レーサーレプリカ全盛の1986年、ヤマハワークスカラーに身を包んだ小さな原付バイクが登場しました。さて、その名前はなんでしょうか?

  • 1986年にヤマハが発売したフルカウルの50cc原付バイク

    ヤマハワークスカラーのフルカウル原付の名前は?

ヒント

ヤマハワークスマシン「YZR500」のミニレプリカです。

正解は

【答え】ヤマハ「YSR50」

「YSR50」は1986年に発売されたヤマハの50ccオンロード原付です。

1980年代は250~400ccクラスの中型バイクブームが到来していましたが、1982年にカウリング付き市販車が認可されると、レーシングマシンのようなシルエットを持つレーサーレプリカの人気が高まりました。

50ccクラスでも、1986年2月にスズキが発売した「GAG」によってフルカウルの小型MT原付が注目を集めましたが、そのわずか1カ月後にヤマハから登場したのが「YSR50」です。「GAG」と同じようなミニレーサーレプリカですが、そのコンセプトには大きな違いがありました。

「GAG」とは正反対のコンセプト

スズキの「GAG」は"誰でも気軽に乗れるプレジャーバイク"として、エンジンにはビジネスバイク「バーディ」用の扱いやすい5.2馬力の4ストロークをベースとしていました。これに対してヤマハ「YSR50」は、パンチのある7.0馬力の2ストロークエンジンを搭載し、ホイールも「GAG」の10インチよりワンサイズ大きい12インチを採用するなど、オンロードでのパフォーマンスに特化したマシンでした。

  • ヤマハ「GT50」

    エンジンのベースはGT/RX系の空冷2ストローク(写真はGT50)

小さくてもスタイルはGPレーサー

そのスタイリングは小さいながらも当時のグランプリレーサー「YZR500」を彷彿とさせるもので、本来は太いチャンバーが収まっているリアフェンダーの膨らみ具合なども再現されました。チャンバーの代わりにシングルシートカウル内には小物入れを装備し、レーサーのサイレンサー出口があるテールカウル後端の穴にはウィンカーを埋め込むなど、機能とデザインの遊びも盛り込まれています。

  • ヤマハのグランプリレーサー「YZR500」(0W81)

    1985年のグランプリレーサー「YZR500」(0W81)

また、この時期の小型車は50ccと大半のパーツを共用する80cc版がラインアップされることが多かったのですが、「YSR50」もエンジンのベースとなったGT/RX系と同様に「YSR80」も展開しています。こちらはパワーが上乗せされただけでなく、フレームやフロントサスペンションも変更して強化し、タコメーターも標準装備されました。

多彩なスポンサーカラーも話題に

2ストロークのパワフルなエンジンとレーサーライクなルックスで「YSR50」はたくさんの若者の心をつかみ、国内外でワンメイクレースのほか、レーシングライダーによるエキシビジョンレースも開催され、サーキットに訪れた観客を喜ばせました。

12インチのレーサーレプリカとして大ヒットした「YSR50」は細かな改良を重ねながら、ヤマハワークスの赤/白ストロボカラーのほか、ブルー系のゴロワーズ、WGPで活躍するマルボロ、さらに鈴鹿8時間耐久で話題となった資生堂TECH21、全日本選手権のUCCコーヒーなど、さまざまなスポンサーカラーのバリエーションが生み出されています。

こうして「YSR50」は大成功をおさめましたが、当時は大ヒットすればライバルメーカーからすぐに刺客が送り込まれるレーサーレプリカ戦国時代。国内メーカーの中でもホンダはレースでの勝利に強いこだわりをもっており、サーキットという場所で宿敵ヤマハの「YSR50」が快走する姿を黙って見ていられるはずはありませんでした。この話は次回にて。

それでは、次回もお楽しみに!