前回は、積み立て投資がおすすめな人と注意点を解説しました。今回は、積み立て投資の初心者におすすめできる投資方法をご紹介します。

積み立て投資は、投資信託を利用するのがもっとも手軽です。これから積み立て投資をしようと考えている方は、いきなり個別企業の株式を購入するのではなく、投資信託から始めてみてはいかがでしょうか。

本記事では、投資信託の特徴や利用すべき非課税制度について解説しますので、ぜひご一読ください。

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■投資信託で積み立て投資を始める

投資信託とは、投資先をプロに運用してもらう金融商品です。運用のプロであるファンドマネージャーが、投資家から集めた資金を国内や国外の株式・債券・不動産などに投資します。

個別の株式投資で投資先を選定するためには、日本や世界の景気、企業の業績、金利などさまざまな要素を含めて検討しなければなりません。また個別企業に投資する際は、ある程度のまとまった資金が必要です。

投資信託では、銘柄(ファンド)の運用方針に従って、ファンドマネジャーが投資先を選定します。投資家が選ぶのは「国内株式」「外国債券」「外国株式」など、大まかな投資先だけですので、個別株への投資ほど知識は必要ありません。

また、少額の資金で複数の投資先に分散投資が可能な点も、投資信託のメリット。投資信託は、100〜1,000円程度から購入が可能です。「毎月◯日に5,000円分の投資信託を購入する」といった買付を設定しておけば、簡単に積み立て投資が始められます。

ただし投資信託は、購入するときには「販売手数料」、保有しているときには「信託報酬」などの手数料が発生します。ファンドや金融機関によって手数料の設定が異なるため、よく確認して選びましょう。

▼インデックスファンドとアクティブファンド

投資信託には、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類があります。

インデックスファンドとは「日経平均株価」「東証株価指数(TOPIX)」「NYダウ」などの指数と連動するように運用される投資信託です。

例えば、日経平均株価と連動するインデックスファンドを購入するとしましょう。日経平均株価が上昇すると、購入したインデックスファンドの評価額も上昇します。反対に日経平均株価が下がると、ファンドの評価額も下がる仕組みです。

アクティブファンドとは、ファンド・マネジャーがベンチマーク以上の運用成績を目指して投資先を選ぶ資信託です。成長が見込める国や企業などをファンドマネジャーが選んで投資するため、インデックスファンドのように指数とは連動しません。

▼初心者は「インデックスファンド」からがおすすめ

一般的には、アクティブファンドの方が、リスクが高い代わりにリターンも高くなるといわれています。しかしアクティブファンドを購入したからといって、インデックスファンドよりも必ずリターンが高くなるとは限りません。

インデックスファンドよりも、運用成績の悪いアクティブファンドは多数存在します。投資の初心者が、インデックスファンドよりも高いリターンが期待できるアクティブファンドを選ぶのは困難でしょう。

またアクティブファンドは、インデックスファンドと比較して手数料が高い傾向にあります。

積み立て投資を始める場合は、インデックスファンドを購入し、慣れてきたらアクティブファンドへの投資を検討してみてはいかがでしょうか。

もし「日本の企業を応援したい」「成長が見込める世界の企業に投資したい」などの希望があれば、アクティブファンドを購入しても良いでしょう。

■投資信託はつみたてNISAで購入する

つみたてNISAとは、年間40万円までの投資に対する利益が非課税となる制度です。投資信託で積み立て投資をするときは、つみたてNISAを利用すると良いでしょう。

投資信託を売却して利益を得た場合、20.315%の税金が発生します。例えば、投資信託を売却して30万円の利益が発生したとしましょう。30万円×20.315%=60,945円が税金として徴収され、手元に残るのは239,055円です。

しかし、つみたてNISAで投資信託を購入していたのであれば、60,945円の税金を納める必要はなく、30万円の利益がすべて手元に残ります。

つみたてNISAが利用できる期間は、最長20年間ですので、非課税枠は最大で年間40万円×20年間=800万円です。

また、つみたてNISAを通じて購入できるのは、金融庁による審査に通過した一定の基準を満たす投資信託またはETF(上場投資信託)です。選択肢が厳選されているため、投資の初心者でも投資するファンドを選びやすいといえます。

▼つみたてNISAを始めるタイミングと確認すべき点

つみたてNISAは、年間40万円(毎月約3.3万円)を積み立て投資に回せるようになってから始めると良いでしょう。

つみたてNISAの非課税枠は、余ったとしても翌年に繰り越せません。例えば、毎月1万円ずつ投資して年間で12万円の非課税枠を使った場合、残りの28万円は消失します。

非課税枠を最大限に利用するためには、年間40万円(毎月約3.3万円)を積み立て投資に回せる目処が立ってから、つみたてNISAを始めるのが望ましいです。

また、購入できる金融商品は、つみたてNISAの口座を開設する金融機関によって異なります。つみたてNISAの口座は、1人につき1口座しか開設できないため、金融機関に申し込みをする前に投資できる商品のラインナップを確認しておきましょう。

つみたてNISAを始めるときの注意点やつみたてNISAの口座開設方法楽天証券については、以前紹介した記事をご確認ください。

NISA
「NISA」レビュー! 口座の開設方法から注意点までを解説 → こちら
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■まとめ

これからの時代は、個人で資産形成をする必要性が高まっていくと考えられます。預貯金や保険に加入してお金を貯めるだけでなく、投資も活用することでより効率的に資産形成ができるでしょう。

最初から個別株への投資や不動産投資を始める必要はありません。つみたてNISAの口座を開設して投資信託を使って、積み立て投資から始めてみてはいかがでしょうか。