平日は本業に時間を取られてしまうサラリーマンにとって、休日こそが副業で稼ぐ絶好の時間。土日を有効に使うことで収入アップを図る人が少なくない。ただし、長時間の肉体労働などは疲れがたまり、本業に支障が起きかねない。より短時間で心身に負荷をかけずにできる副業があればベストなのだが……。実際にそんな副業で稼ぐ人に話を聞いた。
身近な稼ぎ方で誰もが始められそうな「フリーマーケット」
身近な稼ぎ方で誰もが始められそうなのがフリーマーケット。ふだんは食品会社の営業マンをしている坂口良一さん(仮名・35歳)、土日に都内のフリーマーケットで商品を売り毎月7万円~8万円、多い月には10万円以上稼ぐこともあるという。
「家にある不用品はもちろんですが、近所の人が捨てるものをもらったり、近くのおもちゃ販売業者や雑貨店などで売れ残ったものを安く仕入れたりしています。ほとんど元手は掛りません」
とくに昨今は断捨離ブームで不要なものを捨てる家庭が多く、近所付き合いの多い坂口さんにとっては仕入れに困らない。集客に関しても坂口さんならではの工夫が。
「商品によってはあえて値札を付けません。値段が付いているとさっと見て高いと判断したらスルーして行ってしまう。値札が付いていないことによって『いくらですか?』と聞いて来たりしてお客さんの足が止まる。会話のきっかけになるので、結果的に売れ行きも良くなるのです」
あとは必ず子供向けのおもちゃを置いておく。すると子供連れの家族などは足が止まり、それ以外の商品にも目を向けてもらえるようになる。いかにお客さんの足を止めるかというのがポイントだそうだ。
「露店で多くの人に商品を見てもらい、やり取りができる。フリーマーケットの雰囲気自体が大好き。商売と言うより趣味に近いのでストレスの発散になります。苦にならず楽しめてお金が稼げるので、これからもずっと続けて行きたいですね」(坂口さん)
CDやDVD、ゲームソフトなどがメイン商品になっている「せどり」
土日にせどりで稼いでいるのは太田俊晴さん(仮名・33歳)。ネット副業に詳しい人の間ではすでにおなじみだが、せどりとは元々古書店で安く売っている本を買い、他の古書店で高く売って利ざやを稼ぐこと。最近はインターネットで本だけ、でなくCDやDVD、ゲームソフトなどがメイン商品になっている。
「アマゾンのCDランキングで売上をチェックします。私はJ-POPが中心ですが、ランキングが表示されたら転売で稼げそうかどうかを見極めます」
見極めのポイントは現在品切れであるかどうか。また定価より高い値段が付いているものはプレミア商品の証し。さらに初回限定版だったりすると高く売れる可能性が高まると太田さん。
「平日は商品のリサーチだけ。パソコンやスマートフォンを使って仕事の合間や家に帰って1時間ほどをリサーチに当てます。お宝商品が見つかったら土日に仕入れを行い、すぐにアマゾンで転売します」(太田さん)
仕入れはネットによるものと店舗に直接赴くものと両方行う。梱包・発送はアマゾンが出品者に代わって注文を受け梱包・発送するサービス、FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)を利用するので手間はかからない。土日の時間をフル活用して、太田さんは月になんと30万円以上も副収入を稼ぐと言う。
じつは太田さんは富山県在住。いまやせどりを行うせどらーは多く競争が激しいのではと思われがちだが、地方都市だとまだまだせどらーは少ないと太田さん。地方だからこそ利益が上がると分析する。
「不動産投資」で土日は大家として活動
土日は大家として活動するのは岩井幸夫さん(36歳・仮名)。都内の食品メーカーで研究開発を行う岩井さん、妻子を実家の栃木に残して都内に単身赴任している。土日になるとかならず実家に戻るが、勤め人の顔から大家の顔に代わる。
「不動産投資で現在5棟の物件を所有しています。いずれも栃木の家の近くで、土日に家に戻るとそれらの物件を回り掃除や修繕をしたり、入居者とのコミュニケーションを図ります」(岩井さん)
最初の物件は地元の不動産屋から勧められ、銀行から1000万円の融資を受けて7年前に購入。4世帯が住めるアパートで毎月約7万円の利益になった。1棟目が軌道に乗ったことで銀行の評価も高くなり、以後はスムーズに融資を受けられるように。2年後には同じく4部屋のアパートを購入、さらにその1年後には1ルーム6部屋のアパートを購入。現在5物件23部屋で、月に約35万円の利益を稼ぐという。
「電気の付け替えや物件の修繕などはできるだけ土日を利用して自分でやります。入居者の人たちとやり取りができるし、やはりそれだけ安くなる。土日はサラリーマンではなく地元で大家という2重生活が、精神的にもプラスに働いていますね」(岩井さん)
「バイナリーオプション」で稼ぐ
金曜日の夜から土曜日の朝にかけてバイナリーオプションという投資で稼ぐと言うのは、埼玉県に在住の木邑義彦さん(仮名・31歳)。木邑さんはこれまでFX投資をやっていたが、同じ外貨投資でももっと簡単なバイナリー投資を昨年から始めた。
「FXと違って相場が上がるか下がるかを予想するだけ。たとえば現在ある通貨が100円だとしたら、それが10分後に100円より高いか安いかを予想する。当たればレバレッジ次第で大きく稼ぐことも可能。難しいテクニカルを学ぶ必要も少ないので、初心者でもとっつきやすいのが特徴ですね。とくに50円と言う低額から取引可能なのが魅力」(木邑さん)
木邑さんはおもに金曜日の夜から朝にかけて取引き。1日1万円くらい稼ぐことも多く、調子が良い月は10万円以上の副収入を得たと言います。
このほか、自らの技能を生かして土日の時間を利用して家庭教師や塾の講師をしたり、ウェブライターとして原稿を書く人、地方在住を利用してグリーンツーリズムのインストラクターをやる人etc. 土日の時間をお金に変えている人が増えている。
執筆者プロフィール : 本間 大樹(ほんま たいき)
月刊誌の編集を経てフリーの編集、ライター。経済、マネー、法律などの分野を中心に雑誌や単行本を執筆している。