マイナビニュースのテレビ担当記者が、10月にあったテレビ界の出来事を独断と偏見でピックアップする【10月テレビ界五大ニュース】。今月は、TBS系日曜劇場『VIVANT』が話題を席巻。『オールスター感謝祭』から始まった“名探偵津田”の本編登場、日本シリーズ中継による大幅繰り下げにもかかわらず記録した高視聴率、中国メディアからの批判、さらには堺雅人と二宮和也の『NHK紅白歌合戦』司会決定まで、様々な形で注目を集めた。

  • 『VIVANT』に登場したダイアン・津田篤宏(左) (C)TBS

    『VIVANT』に登場したダイアン・津田篤宏(左) (C)TBS

『感謝祭』で“名探偵津田”始動 『VIVANT』本編にも登場!?

10日に生放送されたTBS系特番『オールスター感謝祭’26秋 放送70回記念SP』で、『水曜日のダウンタウン』の人気企画「名探偵津田」が突如始動した。番組内で発生した事件を解決するため、『VIVANT』のドラム(富栄ドラム)が、劇中で乃木憂助を演じる堺雅人に連絡。乃木からダイアン・津田篤宏が指名され、ドラムとともに捜査に向かうという、両番組の世界観を融合させた展開が繰り広げられた。

さらに25日放送の『VIVANT』第22話では、バルカの法務大臣・キメルが出席する会議の場面に津田が登場。わずかな出演ながら、視聴者からは「名探偵津田」とのつながりを考察する声が相次ぎ、津田自身もXに「でとるやないかい!」と投稿した。

両番組の仕掛けが今後どう展開するのかは明らかになっていないが、ドラマとバラエティの垣根を越え、視聴者を巻き込んで楽しませるテレビならではの企画力を感じさせる出来事となった。

日本シリーズで大幅繰り下げも揺るがぬ作品の強度

その『VIVANT』は、視聴率でも存在感を示した。25日放送の第22話は、プロ野球日本シリーズの中継延長によって通常より45分遅い21時45分からの放送となったものの、平均視聴率は個人12.1%、世帯18.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。個人視聴率は今シーズン最高タイとなり、大幅な放送時間の変更にも揺るがない作品の強さを見せた。

一方、中国共産党機関紙『人民日報』系の『環球時報』は26日、同作を批判する記事を掲載。劇中の中国系組織による拷問描写などを問題視し、「中国脅威論を誇張している」などと主張した。

海外を舞台にした壮大な物語で人気を集める『VIVANT』だが、その描写が国境を越えて政治的・歴史的な文脈でも受け止められるという、思わぬ波紋が広がる形に。日本のドラマが世界へ発信される時代だからこそ、作品の影響力と表現の難しさを考えさせるニュースとなった。

『紅白』司会に芦田愛菜・堺雅人・二宮和也 NHK会長も『VIVANT』演出に期待

NHKは9日、大みそかの『第77回NHK紅白歌合戦』の司会を、芦田愛菜、堺雅人、二宮和也、鈴木奈穂子アナウンサーが務めると発表した。注目されたのは、『VIVANT』で義兄弟を演じる堺と二宮の共演。堺も発表にあたり、二宮について「共演したドラマ同様、尊敬する心強い弟」とコメントした。

21日のNHK定例会見では、井上樹彦会長が堺を「今、まさに旬の、当代一番乗っている役者」と評し、司会ぶりに期待。さらに、『VIVANT』を絡めた演出についても、個人的には「見たい」と意欲を示した。長年競い合ってきた放送局同士が、人気コンテンツの力を生かして相乗効果を狙う動きが見られた。

日テレ・TBS・フジ、テレビ広告事業で異例の共闘

局の垣根を越える取り組みとしては、日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビの民放キー局3社が13日、テレビ広告取引基盤「Ad Reach MAX プラットフォーム」の企画・開発・運営を担う新会社「アドリーチマックス」を設立し、共同出資すると発表した。日テレが開発してきた仕組みを3社が協力して展開し、2027年2月の事業開始を予定する。

「Ad Reach MAX」は、テレビCMの取引にデジタル広告の技術を取り入れ、広告主が出稿計画から購入、効果検証までを柔軟に行えるようにするもの。地上波テレビ広告の価値を高めるため、日頃は視聴率や広告収入を競い合うキー局が、共通の基盤づくりに乗り出した形だ。テレビ広告市場の変化に対応するため、競争だけでなく協調によって業界全体の価値を高めようとする、新たな動きとして注目される。

フジ、番組宣伝システムに不正アクセス 543人分の情報漏えい

不正アクセスによる個人情報の漏えいが相次ぐ中、フジテレビは20日、メディア関係者向けの番組宣伝システム「フジテレビ広報情報急便」が第三者による不正アクセスを受けたと発表した。今回の事態を受け、他局でも同様のシステムの利用を停止するなどの措置がとられている。

フジでは21日夜から翌22日午後にかけて、動画配信サービス「FOD」「FOD SHORT」を緊急メンテナンスのため全面停止。こちらはソフトウェアの脆弱性に関する情報を踏まえた予防的措置で、テレビ局のデジタルサービスを守る重要性が改めて浮き彫りとなった。