25日のドラマ『VIVANT』(TBS系)が日本シリーズ中継で45分遅れの放送だったにもかかわらず、個人12.1%・世帯18.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)の高視聴率を記録した。Xのトレンドランキングも1位を記録するなど、11月8日の最終話まで残り2話になってネット上の盛り上がりはさらに増した感がある。
今秋はその『VIVANT』だけでなく『LOST10』(TBS系)、『kiDnap GAME』(フジテレビ系)、『ハイド&シーク 0秒前の彼女』(日本テレビ系)などの考察要素の濃いドラマが集結。制作サイドが戦略上、考察要素の濃いドラマを選ぶという状況がうかがえる。
しかし、『VIVANT』の反響がこれほどズバ抜けているのはなぜなのか。単に「出演者が豪華」「海外ロケなどのスケール」ではない背景をドラマ解説者の木村隆志が掘り下げていく。
真偽交じった考察が飛び交う状態
参考までに現在Yahoo!で行われているアンケートの途中経過をあげておこう。
「VIVANTの話題性で、どの要素に最も魅力を感じますか?」(10月26日~11月2日)というテーマに圧倒的に多い意見は「予測不能でスケールの大きい展開」。以降「その他/わからない」「豪華キャスト陣と迫真の演技」「海外ロケなどの映像クオリティー」と続き、「視聴者の考察やSNSでの盛り上がり」は最も少ない数値に留まっている。
この結果を見ても人気の理由は「見たことのない、どうなるかわからないドラマだから」で間違いないだろう。どんなジャンルなのか、どんなゴールに向かっているのか、誰が味方で誰が敵かすらわからない。そんな希少性と未知の楽しさが「リアルタイムで見たくなる」「誰かに話したくなる」という興味につながっている。
ではアンケート結果で最も少ない「考察での盛り上がり」はあまり影響がないのかと言えばそんなことはないだろう。最大の魅力とは言えず、考察があまり好きではない人も少なくないものの、「気になってけっきょく考察記事を見てしまう」という人の多さを感じさせられる。
制作サイドが脚本・演出でさまざまな伏線や思わせぶりなカットを入れているのは事実だが、これは他の作品でも行われていること。記事やコメントの多さから「手数が圧倒的に多い」と思われがちだが、他の考察系ドラマと決定的な差があるほどではない。実際のところ、いろいろと考察されているだけでけっきょく「伏線ではなかった」「考えすぎだった」というケースも目立っている。
つまり「真偽はさておき多くの考察が飛び交う」という状態こそ『VIVANT』の盛り上がりにつながった本質だろう。さらにその状況を紐解くと、やはり特筆すべきは制作サイドによる戦略的な情報の量産。X、Instagram、TikTok、YouTubeに毎日さまざまな情報が小刻みにアップされている。
常に「アフターVIVANT」をはじめとする振り返りの情報と、考察をうながす新しい情報が配信され、「考察するつもりのない人も何気に考えてしまう」という状態を創出。また、次回予告も通常は放送の最後に行われるが、『VIVANT』はネット上で公開して話題性を高め、考察につなげている。
