フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)の公開セミナーが6日、神奈川・横浜情報文化センターで開催され、西村陽次郎チーフプロデューサー(フジテレビ)、八木里美ディレクター(バンエイト)、朝川昭史ディレクター(NEXTEP)、鳥居稔太ディレクター(テレビマンユニオン)が登壇した。
同番組の“最年長”ディレクターとして紹介された66歳の朝川Dは、59歳で『ザ・ノンフィクション』を初めて手がけ、60代になってから本格的にドキュメンタリー制作に取り組むようになったという異色の作り手。人気シリーズ「クズ芸人」の取材対象である小堀敏夫にどう向き合っているのか、その独自の取材術に加え、シリーズの新作が進行していることを明かした。
「テレビに取り上げられたい人」の“本当”を撮るには
朝川Dが『ザ・ノンフィクション』を初めて担当したのは、59歳で制作した「万引きランナーと呼ばれて」(19年4月7日放送)。そこから、ゲーム芸人フジタ、電撃ネットワーク・南部虎弾さんと芸人の人生を見つめた作品が多いが、中でも大きな反響を集めたのが「クズ芸人」シリーズだ。お笑いコンビ・ガッポリ建設(当時)の小堀敏夫の破天荒な日常、周囲との関係、そして人間の弱さを描いてきた。
西村CPは、小堀のような「テレビに取り上げられたい人」を撮ることの難しさを指摘。カメラを向けられることを望む人は、無意識のうちに「これを言ったら面白いかな」「自分がよく見えるかな」「使ってもらえるかな」と計算してしまうため、“見せたい自分”を作ってしまうのだ。
「“本当”が撮れないので、ドキュメンタリーの構造として成立しなくなるんです」と解説した上で、朝川Dはそうした相手に向き合うのが得意だという。
そのコツを聞かれた朝川Dは「小堀さんは、もう息を呼吸するようにウソをつく人なので、基本的に言ってることは全部ウソなんです(笑)。その中でどう“本当”を見つけるかなんですけど、僕は結構ツッコミを入れるんです。“あれは俺、悪くねえよ”って言ったら、“いや、悪いと思います”とか、“今のわざとやったでしょ?”って聞いたり。そうすると、チラッと人間性が見えて“本当”にちょっと近づけるんです」と、揺さぶりをかける戦術を紹介。
また、「あしたもテレビの片隅で~映り込みに捧げる奇妙な人生~」(26年5月3日放送)でテレビに映り込みたい自称“エキストラの帝王”を取材した際は、映り込み目的のカメラと間違えて朝川Dの取材カメラに目線を送ってしまう状況だったが、実家に帰ったり、墓参りに行ったりするシーンを取材して、“本当”を映し出していったという。
小堀にぞっこんの彼女にもドラマが
そんな朝川Dは、「クズ芸人」シリーズの新作が進行中であることを発表し、会場からは歓迎の拍手が。昨年大みそかに放送された特番では、ガッポリ建設の相方・室田稔がついに愛想を尽かし、解散したことが伝えられたが、「30歳の彼女ができて、結婚するかもしれないです。小堀さんにぞっこんなんですけど、その彼女にもまたドラマがあります」と予告している。
このセミナーは放送番組センターの企画・主催で行われ、横浜情報文化センターにある放送ライブラリーでは、特別上映会「ザ・ノンフィクション 放送30周年セレクション」を6月28日まで開催中。放送ライブラリーで公開中の『ザ・ノンフィクション』177本の中から、番組制作チームがセレクトした選りすぐりの放送回を上映している。



