主要22作がそろった2022年の春ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、主要新作の初回放送をウォッチし、俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(『ナンバMG5』ほか新ドラマ枠誕生で令和の黄金期突入か 2022年春ドラマの傾向&オススメ5作)において2022年春ドラマの主な傾向を「[1]各局で新枠が誕生! 令和のドラマ黄金期へ [2]女性プロデューサーの躍進」の2つと分析。

おすすめドラマとして、『ナンバMG5』(フジ系 水曜22時)、『メンタル強め美女白川さん』(テレ東系 水曜24時30分)、『クロステイル~探偵教室~』(東海テレビ・フジ系 土曜23時40分)、『正直不動産』(NHK 火曜22時)、『マイファミリー』(TBS系 日曜21時) の5作を選んだ。

本記事では、それらを含む全作品のショートレビューと、目安の採点(3点満点)を挙げていく。

『元彼の遺言状』 月曜21時~ フジ系

出演者:綾瀬はるか、大泉洋、関水渚ほか
寸評:原作にオリジナルを盛り込み連ドラに昇華する意欲は感じるが、主人公のキャラをマイルド化したことで魅力半減。ギャップを生かした人間味が描かれずバディとの関係性も薄い。綾瀬も序盤は役をつかめず。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 綾瀬はるか

『恋なんて、本気でやってどうするの?』 月曜22時~ フジ系(カンテレ)

出演者:広瀬アリス、松村北斗、藤木直人ほか
寸評:広瀬、松村という旬ならではの輝きはまぶしく、だからこそパパ活や不倫などの見慣れた設定を絡めた群像劇にした理由がわからない。トレンディドラマに戻ったような浮世離れした舞台設定も理解不能。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 広瀬アリス 撮影:宮田浩史

『卒業タイムリミット』 月曜22時45分~ NHK

出演者:井上祐貴、桜田ひより、北山宏光ほか
寸評:ブツ切れになりやすい帯ドラは、「タイムリミット」というシリアスなコンセプトにフィットしづらく、緊張感は限定的。主要キャストから高校生らしい若さや純粋さを感じられないのは演出の問題なのか。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆ 期待度☆】

  • 井上祐貴  撮影:宮田浩史

『吉祥寺ルーザーズ』 月曜23時6分~ テレ東系

出演者:増田貴久、田中みな実、國村隼ほか
寸評:タイトルからも、各話のエピソードからも、テーマが見えてこず、何を目当てに見ればいいのか難しい作品。同じシェアハウスという設定でも、『妖怪シェアハウス』との差は、キャスト、脚本ともに大きい。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 期待度☆】

  • 田中みな実

『正直不動産』 火曜22時~ NHK

出演者:山下智久、福原遥、草刈正雄ほか
寸評:遊び心あるファンタジー作だが、各話のエピソードはハートフルであり、不動産の知識、本音、怪しさも知れるハイブリッド作。マジメに作り過ぎの感があり、民放なら「正直」の演出でより笑いを取れそう。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 山下智久

『持続可能な恋ですか? ~父と娘の結婚行進曲~』 火曜22時~ TBS系

出演者:上野樹里、田中圭、松重豊ほか
寸評:親子婚活の話と思いきや、普通のラブストーリーとの違いは少ない。視聴者はキャストと役柄のイメージが合わず、没入感が得られないのでは。序盤は多用するヨガのシーンがアクセントや癒しにならず。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 上野樹里

『汝の名』 火曜24時30分~ テレ東系

出演者:山崎紘菜、北乃きいほか
寸評:新枠の第1弾は「女王様」と「奴隷」のこれ以上ないほど不穏なムードの物語。展開は思ったよりスローだが、「ジワジワと関係性が逆転していく」ということか。姉妹ならではのドロドロだけに結末は見物。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 山崎紘菜