の気持ちを完全に理解できるとは語っていない。それぞれアプローチは違うものの共通しているのは、「知らない」ということをそのままにしない姿勢だ。
8月15日の「終戦の日」には、テレビや新聞、ニュースサイトで多くの戦争特集が組まれる。しかし、その一日が終われば、私たちは再び普段の日常へ戻っていく。だからこそ、終戦の日の翌日である8月16日に、もう一度考えてみるのはいかがだろうか。
