スポーツ庁・総務省の「スポーツを観る機会の確保及びスポーツ放映に関する検討会」第2回会合が10日に行われ、民放連の堀木卓也専務理事が、スポーツ放映をめぐる民放の現状と課題についてプレゼンテーションを行った。国民的スポーツ大会の放映権料・メディア権料が高騰する中、民放としての役割を強調する一方、WBCの日本国内配信権をNetflixが独占したことを受け、視聴者から地上波中継を求める声が多数寄せられている実情も明かした。

  • 民放連の堀木卓也専務理事=第63回ギャラクシー賞贈賞式(2026年6月1日)より

    民放連の堀木卓也専務理事=第63回ギャラクシー賞贈賞式(2026年6月1日)より

「スポーツ中継を楽しめる機会を広く提供してきた」

堀木氏は冒頭、「これまで民放はスポーツとともに歩んで、すべての視聴者が無料でスポーツ中継を楽しめる機会を広く提供して、スポーツの普及発展にも貢献してきたと自負しております」と説明。民間放送として、視聴者だけでなく広告主の期待にも応えるため、今後も国内外のスポーツ中継に前向きに取り組んでいく姿勢を示した。

一方で、大きな課題として挙げたのが、放映権料・メディア権料の高騰。限られた経営資源の中で「過度にスポーツへ投下するようなことがあると、他の番組制作に影響を及ぼしかねない」と懸念を示した。

放映権の取得については、各局が収支や編成などを踏まえて判断しているとしつつ、「視聴者ニーズに鑑み、権利料が高くても国民的スポーツの放映権の獲得を決断するケースももちろんあります。経済合理性のみを判断基準としているわけではありません」と強調した。

近年はメディア権料の高騰に加え、現地制作費や各局個別の制作費、人件費、円安などの影響もあり、「厳しい収支がオリンピックに関しては続いている」と説明。2034年以降の契約については、IOC(国際オリンピック委員会)との交渉はこれからだという。

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)については、「開催当初から民放は積極的に中継を行い、大会の認知度向上や普及発展に大きく貢献した」ものの、今年3月開催の大会では、はNetflixが日本国内配信権を独占。民放に中継権がないため、ニュース番組、スポーツコーナー、情報番組などで日本選手やチームの動向、試合結果を伝える対応になった。

「次回は地上波で見られるようにしてほしい」

この結果、これまで中継を行ってきたTBSとテレビ朝日に対して、視聴者から地上波中継を求める声が多数寄せられたという。その内容は、地上波での無料放送がないことへの抗議、有料ネット配信独占による不公平感、デバイスや視聴環境に伴う負担と困惑、地上波放送がないことによる社会や侍ジャパンへの影響への不満といったもの。

特に、テレビ局が事前に煽り報道をするのに中継放送がないことの矛盾を指摘され、視聴者からは「どういうことなのか」という厳しい声があったという。

さらに、「次回は地上波で見られるようにしてほしい」「民放各局や関係各者で連携して放送権を確保してほしい」「キー局が協力して放送できないか」「配信と地上波の連携を検討してほしい」「配信単独ではなく、サブライセンスなどで地上波につなげてほしい」という具体的な要望もあったことを明かした。

その上で、民放連としては「国民的スポーツを誰もが視聴できる環境を整えることは重要」との認識を提示。「放映権の取得は最終的には放送事業者の判断によるべき」とし、「民放事業者も民間企業である以上、適正な収支の確保を目指しつつ、最大限の努力を払って視聴者の期待に応えたい」と述べた。